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ギブスエネルギーについて

ギブスエネルギーというものを習ったのですがいまいちよく分かりません。 たとえば、300Kで圧力を等温で10^5Paから10^6Paまで増加したとき、水蒸気が完全気体であるとしてモルギブスエネルギーの変化を計算せよ、という問題があります。 これを大雑把に解くと、約+6KJ/molと出ます。この計算過程などは分かります。しかし、この結果は何を意味しているのでしょうか? 以下は自分の考えです。 ギブスエネルギーは減少すれば自発的に変化する傾向にあり、増加すればその逆反応が自発的である。 これを利用すると、先ほどの問題の+6KJというのはギブスエネルギーの増加であるため、10^5Paから10^6Paという変化は普通には起きない。むしろ10^6Paから10^5Paという変化が自発的である、と結論付けている。 このように考えているのですが、実際どうなのでしょう? どなたか分かる方、ご教授お願いいたします。

  • Phis
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noname#21219
noname#21219
回答No.6

肝心なところを見落としていました。 そもそも、dG≦0という、ギブスエネルギーが常に減少する方向に、 つまりギブスエネルギー極小の状態に自発的に変化するというのは、 dG≦0という不等式の導出自体に等温、等圧の条件を使っています。 だから、ご質問の例のように圧力が異なる状態への自発変化を考えること自体に意味がありません。等温、等圧で、とりうる体積がいくつかあるような時に、 即ちファンデルワールスの状態方程式のような多価関数を考える時に、 等温、等圧でどの体積をとった方が系の自由エネルギーが小さくなるか(どの相をとったほうが自由エネルギーが小さいか)、考える時に 自発変化を考えると思います。 では、ご質問のように、等圧でないのになぜ自由エネルギーを計算するかと言うと、等温で dG=dU+PdV+VdP-TdSですが dS≧dQ/Tにより dQ-TdS≦0です。 またdQ=dU+dWより dU+dW-TdS≦0 よって、dG+dW≦PdV+VdP dG≦PdV+VdP-dW ⇔-dG≧dW-d(PV)=dW-d(RT)=dW すなわち、ギブスエネルギーの減少の大きさよりも、する仕事の方が 常に小さいと言うことになります。 等号が成り立つ時が、系のしうる最大の仕事量ということです。 等号の成り立つ時は、-dG=dWですが、第二法則の式で等号が使えるから dG=VdPとできますよね。ですので、等号を使って、自由エネルギー の変化∫dGを計算するときは、その過程において系が"されうる" 最大の仕事量を求めていることになると思います。 -dG=dWというように-がついてるからです。10^6から10^5への変化を計算するのであれば、その過程で系が"しうる"最大の仕事量を求めていることになります。圧力が減るのだから、系は仕事してますよね。

Phis
質問者

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何とか理解することができました。 おかげでギブスエネルギーの理解が深まりました。 何度も回答していただき本当にありがとうございました。

その他の回答 (5)

noname#21219
noname#21219
回答No.5

遅くなりすいません。♯3の内容、最後が少し変でした。 <<それなのに系の自由エネルギーが.. 以降忘れてください。申し訳ないです。 自由エネルギーというのは別名、熱力学ポテンシャルといいます。 ポテンシャルというのは、極小が安定位置ですよね。 それで、ご質問のような状況は、要するに300Kのもとでの10^5[Pa]と 10^6[Pa]のときの自由エネルギーという"ポテンシャル"を比べている だけだと思います。そして、その結果が ∫dG≡G(B)-G(A)=6[kJ/mol]となって、G(B)のほうがポテンシャルが6kJだけ高いということです。なお、Bとは圧力10^6の状態を意味します。 ギブスのエネルギーの変化というより、ギブスのエネルギーを 両者で比較しているといっていいでしょう。このようなときは、 dS=dQ/Tとしてしまって良いかと思います。比較しているだけで、 自発変化ではないからです。 ところでdG≦0というのは、これは確かに不可逆性、自発変化が絡んでくるものです。G=U+PV-TSより、 dG=dU+PdV+VdP-TdS-SdT =d'Q-d'W+PdV+VdP-TdS-SdTです。 等温、等圧ではdG=d'Q-d'W+PdV-TdSとなり、 ここで熱力学第二法則よりd'Q≦TdSだから d'Q-TdS≦0,よって、 dG≦-d'W+PdV=-(d'W-PdV)となります。これは、 d'W-PdVという、総仕事量から機械的仕事を差し引いたものが、 -dGというギブスエネルギーの減少分より常に小さいということ を意味します。つまり、ギブスのエネルギーとは、そのときに取り出せる仕事の最大量といっていいでしょう。 また、d'W=PdVつまり等温、等圧で機械的仕事しかない時は、 dG≦0です。これは、第二法則を使っているから、自発変化 が絡んできて、系は自由エネルギーが小さくなる方に自発変化するというものです。そして、熱平衡状態に達すると自発変化は止まります。 何がいいたいかというと、先に自由エネルギーの大小を比較しましたが、例えば温度だけが300Kと定まっていて、つまりピストンが300Kの 熱浴と接していて、圧力と体積が定まっていないとします。 つまり、大気圧ではなく壁からのバネにピストンのフタがつながっているような 状況です。もし、圧力が定まっているなら、つまりピストンが大気圧と つりあっているなら、温度は分かっているから状態方程式により 体積も定まってしまい、それが熱平衡状態ということになります。 自由エネルギーを考える意味がありません。 バネの場合、温度が決まっていてもどういう圧力に落ち着くのかは分かりません。つまり、どのようなバネの伸びになるようにピストン:気体 が自発変化するのか分かりません。そういうときに、先に求めた 自由エネルギーの大小を二つの圧力について比較することにより、 自由エネルギーの小さい方へとピストンが移動するということに なります。このときが自発変化です。

回答No.4

準静的な過程というのは理論上の産物で、全ての現象(熱のやり取りなどなど)が理想的に起こった状態の話です。 微視的可逆性といいますが、たとえば、準静的な過程だと、2種類の気体の混合はどの時点でも逆転して元に戻りうる、ということになります。 しかし、現実にそんなことはありえません。 理論および計算の都合上、我々は準静的過程を対象としますが(そうしないと計算して値が出せませんね)、実際に起こる不可逆過程には、No.3さんがお書きになっているように等号はありません。 一番理想化した場合だとこの値、実際の不可逆過程にはもっと大きな(あるいは小さな)値になっているということです。 それでも、反応の左と右側を見た場合の大小関係は変わらないはずですから、準静的過程の値でどっちに行くかな?というのを判定しても良いわけです。

Phis
質問者

お礼

再び回答していただきありがとうございます。 なるほど、計算できないから準静的過程として計算しそれで判定するわけなのですか。 理解できました、ありがとうございました。

noname#21219
noname#21219
回答No.3

G=U+PV-TSですので、dG=dU+PdV+VdP-TdS-SdTというのは 分かると思います。 この式に、dS=dQ/T=(dU+PdV)/Tという式を "代入してみます"。すると、dG=VdP-SdTとなります。 ところで、dS=dQ/Tが成り立つ時に、『自発変化は絶対に起こりません』。自発変化が起これば内部エントロピーが生成されて dS>dQ/Tというように、等号ではなく不等号となるからです。 したがって、dG=VdP-SdTを考えて、さらにdT=0として dG=VdPとして、ΔG=∫dG=∫VdP=∫RTdP/P[P=10^5~10^6] =RTln10≒6kJ/molとでたのだったら、 それは当然自発変化は起きないで準静過程しか起きていなかったこと を意味します。準静過程で自由エネルギーが増大したのです。 自然界において、放っておいたら自由エネルギーが極小となるような状態に系が変化する、つまりdG≦0ということは証明することの出来ない経験的な事実です。 それなのに系の自由エネルギーが一見増大するのは、外部から自由エネルギーが入ってきているからです。つまり、外部の自由エネルギーは減少していて、外部と系をトータルすると、自由エネルギーは変わらないか減少:dG≦0です。

Phis
質問者

お礼

回答していただきありがとうございます。 確かにdS=dQ/Tという式を途中で使っているため自発変化は起こらない。ではギブスエネルギーの変化が負で出たときはどう解釈すればよいのでしょうか。なんだか分からなくなってきてしまいました。すいません・・・。 仮にこの問題が「10^5Paから10^6Paまで」でなく「10^6Paから10^5Paまで」とするとこの答えは-6kJ/molとなる。つまり10^6Paから10^5Paの変化が起こる。しかしその変化は自発的(不可逆的)に起こるのではなくあくまで準静的、つまり可逆的になるように起こる、ということなのでしょうか? 理解不足で申し訳ありません・・・。

  • rangeru
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回答No.2

まず計算なのですがギブズエネルギーの微分形   dG = -SdT + Vdp を使いますが、題意から温度は一定なので、   dG = Vdp となります。これを完全気体の状態方程式を使って   dG = (nRT/p)dp と変形し、これを積分すれば答えは出ます(5740J/mol)。  ギブズエネルギーの意味なのですが、増えたから自発変化しないといったものではなく、その変化の正負によって自発変化するかどうかが決まります。ギブズエネルギー変化が負なら自発変化する可能性があり、正ならば絶対に自発変化しません(ただし、化学変化は両方向に進むのでほんの少しは反応する)。  自然反応の方向はエネルギーが小さくなる方向とエントロピーが大きくなる方向の兼ね合いで決まります。ギブズエネルギーとヘルムホルツエネルギーは熱力学の第一法則と第二法則から導出できます。

Phis
質問者

お礼

回答していただきありがとうございます。 >ギブズエネルギー変化が負なら自発変化する可能性があり、正ならば絶対に自発変化しません なるほど、変化が負でも自発変化する可能性があるということなのですか。 よく分かりました。ありがとうございました。

回答No.1

質問者さんのお考えのように、ギブスエネルギーから反応がどっち向きに進むか?という判定を行うことができます。 圧力を増したということは、われわれが手でシリンダーを押し込む(仕事をする)必要があります。無理強いしてやらないとできない、ということは、自然な傾向ではない、と感じられますよね? 私は化学が専門なのですが、化学においても、反応前後のギブスエネルギーを計算して比較することで、化学反応が有利か(自発的に行くべきか)否かということを判定できます。 また、ギブスエネルギーというものは、自由エネルギーという名前がついているように、系ができうる最大の仕事を表しています。 質問者さんの例では、気体の圧力を増したということですから、この気体はその分だけピストンを押し出すなどの圧力を利用した仕事ができるようになったのだ、と考えることもできますね。 われわれが気体を圧縮するのに使った仕事が、気体のエネルギーとして蓄積されたのだということです。

Phis
質問者

お礼

回答していただきありがとうございます。 >ピストンを押し出すなどの圧力を利用した仕事ができるようになった なるほど、このように考えれば理解しやすいです。 どうもありがとうございました。

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