黒体の温度について

このQ&Aのポイント
  • 黒体の輻射エネルギーは温度の4乗に比例し、そのスペクトル分布はボーズアインシュタイン統計で表される
  • 単一伝送モードの光で相互作用する熱平衡状態にある黒体の温度について疑問がある
  • 右端の黒体が伝送路への開口面を除いて完全な断熱材で覆われていた場合、熱平衡状態では右端の黒体の温度はエネルギー密度が高い光を単位時間当たり吸収するため熱源である左端の黒体温度より高くなるのでは?
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単一伝送モードの光で相互作用する熱平衡状態にある黒体の温度について

黒体の輻射エネルギーは温度の4乗に比例し、そのスペクトル分布はボーズアインシュタイン統計で表されるという結果位しか知らない熱統計力学については全くの素人です。電磁波波工学については多少わかるつもりです。無損失の同軸ケーブルの左端を黒体に十分挿入した実験システムを考えます。内径は黒体放射スペクトルの主なエネルギーを担う波長よりも十分細いと仮定します。つまり同軸ケーブルの伝送モードは遮断周波数のないTEMモードしか通さないシステムであり、このケーブルが右方向へ有限距離伸びています。次に波長に対して十分なめらかに右方向にケーブルの太さを細くすると反射波を抑えながらエネルギー密度を上昇させることができます。このエネルギー密度の上昇した光を右端の同軸に埋め込まれた黒体に完全吸収させるとします。もちろんスペクトル分布は左端を出発したままです。私の質問はここからですが右端の黒体が伝送路への開口面を除いて完全な断熱材で覆われていた場合、熱平衡状態では右端の黒体の温度はエネルギー密度が高い光を単位時間当たり吸収するため熱源である左端の黒体温度より高くなるのでは?と思います。熱力学第二法則はこのことを否定していますがどの部分で勘違いしているのか教えて頂きたいと思っています。ご回答よろしくお願い申し上げます。

質問者が選んだベストアンサー

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  • vq100mg
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回答No.2

同軸ケーブルの左端にある黒体とは、いわゆる抵抗器、右端の黒体も抵抗器という事になりませんか。同軸ケーブルは右端に向かうにつれて細くして電力密度を上げてある訳ですが、不可解の本質はもっと簡単なモデルで味わうことが出来るように思います。 同軸ケーブル(Zo=50Ω仮)の右には 50Ω のチップ抵抗が1個、そして左には同じ抵抗を 2個直列、2組並列に接続した合体抵抗50Ωを繋いであるとイメージして見てください。体積的には 1:4の関係になっています。左右抵抗器の体積が違うのに、どうして同一温度で送り出される熱雑音電力が一致するのか・・。本質はそれであって、同軸ケーブルも省略出来そうです。 合体抵抗の開放ノイズ電圧も、単独抵抗のそれも、いずれも√4kTRB [V/√Hz]です(B:バンド幅)。この例では左右の間でインピーダンス整合がとれているので、kTB [W]という有能電力が互いに交換されている事になります。 まず4個からなる前記抵抗のノイズ電圧が、単独抵抗のそれに等しい事を実感してください、2個直列で√2倍、2組並列の過程では、双方がノイズを持つことによる√2倍と互いが負荷になって分圧される1/2を考慮すれば良いのです。体積によらず抵抗値が同じならば同じノイズ電圧になる例を示しましたが、有能電力という指標をとれば、抵抗値にも体積にもよらない値として kTB [W] が得られます。さらには左右に繋がる抵抗値が同一でなくとも交換される電力は互いに等しい事が示せます。左の抵抗値を基準にした右の抵抗値の反射係数は、右基準の左の反射係数と絶対値において一致することに着目してください。参考: Γ=(Za-Zb)/(Za+Zb) 抵抗体の体積を増せば内部の揺らぎエネルギの総量が大きくなるのは確かです。しかし互いが負荷となるので、全体を一つとして捉えた揺らぎは大きくなれない訳です。電気的ノイズは抵抗体中のランダムな電子の動きに端を発しているのですが、純粋に力学的な、つまり機械振動モデルでも同様な雰囲気が味わえると思います。分子の一自由度あたり揺らぎエネルギは 1/2 kT [J]です。分子を沢山集めれば、揺らぎの総エネルギは増加します。しかし一つ一つは独立ランダムであり、またお互いの質量が負荷となって制動を掛け合います。集団を箱に閉じ込め一つの塊として捉え、外部と一本の棒(一つの自由度)で交わされる揺らぎエネルギに着目すれば、揺らぎエネルギの増加は無く、相変わらず 1/2 kT のままだという事です。 あなたの定義するエネルギ密度は、この「一つの塊として見た揺らぎ」を体積で割ったものだと思います。体積が増えれば、揺らぎエネルギの総量は増えますが、しかし一自由度で交わされるエネルギの量は変化しない。温度が同じでも体積に反比例して良い事になります。小さな物体のブラウン運動は見えるが、大きな物体にブラウン運動は見えません。あなたの定義での揺らぎのエネルギ密度が異なるからだという事が出来るかと思います。

yyz1974
質問者

お礼

vq100mgさん大変丁寧なご回答ありがとうございました。黒体は同軸ケーブルでは整合抵抗だというご指摘、直並列抵抗から取り出せる有効雑音電力は一定であるという事実、さらに一自由度で交わされるエネルギの量は変化しないというご指摘を冷静に考えてみました。どれも私には合理的で納得のいくものでした。特に最後のご指摘は黒体の表面積に捉われていた私には極めて教育的なものでした。あらためてお礼申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。

その他の回答 (2)

  • hogehuga
  • ベストアンサー率33% (2/6)
回答No.3

>明らかに輻射エネルギーは左から右へ伝送される方が面 >積分だけ大きくなる。 ここが誤解しているんだと思います。 右から左も左から右いくのも面積の小さいとこを通るのだから、同じ。2つの物体の面積に異なる開口面の面積をかけてはいけない。普通は互いの立体角を掛ける。 定常状態はこの場合2つが等温だと思います。

  • hogehuga
  • ベストアンサー率33% (2/6)
回答No.1

たぶん、右からの輻射のみを考えていて、吸収のため物体から左端からの輻射を考えていないからでは? 右から左の物体へ移動したモードの波と同じモードで、 左から右へ渡りうるモードを、左の物体が輻射するから では? 1,2回読んだだけの回答なので勘違いでしたら すみません。

yyz1974
質問者

補足

なかなか回答が頂けなくて困っていたところありがとうございました。 私の質問の文章が長すぎて反ってわかり難くなったことお詫びします。 <<たぶん、右からの輻射のみを考えていて、吸収のため物体から左端からの輻射を考えていないからでは?>> 右側にある一定温度に保たれた黒体からの輻射エネルギー及びそのスペクトル分布はもちろん考えています。全てのスペクトルの電磁波エネルギーが単一のTEMモードで左から右へ伝送するモデルを考えています。伝送路を伝搬するスペクトル分布は黒体からの一般的な放射スペクトル分布と全く同じであるという仮定を使っています。従って全放射エネルギーは同軸断面積に比例し、左の黒体温度の4乗に比例すると考えています。 いわば異なる表面積の二つの黒体が一つの伝搬モードで繋がっているのです。伝送路途中で反射が無いのが幾何学的に問題をややこしくしているのかもしれませんがテーパー導波管の仮定に無理があるとは思えません。マイクロ波技術は問題なく無反射状態を可能にします。 もし熱平衡状態として左右の理想的な黒体を同一温度だとすれば、明らかに輻射エネルギーは左から右へ伝送される方が面積分だけ大きくなり、エネルギー保存側の説明がつきません。もう一度ご解答を宜しくお願い申し上げます。

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