• ベストアンサー

「限りなく近づく」にまつわる疑問

tinantumの回答

  • tinantum
  • ベストアンサー率56% (26/46)
回答No.7

同じような疑問を持つ方が大変多いので,少し説明を試みてみます.特に, 疑問1 「1に限りなく近づく」というイメージだけで、     0.999・・・=1としてしまってよいのか。((1)は本の文章をそのまま抜き出し) という疑問にお答えしてみます. まず答えをいうと,もちろん,イメージだけでしているわけではなく,”十進法の定義”から上のような等式が得られるということです.そのために,十進法(本質的には二進法でも,n進法でも何でもよいですが)の定義(数の表記の約束事)から理解しなくてはなりません. ご存知の通り,十進法は,数を表すために人類が編み出した素晴らしい工夫の表記であり,無限にある数をたった十個の文字(0,1,2,3,4,5,6,7,8,9)だけで表せるという発明です.例えば,十進法がなければ,『一』や『五』などだけでなく,『百』とか『千』とか,無数に記号が必要になってしまいますが,十進法では百は『100』と表せばよいし,『八万千五百九』は『81509』と表せば事足りて,どんな大きな整数も表すことができますね.我々は十進法の表記にすっかり慣れてしまっているので,十進法で表した表記を実際の数字に表す約束事を暗黙のうちに脳が理解して処理していますが,ちゃんと約束事を述べると, 例えば『81509』の場合,『万』が八つあり,『千』が1つあり,『百』が五つ,『一』が九つ,あるような数を『81509』と表すということですね(ここで,あえて『10000』や『1000』と書かずに『万』や『千』などの数を書きましたが,”十進法表記や漢字表記やどんな表記をしようと”表記の以前に『万』や『千』などの『数』という概念が先行して存在していることに注意してください.例えば『三』という数は『・・・』という風に・が三つあることをイメージしたり,『万』というのは・が本当に一万個あることをイメージしてください.ちなみに余談ですが,十は一つもないということを表すために,零という数の発明が重要になります.もし0がなければ,上の約束事が8159となってしまい,八千百五十九と区別がつかなくなります). 上の十進法の表記の約束事を数式で書くと, 『81509』= 8*10000 + 1*1000 + 5*100 + 0* 10 + 9*1 です.これをさらに拡張すると,必ずしも整数でなく,一部の小数も書くことができるようになります.それが,例えば 『81509.234』 という小数ですが,これは『一万』が八つあり,『千』が1つあり,『百』が五つ,『一』が九つ,にさらに,『十分の一』が二つ,『百分の一』が三つ,『千分の一』が四つある数を表しており,数式では 『81509.234』= 8*10000 + 1*1000 + 5*100 + 0* 10 + 9*1 + 2*0.1 + 3*0.01 + 4*0.01 ということになります.このようにすることでかなり多くの実数(十進法で有限小数で止まるような数)が表記されます.文字で書くと, a_N a_{N-1} … a_1 a_0. a_{-1} a_{-2} … a_{-M} (ただし a_i は 0,1,...,9のうちのどれか) という表記を見たら,それは a_N*10^N + a_{N-1}*10^{N-1} + … + a_1*10^1 + a_0* 10^0 + a_{-1} 10^{-1} a_{-2} 10^{-2} + … a_{-M} 10^{-M} = Σ_{k=-M}^{N} a_k 10^k … (1) という数を表していることになります. ところが,これでは任意の実数が十進法で表現できなくなってしまいます.例えば典型的な例は『三分の一』や『円周率』という数です.こういうのは,無限小数表記を十進法に取り入れることで表せることになります.ようやく本題に近づきましたが,例えば十進法で 0.3333333333… のように,右に無限に数字が並んでいる場合,(1)式の有限の場合を一般化して,数を表す約束事を次のように”定義”します(← ここに注意してください). 0.3333333333… = Σ_{k=-∞}^{-1} 3 10^k = lim_{M→∞} Σ_{k=-M}^{-1} 3 10^k です.より一般的には, a_N a_{N-1} … a_1 a_0. a_{-1} a_{-2} … a_{-M} … という十進法の表記は,次の数 lim_{M→∞} Σ_{k=-M}^{N} a_k 10^k … (2) を表していると約束しているわけです.(ここで厳密には,lim_{M→∞}というのは,ε-N論法で定義される極限です.) では,本題の 0.99999… という十進法の表記ですが,これは何の数を表しているのか?ということになります.ところが定義(2)によると,これは lim_{M→∞} Σ_{k=-M}^{-1} 9 10^k = lim_{M→∞} Σ_{k=1}^{M} 9 10^k = lim_{M→∞} 9 Σ_{k=1}^{M} (1/10)^k = lim_{M→∞} 9 (1/10 - (1/10)^{M+1})/(1 - 1/10) = 9 (1/10)/(1 - 1/10) = 9 (1/10)/(9/10) = 1 となり,『1』という数を表していることになっていることがわかります.これがよく話題に出る 0.99999… = 1 という一見矛盾したように見える等式の正体です.『一』という数は,『0.9999…』もしくは『1』と十進法表そうが,漢字で『一』と書こうが,『I』と書こうが,・という・が1つというイメージで持とうが,表記の以前に実在した数でそれは悪魔でもただ1つの存在であることに注意してください.ところが,十進法では,この『一』という数を表すとき, 0.99999… とも表せるし, 1 とも表せる,という表記の一意性がないということにすぎないのです(表記が一般的に一意でないことは,ある意味で十進法の欠点とも言う人もいますが,普段それを意識することはほとんどないでしょう.ただし十進法を用いたある種の証明を行うときは,この非一意性は注意しなくてはなりません.例えばカントールの対角線論法による実数の濃度は自然数の濃度よりも大きいという証明では注意を必要とします). 同じ『一』という数がなぜ上のように一意にならないか?という疑問には答えていませんが,十進法の気持ちを考えると,次のようになります.普通の人は, 『一』 を見て,すぐに,この数は『一』が一つだけなので,十進法の約束から, 1 と表記するでしょう.しかし少しひねくれた人は, 『一』という数には,まず『十分の一』が『九つ』あり,これだけでは足りないから,さらに『百分の一』が『九つ』あり,まだ足りなくて『千分の一』が『九つ』あり,…これが一生終わらない…ということになり,0.99999…と表そうということになる可能性もあるわけです. 以上,推敲せずに長々と書いて見ましたが,ポイントは (A)『数』は表記法に先行して存在する概念である, (B)数を表すのに十進法の表記の約束事,特に無限小数の十進法の約束は極限で定義されていること, (C)同じ数を表すのに十進法の表記は一意ではなく,それが 0.9999 … = 1  という二通りの表記となって現れているということです. どうでしょう?

materialer
質問者

お礼

回答ありがとうございます。 文字式のところはよくわからなかったけれど、もう少し勉強が進んだら読み返してみようと思っています。 0.999・・・=1は、イメージからではなく、実は十進法の定義から得ていたんですね。質問しなければわかりませんでした。感謝します。 十進法という表記の話、ポイントA~Cなど、とても役に立ちました。 特に圧巻だったのは、 >しかし少しひねくれた人は・・・ のところです。確かに十進法の気持ちを考えていますね。ちょっと感動を覚えました。

関連するQ&A

  • πの近似(1-1/3+1/5-1/7+…)について

    有名なπ(正確にはπ/4)の近似式 1-1/3+1/5-1/7+… がありますが、これについての質問です。 この無限級数表示は大変美しい式に思いますが、収束の遅さで有名でもあります。第n項を(-1)^{n-1}/(2n-1)と書くならば、直感的に言って、第n項以降の和の絶対値はだいたい第n項の絶対値ぐらいであって、したがって第n項までの和を取ったとき、第n項の絶対値ぐらいの誤差が依然として残るからです。第n項の絶対値は大抵の無限級数より圧倒的に大きく、収束が遅いというわけです。 普通、小数展開をしてみたとき、小数第m桁で真の値とずれが生じたら、有効数字はせいぜいm桁程度であろうと想像します。したがって直感的には小数第m+1桁目以降の数字にはほとんど何の意味もないものと思いがちです。ところが、上の無限級数はやや変った収束の仕方をする、とどこかの本で読んだことがありました。確か志賀さんの数学が育っていく物語、か何かだったと記憶しています。ふとそれを思い出して、計算機で数値計算をさせてみました。 たとえば、4(1-1/3+1/5+…)を1京(=10^16)項まで足すと、 3.1415926535897931384626433832795028841971693993753558209749445923078164062862089955030348253421170679821… このようになります。真の値πは 3.1415926535897932384626433832795028841971693993751058209749445923078164062862089986280348253421170679821… です。既に小数第16位で真の値とずれてしまっていますが、以降の桁についても明らかに無意味な数字の列だとはとても思えないわけです。上では省略した桁以降についても延々と意味ありげな数字が続き、ところどこの桁で真の値とずれた状況が続きます。いったいどうしてこういう不思議な収束の仕方をするのでしょうか? ちなみにだいたい小数点以下第200位ぐらいまではかなりの桁で真の値と一致しています。それ以降はまったくでたらめな感じでした。

  • 無限級数と無限数列の違いについて

    無限級数の和を求めよ、といった場合0に収束しない場合、「数列{An}が0に収束しないから、この無限等比級数は発散する」となりますよね。それは級数ってのは数列の初項からn項(n→∞)まで足した場合、第∞項にいっても0にならなければ永久に数が増えるために発散ということでしょうか。 数列というのは最後の項(∞)の数値はなにか?ということでしょうか。それで第∞項(←こういう言い方は正しいか分かりませんが・・・)がなんかの値に限りなく近づいていったらその値に収束。ということでしょうか。 つまり、例えば数列のn項(n→∞)が1に収束しても、級数は数列が収束したからって、1を永久に足し続けるから発散。ということでしょうか? ほかにも、数列が、増幅でも減衰でもない一定の振動をしている場合は、1-1+1-1+1・・・となって、合計が1,0,1,0,1,0・・・と0と1を振動してるだけなので級数も振動となるのでしょうか。 似たような問題で、+と-の値で増幅振動するのがあったんですけど,それは数列が0に収束しないから発散となっていました。1-2+4-8+16-32・・・ となり級数も振動すると思うのですが、解答に発散となっていたので、何かの値に収束しないものは(振動なども)すべてまとめて発散というのでしょうか? ずらずら質問というか確認のような感じで書いてしまいましたが・・・ 極限をやるうえで、意外と大事なところだと思うのでお願いします。

  • 数III 無限級数の収束・発散を調べたい

      与えられた無限級数の 奇数項の部分和 と 偶数項の部分和 が異なる値に収束する よってこの無限級数は振動し、発散する という解法と、 与えられた無限級数の 数列が0に収束しない よってこの無限級数は発散する という解法はわかるのですが、 与えられた無限級数の 奇数項(偶数項)の数列の極限が0に収束しない  よってこの無限級数は発散する という解法が、いまいちピンときません。 どこがわからないのか?といわれても はっきり答えることができないのですが… 3つ目の解法では具体的に どんなことが起きているのか 教えてください。 漠然とした質問ですみません。

  • 無限数列

    一般項が次の式で表される無限数列が収束するか発散するか調べ、 収束する場合にはその極限値を求めよ。 (1) [{(-1)^n}2n]/(n-3) (2)(-2^n)/{(3^n)-1} (1)は分母が1に収束するのは分かるのですが分子はどうなりますか? (2)は全く分かりません

  • 関数と極限

    第n項が次の式で表される数列の収束,発散を調べよ。 (1)0.99 (2)(-4/3)^n (3)(√2)^n で、 (1)0.99は、0.99→0.9801→0.970299と0に近づいているので正の無限大に発散 (2)(4/3)^nは、(4/3)→(16/9)→(-64/27)と符号が-,+交互になっているので振動で発散 (3)(√2)^nは、(√2)→(2)→ (2√2)と増えているから正の無限大に発散 これで合ってますか。どう場合に収束なのか見極め方があれば教えて下さい。

  • 3.1415926535897932384626433832795028…

    πの小数点以下のどこかに”1”が100億回連続で並ぶことはあるのでしょうか?私は、無限に続く数列のどこかにかは”1”が100億連続で並んでいる箇所があると思います。なぜなら、この数列が存在しているということは、存在していないということより先に証明されるからです。

  • 数列の質問です。

    下記のような数列があります。 15, 17, 19, 22, 25, 28, 32, 36, 41.... この数列では 第2項 = (34 * 初項 / 30)を小数点以下四捨五入した数 第3項 = (34 * 第2項 / 30)を小数点以下四捨五入した数 第4項 = (34 * 第3項 / 30)を小数点以下四捨五入した数 というような法則があります。 ※ちなみに、プログラム(objective-c)にて小数点以下の四捨五入はやってくれます。 このとき項数nを用いて、各項の値を求めたいのですが、どのように求めれば良いでしょうか? 文章が拙くて申し訳御座いませんが、この数列のうちnを用いた上昇率が知りたいです。 宜しくお願い致します。

  • 分析学の定理と構造か良く解らず困っています

    解析学の無限数列と実数による数列の収束についての基本知識が乏しく 式の成り立ち、定理の確定までの数列、式共に良くわかりません どなたか式の求め方並びに、定理の基本を教えてください 追伸 先日の質問は軽率な動きを見せてしまいまして、回答をくれた方、並びに、質問を御覧頂いた皆様に、大変申し訳ないことをしました。 この場で心よりお詫び申し上げます

  • フェボナッチ数列と黄金比との関係

    ある本に、フェボナッチ数列の隣り合う項の比をとっていくと(a_1/a_2, a_2/a_3,...のように)ある値に収束していき、その値が黄金比になると書いてありました。いきなりのつながりでびっくりしたんですが、フェボナッチ数列と黄金比の間にはつながりがあるんでしょうか?なぜ、収束値が黄金比になったんでしょうか??教えてください。

  • 不等式 |a-b|<(1/2)|b| ならば |a|>(1/2)|b| (a,b:複素数) の証明

    解析の本で ある複素数列がある複素数に収束するとき その逆数の数列が収束値の逆数に収束する証明で使われています。 なんか自明のように使われていました。 虫のいいお願いですが、 複素平面を利用した幾何的な証明と 代数的な(式による)証明と いただけるとうれしいです。