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純文学・大衆文学

snowairの回答

  • snowair
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回答No.1

未熟な時に論展開したことなので自信がありとはいえないのですが、 宮本輝という作家が純文学作家から大衆小説作家に代わっていった過程を 研究したことがありました。 まず純文学とは純粋な芸術を目指して執筆された作品のこと。 世の流行、読み手への受けを度外視した作品です。 読み手の理解力を考慮していないといってもよいと思います。 大衆小説とは、大衆の理解力を考慮し、興味を引くことをねらいに入れた 作品のことです。 一般的に文学研究においては大衆小説は純文学に劣る風潮がまだまだあります。 たとえば私が研究した宮本輝には「川三部作」といわれる「泥の河」「蛍川」 「道頓堀川」という作品があります。前2作は純文学とカテゴライズされていますが、最後の1作は大衆小説への変遷作として前2作より評価が下がっています。 しかし大衆小説の形態をとることで、多くの人に受け入れられ、テーマが伝わりやすくなった一面を私は評価したい立場です。 明るくすっきりした純文学といわれるとむずかしいですね。 読み手よりも作品の芸術性を昇華させる方向で書かれているので、 ちょっと思いつきにくい・・・。漱石の作品が強いて言えば求められているものに 近いかもしれません。どろどろの原因は人の生と死を直面視した要素が 純文学には多いからではないでしょうか。それに性がからむとなかなかきついものがありますよね。 しかし時を経て読み継がれてきた文学作品には強い魅力があります。 短い作品をよんでみられるとよいかもしれません。 個人的には鴎外、芥川などが好きです。

kaigaisen
質問者

お礼

とてもわかりやすいご返答、ありがとうございました。 よく書店で平積みされているのを目にしつつ、(こんなに作品数が多いと選べない・・・)と素通りしていた宮本輝作品が、純文学から大衆文学へと変遷していったとは知りませんでした。(ひょっとして、大衆文学作家となってからの著作の方が多いのでしょうか?←なんとなく、純文学より大衆文学の方が執筆ペースが速そうなイメージがあるもので)。「道頓堀川」が読みたくなりました。個人的に、(程度によりますが)分かりやすく書かれた作品の方が好きなので。 私が書く側だったら、テーマが伝わりやすい描き方を選ぶような気がします。読み手の顔(?)を浮かべながら書く方がいいです。これも私の勝手なイメージなのですが、同じ書く作業でも、大衆文学を書く作業は一種のコミュニケーションなのに対し、純文学は本当に孤独な作業という感じがするんです。純文学には、読み手のうけを排除して書くからこその、つきつめられ完結された作品観があって、それが魅力となるのでしょうが、自分がそういう風に書くのは辛いです。魂を削られそうで。でも、そのようにして書かれるからこそ、人の心を打つのでしょうね。 >漱石の作品が強いて言えば求められているものに 近いかもしれません。 お薦めありがとうございます。中学一年生の頃、母の蔵書だった漱石作品(たぶん、「こころ」だったような)をめくった時は、(なんだか静かで面白くない・・・)とすぐに閉じてしまった記憶があるのですが、同じ頃に読んで、(??・・・終わり?)だった「星の王子様」が、最近再読した際、とてもよかったので、そろそろ漱石作品にも手を出そうかな、と思いました。 同時に、中学生当時、母に言われた「大人にならないと面白くない本もあるのよ」という言葉も思い出しました。あの頃は、その言葉が信じられず、(昔の人の考えたことは、大人になったってわかりっこない)なんて可愛くない事を考えてたものです。でも、母は正しかったです(笑)! 話が脱線していますが、 >時を経て読み継がれてきた文学作品には強い魅力があります。 というお言葉に、うんうんと納得できたもので・・・。人間の根本って変わらない部分、たくさんあるんですね。私はまだ、「自分は大人だ」と胸を張れるような年ではないのですが、少しづつ「年をとらないとわからないこと」がぼんやりと見えてきた気がします。ここれから、読書の幅を広げるためにも、「読み継がれてきたもの」に、じっくりと浸っていきたいです。ただ、生や死・性といった普遍的な重要テーマであっても、必ずしも重々しく書かれる必要は無いのでは?とも思ってしまうんですよ(^^;。明るい純文学ってあり得ないのでしょうか?? お礼だかなんだかわからなくなって参りましたので、さすがにこの辺で。もしよろしければ、漱石や鴎外作品の「初めの一冊」をお薦め頂けると嬉しいです(こういうリクエストは、改めて投稿する必要があるのかもしれませんが)。長文失礼しました。

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