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※ ChatGPTを利用し、要約された質問です(原文:事後強盗致死と承継的共同正犯)

事後強盗致死と承継的共同正犯についての疑問

_juliusの回答

  • _julius
  • ベストアンサー率46% (85/181)
回答No.2

#1です。 さて,以下,事案の検討の骨子を示します。 1. 第1暴行から致死結果が惹起されたと仮定した場合 (1) 甲の罪責 まず,甲は,窃盗の実行に着手し,その後に「逃亡するため」第1暴行を行っています。 この行為が事後強盗罪を構成し,それが致死結果を生じているわけですから, 事後強盗致死罪が成立します。 さらに,甲は乙と意思を通じてBに更に第2暴行を加えています。 これも,窃盗の実行に着手後に逮捕を免れる目的で暴行を行っているわけですから,事後強盗罪が成立します。 したがって,甲は第1暴行について事後強盗致死罪,第2暴行について事後強盗罪が成立し, 両者は接続犯として包括一罪の関係に立ちます。 (2) 乙の罪責 乙は,第1暴行に直接関与していませんから, 第1暴行(事後強盗致死)については承継的共同正犯の成立を認めない限り,責任を負いません。 つまり,承継的共同正犯否定説からは,乙の罪責は専ら第2暴行についてのみ問題となります。 で,第2暴行について乙の罪責を検討する際に問題なのは, 乙は「窃盗」でないから,単なる暴行(ないしは傷害)なのか, それとも乙も事後強盗たり得るのか,という問題です。 これは第1暴行ないしはそれに先立つ窃盗行為が承継されるかの問題でなく, 全く「窃盗」をしていないが,自ら暴行(本件でいう第2暴行)を行った者に事後強盗の成立を認めるか,と言う問題です。 判例の立場に従えば,この場合,65条1項により,「窃盗」の身分を持たない乙も事後強盗罪の共同正犯として罪責を負います。 重ねて言いますが,これは第2暴行についての罪責です。 (3) 共犯関係 既に触れた部分もありますが,甲・乙の共犯関係について処理します。 まず,第1暴行について。 これは甲が単独で行ない,かつ乙について承継的共同正犯を認めないので, 甲が単独犯として事後強盗致死罪を負うに留まります。 次に,第2暴行について。 これは甲・乙が共同して行い,なおかつ,事後強盗罪については65条1項の適用があるので, 甲・乙について事後強盗罪の共同正犯が成立します。 (4) 結論 以上より,甲については第1暴行について単独犯としての事後強盗致死罪が成立し, 第2暴行について共同正犯としての事後強盗罪が成立。 両者は包括一罪の関係に立ちます。 乙については,第1暴行について罪責を負わず,第2暴行について共同正犯としての事後強盗罪が成立します。 2. 第2暴行から致死結果が惹起されたと仮定した場合 (1) 甲の罪責 まず,甲単独の第1暴行については,事後強盗罪が成立します。 さらに,第2暴行も事後強盗罪を構成し,それが致死結果を生じているわけですから, 第2暴行について事後強盗致死罪が成立します。 したがって,甲は第1暴行について事後強盗罪,第2暴行について事後強盗致死罪が成立し, 両者は接続犯として包括一罪の関係に立ちます。 (2) 乙の罪責 1.で述べたように,承継的共同正犯否定説からは, 乙の罪責は専ら第2暴行についてのみ問題となります。 そして,1.の仮定と違って,まさにこの第2暴行から致死結果が生じているのですから, 65条1項の適用の有無に関わらず,何らかの形で致死結果について罪責を負うことになります。 つまり,65条1項の適用を認めるなら,乙は事後強盗致死の共同正犯となるし, それを認めないなら傷害致死の限度で共同正犯が成立することになるでしょう(部分的犯罪共同説)。 で,判例は前者なので,それによれば事後強盗致死の共同正犯です。 (3) 共犯関係 さて,甲・乙の共犯関係について処理します。 まず,第1暴行については,甲が単独犯として事後強盗罪を負うに留まります。 次に,第2暴行について。 これは甲・乙が共同して行い,なおかつ,事後強盗罪については65条1項の適用があるので, 甲・乙について事後強盗致死罪の共同正犯が成立します。 (4) 結論 以上より,甲については第1暴行について単独犯としての事後強盗罪が成立し, 第2暴行について共同正犯としての事後強盗致死罪が成立。 両者は包括一罪の関係に立ちます。 乙については,第1暴行について罪責を負わず,第2暴行について共同正犯としての事後強盗致死罪が成立します。 3. 「疑わしきは被告人の利益に」 以上見て来たように,仮定1.を採っても仮定2.を採っても, 甲の罪責は包括一罪としての事後強盗致死罪になります(1.なら単独犯,2.なら共同正犯として)。 ですので,甲によっては1.でも2.でも同じです。 ところが,乙の罪責は, 1.なら,事後強盗罪の共同正犯, 2.なら,事後強盗致死罪の共同正犯ですから, 「疑わしきは被告人の利益に」より,1.の仮定を採用すべきです。 以上より,甲・乙の罪責は,1.の(4)で述べたように, 甲については第1暴行について単独犯としての事後強盗致死罪が成立し, 第2暴行について共同正犯としての事後強盗罪が成立(両者は包括一罪)。 乙については,第1暴行について罪責を負わず, 第2暴行について共同正犯としての事後強盗罪が成立します。 以上,重ねていいますが,あなたの最大のミスは, 第1暴行と第2暴行それぞれを別個の検討とせずにごちゃ混ぜにしている点です。 何か質問があればお礼にてどうぞ。

erothquake88
質問者

お礼

とっても丁寧な回答ありがとうございます。 場合分けした上で、二つの暴行を別個検討するというプロセスをすっとばしていたのに加え、「疑わしきは被告人の利益に」の原則についても全然考えておりませんでした。 _juliusさまの回答を読んだ上で模範回答を読み返したところ、どうも(1)場合分け(2)個別検討(3)利益原則のプロセスを重ねると結局、死因が共犯の相手にあった場合を想定すれば結論がでるということらしく、そのへんの説明を省いたままその想定に則った論述がなされているため、「なんか整合性ないしワケワカラン」となっていたようでした。ちなみに、その解説では問題文の事情を「乙の暴行時にはすでに甲は逃走していた=共同実行の事実はない」と解釈しているらしく、甲については共謀共同正犯で処理してました。 追加質問、もはや当初の質問の趣旨から逸れてしまうかもわからないのですが、もうひとつスッキリしない点があるのでさせていただきます。 このような事例において、そもそもその傷害(および死亡)結果が共犯者の内どちらかによるものなのかを確定する必要性ってどこにあるのでしょうか? 甲と乙の暴行行為は時間的場所的に接着するのだから、ふたつの行為は一連一体のものとして、通常の共同正犯の類型として処理することはできないのでしょうか? 同時に暴行を開始した場合は死因不明でも一部実行全部責任で帰責できて、すこしの時間差がある場合には承継的共同正犯が否定される以上、利益原則適用、というのは結論に落差がありすぎるように思います。 本問の場合、乙参加前に甲は一発しか(!)蹴ってないわけで、しかも、乙が蹴っている間に甲は逃走しています(by模範解答の問題文解釈) つまりどちらも一発ずつしか蹴っていないわけで、しかも死因がどちらによるのか不明なほど両者の行為態様や程度が似通ってるなら、多少時間差があろうが、ふたつの行為が相互に影響して死をもたらした、と考えるほうが自然な気がしてしまいます(最初の混乱もこの考えがあったため?)

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