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判決例、裁判例、判例
hajimarukunの回答
質問の趣旨には必ずしも沿っていないのですが、私が理解しているところを開陳してみます。 「判例」というとき、最広義と広義と狭義の3通りの使い方があると思います。以下その3つについて説明した上で、それとの対比で裁判例の意義について見解を述べます。 説明の都合上、先に広義の「判例」について説明します。この場合は、「先例としての価値がある裁判(=判決+命令・決定)」という程度の意味だと思います。日本には「先例拘束性の原理」(=先例に必ず従えというルール)はありませんが、実際は慣行として先例に従う傾向があります。ただし、「先例としての重み」には差があり、当然最高裁の判例は尊重され、これが1度出ると、下級審がそれに真正面から反対するような裁判を行うことはまずありません。最高裁判例が出ていない場合でも、下級審で同様な判断が繰り返し行われれば先例としての価値が上がり、後続の裁判もそれに従う傾向にあります(この状況を指して「判例が形成されている」と言います)。 最広義の「判例」は、「過去に下された裁判」を指します。例えば、『判例時報』という法律雑誌があるのですが、これは広義の「判例」という意味で使っているわけではなく、過去に出された裁判の中からピックアップされたものに過ぎないということです。 狭義の「判例」は、条文上で登場してくる「最高裁判例」と言う意味です。刑事訴訟法や民事訴訟法には、最高裁が上告受理するのは一定の場合に限ると定められており、その一つが最高裁判例に反する判断をした場合です。この規定からは、単なる「先例としての価値がある裁判」とは異なり、最高裁の判例には特別の重みがあると読み取ることも出来ます。 以上3通りの使い方を踏まえて、「裁判例」の意味を考えてみます。「裁判例」という語は、「判例」との違いを意識して使う場合が普通です。そのため、上で述べたように「判例」に3通りの使い方に対応して、「裁判例」という語にも異なる意味が込められる可能性があります。 まず、最広義の「判例」との対比ですが、これと意味上の差異を出そうと思うと「判例」よりも「裁判例」方が意味が狭くなるしかありません。しかし、「判例」よりも「裁判例」の方が意味が狭くなるのは語感としても、実際の用法としても、まず無いと思います。 次に、広義の「判例」に対して使う場合、「先例としての価値があるとは断言できない過去の裁判」といった意味になると思います。先例として価値があるかどうかは後々にならないと分からない場合があり、最新の判決を紹介する場合などは「判例」というより「裁判例」という方が適切な場合があります。 最後に、狭義の「判例」と比べます。この場合は、「裁判例」という語に「最高裁の判断ではない下級審の判断ですよ」という意味がこもります。 「判決例」という言葉は私自身使ったことがないので何とも言えませんが、「裁判例」から「命令・決定例」を差し引いたぐらいの意味ではないでしょうか。
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詳しい回答ありがとうございます。よく分かった気になっているだけかもしれないので確認させてください 。 判例は (1)最広義→過去に下された全ての裁判(下級審含む) (2)広義→先例として重みを持つ全ての裁判(下級審含む) (3)狭義→先例として重みを持つ裁判(最高裁のみ) ということですね。 裁判例は 広義→(1)から(2)を除いたもので 狭義→(2)から(3)を除いたものという理解ですね?