送料は実費でなければならないのでしょうか？

質問

ゆうパックの持込割引のキャッシュバックは誰のものかという質問を見かけたのですが、大半の回答は「送料は実費でなければならない」つまり落札者のものという内容でした。

送料が実費でなければならないなら、以下のURLの弁護士の見解は間違っているということでしょうか？

http://allabout.co.jp/internet/netauction/closeup/CU20040125A/index3.htm

回答No.7

moon_sky_tokyo

１（１）
　まず前提として、郵便局に支払う送料の所有権は誰にあるのかを考える必要があります。

　（２）
　この点、落札者の代理人として郵便局と運送契約をしたとし、送料を負担した落札者の所有物と考えることができます。
しかし、この考え方は、オークション取引において商品売買契約と商品発送契約が成立していることを無視しており、妥当とは言えません。

　やはり、支払う送料の所有権は出品者にあると考えるべきです。
なぜなら、送料相当分の対価を得た代わりに商品発送義務を負ったと考えられるからです。
このことから、持込をした者に対する利益還元の「持込割引」相当分や、発送したものに対する利益還元の「ゆうパックシール」は、当然出品者のものと言えます。

　（３）
　持込割引があった場合でも送料は「実費」でなければならないと考えるのは、この「持込割引」相当分の帰属にかかわらず、「実費」すなわち「郵便局に支払った対価」を契約の根拠にするためと思われます。

　（４）
　と言うわけで、「持込割引分」や「ゆうパックシール」は誰のものかと言われれば、出品者のものというのが答えになります。

２（１）
　では、「ゆうパックシール」での無料発送をした場合、「実費」は０円なのかでしょうか。

　（２）
　たしかに、No.4さんのように「実費」を実際に「現金」で支払った額と見ることもできますが、社会通念上は金券等の「有価証券」で支払ったものも「実費」に含まれることから、「実費」の概念をそこまで狭く考えるのは妥当ではありません。

　（３）
　この点、「ゆうパックシール」は、それを使うことにより運賃の支払いが免除されることから、「有価証券」に準ずるものといえます。
したがって、すでに所有していた切手と言う「有価証券」を使って発送した場合と同じく、「ゆうパックシール」を使って発送した場合であっても支払免除される前の送料が「実費」になると考えられます。

　（４）
　一個人が郵便局から受けた説明を持って、「ゆうパックシール」に財産的価値がないとするのは早計です。
また、「ゆうパックシール」の有価証券性を無視した不当な結論ともいえます。

　ゆうパックを持ち込んだ「労力」に有価証券性すなわち財産的価値を認めることはできませんが、無料発送をすることができる「ゆうパックシール」に有価証券性を認めないのは妥当とは思えません。

　なお、「有価証券」とは私法上の権利（財産権）を表章する証券であって、証券の占有を必要とし、それによって表章される権利の移転または行使が証券の授受によってなされるものをいいます。