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通常インフルエンザでさえタミフル耐性を持った位なのに新型には効くの?
noname#160718の回答
Jagar39です。 >インフルエンザとは自己増殖の為にノイミニダーゼを利用する >物と決まった物では無いと言う事なのでしょうか? いえ、インフルエンザウイルスにはノイラミニダーゼは必須です。ノイラミニダーゼなしに増殖できるような変異を遂げてしまったら、それは間違いなくインフルエンザウイルスとは別種に分類されるでしょう。それどころかオルソミクソ科からも外れてしまうでしょうね。 タミフル耐性とは、ノイラミニダーゼを利用しなくなったのではなく、ノイラミニダーゼの"形"が少し変わっただけのことなのです。 ノイラミニダーゼは、"ase"という接尾語から判るとおり、酵素です。細胞内で組み立てられたウイルス粒子が細胞の外に出て行く(出芽)時に必要になる酵素で、これは質問者さんは「ノイラミニダーゼを"利用する"」と書かれましたが、元々インフルエンザウイルスが持っている構造蛋白です。 タミフルは、そのノイラミニダーゼの作用を阻害する効果を持つ薬剤で、つまり「細胞内で増殖したウイルスが細胞外に出芽することを抑止する」効果を持ちます。既に増殖したウイルスを殺す作用はないので(そんなことインフルエンザに限らず不可能ですが)、発症後一定の時間しか有効ではないわけです。 で、中学か高校の理科(生物)で習ったと思いますが、"酵素"の定義とは蛋白質でできた触媒ですよね。触媒というのは、自分自身の量は化学反応前と後で変化せずに(すなわち化学反応で消費or生成されない)、化学反応を促進する働きをする物質のことですが、その"働き"は「形」が重要な鍵である、と習った記憶がありませんか?鍵と鍵穴、という例えを記憶されてるでしょうか。 その「形」とは、例え話ではなしに正真正銘の「形」なんです。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B5%E7%B4%A0 形が変わってしまうと、基質に結合できなくなり、酵素として働けなくなってしまいます。 その酵素の形は、タンパク質を構成するアミノ酸の配列によって決まってきます。そしてそのアミノ酸配列は遺伝子によって規定されているというわけです。 従って、遺伝子に変異が生じてアミノ酸配列が変わってしまうと、酵素の形が変わってしまうため、酵素としての働きが変わってきます。 タミフルは、このノイラミニダーゼというインフルエンザウイルスが持つ酵素を阻害する薬剤です。どうやって阻害するのかというと、たいていの酵素阻害薬と同様に、ノイラミニダーゼが仕事をする前に、ノイラミニダーゼに結合してしまうわけです。すると酵素は基質と結合できなくなりますから仕事ができなくなるわけです。 さて、酵素と基質の結合は「形」が鍵だと書きましたが、それは酵素と阻害薬の関係も同じです。 インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼをコードする遺伝子に変異が生じ、アミノ酸配列が変化してノイラミニダーゼの「形」が変わると、タミフルがノイラミニダーゼに結合できなくなってしまいます。 これが「タミフル耐性」というわけです。もちろん形が大きく変わりすぎてノイラミニダーゼとしての"仕事"ができなくなってしまえば、耐性以前にウイルス粒子として成立しませんが、「タミフルは結合できず、仕事の効率はさほど変わらない」ような変異をしたウイルスが洗濯されるわけです。 ちなみに余談ですが、私達人間を始めとする生物の遺伝子も、ほとんどはこの「酵素」をコードしています。 遺伝子はアミノ酸を指定し、アミノ酸配列がタンパク質の構造を決める、ということも高校あたりの生物で習ったと思います。つまり、遺伝子とは「タンパク質以外の物質を指定することはできない」わけです。 ではタンパク質以外の骨などの身体の構成要素はどうやって遺伝子が決めるのかというと、例えば骨ならカルシウムを取り込んで・・云々のような「骨を作る化学反応」があるわけですが、それらの化学反応に対応する「酵素」を遺伝子が決めているわけです。まあ身体の構成要素のタンパク質を直接コードしている遺伝子もありますが、基本的にほとんどの遺伝子は酵素を指定していると思って差し支えないです。 ですから「遺伝子は生物の設計図」という言い方をよくしますが、よく考えるとあまり正しいとはいえない例えだということが判ります。 「遺伝子は生物を作るためのレシピ」という例えの方がしっくりきますね。 >インフルエンザの定義としては、どこまでの変異が許されるのでしょうか? ま、8分節のネガティブセンスの1本鎖RNAを遺伝子に持ち、エンベロープを有し表面に赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ、マトリックス蛋白を持ち、非構造蛋白として核蛋白とRNAポリメラーゼ複合体がゲノムと結合した構造を持つウイルス、ということになるのでしょうか。まだ何か抜けてるかも。あ、C型は6または7分節か。 実際は、これと同じ構造を持つウイルスでも遺伝子が大きく違ってくれば、同じオルソミクソウイルス科の別のウイルスとして分類されることになると思います。どのくらい"大きく"かは、その時にウイルス学者の間で議論されることになるかと。 他の生物種でもそうですが、分類に明確な定義なんてありませんから、その時その時の議論の行く末によって決まったり覆されたりします。 >それによっては「ソ連A型の強毒性」という新種」と言う、H5N1でも無い新々型インフルエンザと言う物も出現し得るのでしょうか? ソ連A型というのは、亜型でいえばH1N1になるのですが、「新型インフルエンザ」の定義は、抗原性が大きく異なるため人類が免疫を持たず、爆発的流行が避けられない新しいインフルエンザウイルス、ということですから、現在人類の間で流行しているH1及びH3亜型からは、とりあえず「新型」は出ないかと。現在、人類の間で流行しているのはソ連型がH1N1、香港型がH3N2です。 ま、H3N8なんてウイルスが出てきて猛威をふるえば、これも「新型」ということになるのかもしれませんが。でもH3だと現人類はH3抗原に対する抗体は持っているので、そんなに大パニックになるほどの爆発的流行にはならないかもしれません。 また、人類のインフルエンザは常に入れ替わっています。 基本的に「新型インフルエンザ」が登場すれば、それまで人類で流行していたインフルエンザは姿を消す傾向にあります。 アジア風邪(H2N2)が出現した時、スペイン風邪以来流行していたH1N1は姿を消しましたし、香港風邪(H3N2)と入れ替わりにH2N2も姿を消しました。H1N1は香港風邪と前後して復活しましたが。 なので姿を消して久しいH2N2がどこかで小規模の流行を維持しながら生き残っていたとして、それが何かの拍子に再び大流行すれば、今の人類のある年齢層以下の人は抗体を持たないわけですから、「新型インフルエンザ」と呼ぶに相応しい流行をするでしょう。 他にもH9亜型なども鶏に流行を起こしているので危険視されていますし、本質的にはH1~H16、N1~9までの組み合わせで144種類の亜型のどれが「新型」になってもおかしくありません。(ま、現在のH1N1とH3N2は除きますが) 現在のH5N1は危険視されていて、確かに危険な状況ではあるのですが、それでも「次の新型インフルエンザとなる可能性のひとつ」に過ぎません。 えっと、「強毒」とか弱毒とか言う話は、また少し別の話になるのですが・・・さすがにちょっと書き疲れたので、もし興味がおありでしたらまたの機会に。
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