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ヴァイオリンと調 ver.2

droitegaucheの回答

回答No.3

フランス在住の専門家(チェロ)です。 すでにお二方がお答えになっていらっしゃるので蛇足ですが、大変鋭いご質問なので興味を持ちました。 このご質問には長三度音の取り方と言う非常に高度な内容が内在しています。 ご承知かと思われますが長三度は、完全5度を4回重ねて得られる長3度より低めに取ると響きが美しいのは良く知られています。よってバイオリン族の楽器は調性音が開放弦上にあると長三度(短三度も)が調節しやすいので非常に便利な調と言えます。殆どのヴァイオリンコンチェルトがG,D,A,Eの長調かその並行短調です。 ご質問のF-durのような調ですが、今度は開放弦が3度音になるので先ほどの小さめの3度を得る為にはB♭、F、C といった根音をわずかに高めに取らなければなりません。 しかしここで大きな問題が生じます。 ためしに次の事を実験してください。(ご存知だと思いますが) 開放弦を完全な3対2の5度に調弦した後Eにあわせて高めの美しく響くC(小さい3度)をA線で取ります。そのまま指を残して今度はD線で完全4度下のGを取り、隣のGの開放と比べてみてください。オクターブがかなりずれるはずです。 これは古くから知られているピタゴラスの完全5度(3対2)から起こる不都合で、この不都合をある程度妥協的に解決したのがバッハの友人だったヴェルクマイスターなどの人たちです。 弦楽器の場合は音程は随時自由に取れるので一見問題が無いようですが開放弦が重要な音楽、特にバロック期からクラシック期にかけての音楽では大変深刻な問題ともなりえます。 解決法としては、一般的に、特にバロック音楽や弦楽四重奏などでは、5度を耳障りにならないぎりぎり程度に小さく取ります。こうすると先ほどの実験でのG-Gのオクターブが正しく響きます。 弦4ではべートーヴェンの16曲中、3曲がF-durで、11番の F-mollのセリオーゾも数えると全体の4分の1もの四重奏がこの調で書かれているのは示唆的です。 他にもドヴォルザークの「アメリカ」など多いですね。 これらのF-dur四重奏曲は先ほどの小さい5度で調弦してヴァイオリンのEとヴィオラ、チェロのCがきれいに響くように調弦しないと非常に濁りやすくなりますが、反対にこの調弦にすると独特の美しい響きになります。  ベートーヴェン等はおそらくこの様な調弦を念頭に書いていたのだろうと思います。 蛇足気味ですが、モーツァルトは♭系ではむしろB♭、E♭の方を多く使いますね。

Tallis
質問者

補足

>>5度を耳障りにならないぎりぎり程度に小さく ミーントーン5度のことでしょうか? 鍵盤抜きの弦の合奏はピタゴラス調弦と思っていたので正直びっくりです。

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