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「注文の多い料理店」で宮沢賢治は何を訴えているのでしょうか。

「注文の多い料理店」をこの世に送り出した宮沢賢治は、この作品によって何かを訴えているのでしょうか。

  • viol
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  • zephyrus
  • ベストアンサー率41% (181/433)
回答No.5

まず「二人の若い紳士」が、決して好意的に描かれていないことが挙げられます。「白熊のやうな犬」どもが死んでも、いくらの損失だと言いあうし、なにごとにつけ金銭でかたがつくくらいにしか考えない手あいです。 これを森が報復するお話だと受け取れば、一種の勧善懲悪劇です。「紙くづのやうになった二人の顔」がもとにもどらないというのは、最近はやりの言葉でいえばトラウマってことになるでしょう。 なんだか、つまんないですね。 お話は二人の紳士を中心に進められ、読者のほうも彼らの立場になって読み進み、変な具合だなと思ってどきどきするわけです。それが何と、食う立場だったのが食われる立場だったなんて。 主体が客体になる瞬間です。今まで世界の中心だったものが、ぱっと別の目が生まれて、第三者の目でそれを見つめる。そんな瞬間。 森って、なんて怖いところだろう。近づかないようにしよう。さいわい、身の回りには森らしい場所はほとんどなく、安心していられると、そんなふうにいっしんに心をなだめている子供の頃の自分がありました。 けれども、長ずるにしたがって、なにも森は山奥にだけあるのではない、都会にも社会にも、いたるところにあるものだということが分ってまいりました。 自分というものの傲慢さ。いけすかなさ。それと同時に、 なにか、ひどく邪悪なもの、理不尽なものがこの世の中にはあるのだという最初の体験だったかもしれません。 賢治は、童話集『注文の多い料理店』序で、 「なんのことだか、わけのわらないところもあるでせうが、そんなところは、わたくしにもまた、わけがわからないのです。」 と、韜晦していますが、同じく広告文の方では、 「故にそれはどんなに馬鹿げてゐても難解でも、必ず心の深部に於て万人の共通である。卑怯な成人たちに畢竟不可解な丈である。」 と言い切っています。 先に書いたことが作者の意図と一致しているなんてことは多分なさそうですが、私にはそういう作品だということで。ご参考までに。

viol
質問者

お礼

ありがとうございます!ありがたい回答でした。 賢治が序文でそんなことを言って煙に巻いてましたか!これはおもしろいですね!“わたくしにもわからない”などと言っているようですが、実際は人に読んでもらいたくて仕方がなかったような気がしてなりません。  狩猟のために都会から、おそらく東京から来た紳士二人の傲慢な会話は、岩手県出身の賢治の何か“思い”がありそうな気もします。都会人のエゴイズムを嘲笑うような。  この作品は子ども向けのようでもあり、実際小学生ぐらいで読む機会が多いらしいですが、大人が読んでも唸りたくなりますね。って私だけかも!? ありがとうございました。とっても参考になりました!

その他の回答 (5)

回答No.6

一般的には、「二人の若い紳士」を当時の富裕階級になぞらえて揶揄しているということになると思います。 なんだか、つまんないですね。(♯5の方の真似のようですが…。) おそらく「社会に対し訴えている」というような観点では、こんなことで溜飲を下げているという卑小な作者の姿しか見えてこないのではないでしょうか。 私個人の感覚としては、これはごく単純にユーモア小説として理解しています。読者が「おもしろい」と思うことができれば万々歳で、そうでなければ「じゃあ別の本を読もう」でいいのではないかと…。 宮澤賢治の信奉者には怒られてしまいそうですが、卑近なスローガンに置き換えるよりも高尚な解釈なのではないかと私は思います。 関係ないのですが、後半の山猫(?)たちの会話も、間抜けといえば間抜けです。

viol
質問者

お礼

これはまた!おもしろいご意見です! 二人の紳士を揶揄しているというのは私も同感ですが、この後のご意見には、つい、“揶揄執筆中に溜飲を下げている賢治”の姿を想像して、ちょっと笑ってしまいました!  書き始めたときには、これを訴えたいんだ!という気持ちはなく、書き終わったらこんな作品になったのかもしれませんね。  文芸評論家などが「これの意味するところは…」などと解釈しようとしますが、筆者が考えてないところまで意味を持たせたりしていることもあるかと思います。そして、私もどちらかというとそうしがちです。でも、読むだけじゃなくて、作品についていろいろ考えるのって楽しいですよね。 この度は、貴重なご意見をありがとうございました☆ P.S. 山猫たちの会話に加えて、最後の最後まで疑わない紳士たちの会話も間抜けで楽しいですね。ここが子どもにはウケるのかな。死んでしまった白熊のような犬がなぜか生き返って助けに来るのが不思議。冒頭で死んでしまう理由もかなり変で、なんだかやっぱり魅力ある作品です。

  • yko_
  • ベストアンサー率42% (29/68)
回答No.4

こんばんは。 私も初めて読んだ時、結末に「あっ」としました。 「物事は多角的に捉えろ」と私は解釈しております。

viol
質問者

お礼

こんばんは。ご回答をありがとうございます。やはり、結末に驚かされましたかー。そうですよね。私もビックリしました。なぜか他の生徒とは違い、最後に白熊のような犬2匹が人間を助けるので、やっぱり犬って大好き!などという読後感をもった記憶もあります。これはメインストーリーの解釈とは異なりますが…。確かに、物事は単純には進まないときもありますよね。興味をそそる不気味な中盤、そして最後・・・。面白いのですが、このストーリーで賢治は何かを訴えているのか、訴えていたいのか・・・うーむ。

  • lush
  • ベストアンサー率0% (0/7)
回答No.3

今考えると、まんまと騙される手口かな??と思います。小学生の頃は楽しく読んだのですが、大人になった今では恐ろしい話だと感じます。「おまえは罠に引っかかった!いずれ喰われるのだ!!」という具合に。

viol
質問者

お礼

ご回答をありがとうございました。小学生の頃は、楽しくお読みになったのですね。私は後味がいまいち、という感じでした。ふてぶてしい人間二人が、おっしゃる通り、まんまと騙されていくのですが、このストーリーが何かを知らしめてようとしてるー???何か風刺してるー???という考えにとり付かれてしまいました。単純に読んで終わっていた作品を、他の解釈があるんじゃないかと振り返ってしまいました。考えれば考えるほど考えたくなり、本当に恐ろしい!もしかして、これも賢治の罠?(^^)

  • endoh3
  • ベストアンサー率40% (20/49)
回答No.2

こんにちは、小学校で習ったときにストーリーが衝撃的だったのを今でも覚えています。 『注文の多い料理店』の解説 “二人の青年紳士が猟に出て路を迷い「注文の多い料理店」に入りその途方もない経営者から却って注文されてゐたはなし。糧に乏しい村のこどもらが都会文明と放恣な階級とに対する止むに止まれない反感です。”(http://www.lib.meiji.ac.jp/serials/kiyou/kindai/node3.htmlより抜粋)

参考URL:
http://www.lib.meiji.ac.jp/serials/kiyou/kindai/node3.html
viol
質問者

お礼

ご回答をありがとうございます。確かにこの作品は展開が衝撃的でしたよね。最初は面白そう!と思って読んでいるのに、途中で怪しくなり、最後にはゾーッとして終わるのですものね。驚きでした。ご案内してくださった解説のページ、意外な事が書いてあって楽しかったです。この作品にかける賢治の情熱が伝わってきました・・・ありがとうございました。

  • reply
  • ベストアンサー率16% (34/204)
回答No.1

食べられる身にもなって見ろ。ということでしょうか。

参考URL:
http://www.okakogi.go.jp/People/miwa/document/miyazawa/tyuumon.html
viol
質問者

お礼

早速のご回答をありがとうございました☆ そうですね、鉄砲をもった二人の人間・・・狩猟するつもりが、反対に食べられそうになってしまう話で、私もそのような解釈をしていました。ところが、ふと、賢治はもっと別の事が言いたかったんじゃ!?と思って、他の人の意見を聞こうと、質問をさせていただきました。すぐに答えていただきまして感謝しています。ありがとうございました。

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