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ロケットはなぜ猪突猛進なのか?

joshua01の回答

  • joshua01
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回答No.10

こんにちは。素朴ながら楽しく、かつ、奥深い質問ですね。私も混ぜてください。  質問者さんのご指摘の点はごもっともです。すでにいろいろ回答が集まっているようですが、実は科学者もみんな悩んでいる問題なのですがなかなか良い方法がなく、仕方なく一気に打ち上げている状況のようです。次のような答えはいかがでしょうか。  ポイントは、「空中に浮かすだけで莫大なエネルギーを使ってしまうから、さっさと無重力に行ってしまいたい・・・」  ロケットは本当に猛烈な噴射をして猪突猛進・猛加速していますよね。もうちょっとのんびり上がっていけば乗り心地もいいのに・・・。  実は宇宙研究の科学者や通信会社にとっても、科学測定器や4トンにもなる高価な衛星が故障する大きな原因としてあの加速が問題になるので、ぜひ「ゆっくり」上がってほしいし、ロケット会社もその要望にこたえるように努力はしています。しかし・・・  さて、あの噴射、実は次のような3つの意味を持っているのはご存じでしたでしょうか。 (1) 上(宇宙)に行く  当たり前ですよね。空気抵抗のない高さの例として、国際ステーションで高度約400km。いわば、人工衛星に高さ400km分の「位置エネルギー」は与える必要があります。でもそれだけならゆっくりやればいいですね。だって、旅客機が高度10000m(10km)に行くのも20分もかけてゆっくり上るのですから。 (2) 加速して、落ちてこないような「軌道」に載る  実は、ただ上にに行っただけではだめです。地球の重力が明確にわかるほど弱くなるのは数万km以上遠くであり、400km程度ではほとんど重力は弱まっていないのでエンジンを止めるとすぐに落ちてきてしまいます。  衛星が落ちてこないのは、真横に高速で移動して「見かけ上の無重力」になっているから。  この原理は難しいですが、例えば、東京から太平洋に向けて大砲を撃ったとき、強力に打ち出すほど遠くへ飛びますよね(砲身から出た後は運動は「自由落下弾道」であり、大砲の弾の中では無重力になっています)。強く撃てばハワイまで飛び、もっと強力に撃てばアメリカ本土まで飛び、さらに強力に撃てばアフリカまで、さらに強力に撃てば東京まで戻り、さらに強力ならさらにハワイまで・・・。このとき、空気抵抗がなければ、とうとう地面に落ちることが出来ずにぐるぐる回り続けるのが「周回軌道」(無重力軌道)です。  もっともこれは、本当の意味では「無重力」ではなく「重力と運動経路のバランスがとれている」とでも言うべきで、この軌道のための横向き速度は秒速約10km(時速3万キロ以上)必要と計算されます。4トンもの衛星を時速3万キロ以上に加速するためには、膨大な噴射が必要なのはご理解いただけるでしょう。実は、上に向けて打っているように見えるロケットですが、横向きに加速するために相当の噴射力を使うのです。 (3) 浮いているだけでエネルギーを使う。  たぶんお気づきでしょうが、(1)も(2)も、それだけならゆっくりやればいいはずですね。その分だけ、機械にも人間にも負担は少なくなります。  ところが、意外に困るのが、基本的な「浮かせるだけの無駄エネルギー」。ロケットやジェットの噴射で重いものを「浮かせる」(支える)場合には、台やロープで支えるのとは異なり、地面ぎりぎりで浮いているだけ(位置エネルギーを与えていない)でも一秒ごとに膨大な燃料が必要となります。上に行くのがゆっくりであるほど、「支えるだけのための無駄なエネルギー」が増えてしまいます。  そこで、一秒でも早く必要な高さに到達し、一秒でも早く横向きに加速することにして、何はともあれ猛烈に噴射する・・・ということでしょう。 (他の方がご示唆された「軌道エレベータ」は、まさにこの「支える無駄エネルギー」の問題を解消するための提案です。)  でも、あれ?、これまたお気づきですよね。「浮かせるための力が無駄になる」問題なら、飛行機だって問題でしょう?・・・・  実は飛行機も似たような問題は抱えています。しかし、飛行機には大きな味方がついています。それが「空気」です。空気は、「翼に当たる風」の形にすると、強力な「台」(緩い斜面)として働きます。これはまさに質問者さんの「螺旋階段」の例と言って良いでしょう。真上に行くロケットであれば100tの重さに対して最低100tの噴射力が必要ですが、飛行機はこの「斜面状の台」のおかげで100tの重さに対して20tくらいの力で横向きに噴射してやれば浮いていられるだけでなく、20tの力さえも横向きの移動に役に立つので問題が目立たないのです。  でも、あれ?、またまたお気づきですよね。それなら、ロケットだって、一度飛行機に乗せて浮かせながらゆっくり上ればいいじゃないか・・・・  そのとおりで、他の方のご示唆にもあるように実際に何度かチャレンジもされています。ところが、結局あまり役に立っていません。それは、考えても見れば当たり前で、空気を「台」として使えるのはせいぜい20000m(20km)くらいまで。例に上げた400kmに対してさえわずか5%です。それだけのために飛行機を別に用意するのも金がかかるだけなので、結局、「さっさと上がり終わるように、猛進する・・・」というのが現在の状況です。  さてさて、いささか長くなってしまいましたが、いかがでしょうか。  お役に立てば幸いです。

disaster
質問者

お礼

 とても勉強になりました  ありがとうございました

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