定期券と言うのは、表示した区間内に限って表示した経路により乗車できる物です。言い方を変えれば、表示区間外は乗車できません。
こんな当たり前のことが分からないのが多いのは非常に不思議です。
でも根拠を示せと言うので、示しましょう。
まず、表示区間にしか乗車できない根拠です。
(乗車券類の使用条件)
第147条 乗車券類は、その券面表示事項に従つて1回に限り使用することができる。この場合、乗車人員が記載されていない乗車券類は、1券片をもつて1人に限るものとする。ただし、定期乗車券については、その使用回数を制限しない。
まれに「改札を出なければきっぷを買わないでも列車に乗れる」と勘違いしている人があるようですが、そんな決まりはありません。
以下の大原則のどこにも改札を出ないなら切符は要らないなんて書いてないですよね。
(乗車券類の購入及び所持)
第13条 列車に乗車する旅客は、その乗車する旅客車に有効な乗車券を購入し、これを所持しなければならない。ただし、当社において特に指定する列車の場合で、乗車後乗務員の請求に応じて所定の旅客運賃及び料金を支払うときは、この限りでない。
では、表示区間外を「係員に無断で」乗車したらどうなるでしょうか。これもはっきり決められています。
まずは原則です。表示区間外という「当該乗車について効力のない乗車券類を使用」すると、無効として回収するよとなっています。結構厳しいルールですが、よく言われるように定期券で区間外を往復しても実際にばれないケースが多いです。このようにばれないからと言って、いっつも不正が行われないように、原則論としてはたった1回の出来心でも一応は厳罰に処することを定め、不正を抑止しようとしているのです。
もっとも悪意がないと証明できたらそこまできつくはしないよとも定めています。
(乗車券類不正使用未遂の場合の取扱方)
第153条 旅客が、当該乗車について効力のない乗車券類を使用しようとした場合は、これを無効として回収する。ただし、他の乗車について使用できるものであつて、旅客に悪意がなく、その証明ができる場合は、この限りでない。
で、具体的な不正は以下に列記されています。
先の原則と同様、たった1回の出来心でも定期券を無効として没収される原則が定められています。
(1)は他人名義定期の使用、(5)(6)はいわゆるキセル乗車、そしてこの質問の例は(11)になります。
(定期乗車券が無効となる場合)
第168条 定期乗車券は、次の各号の1に該当する場合は、無効として回収する。
(1) 定期乗車券をその記名人以外の者が使用したとき。
(2) 券面表示事項が不明となつた定期乗車券を使用したとき。
(3) 使用資格・氏名・年齢・区間又は通学の事実を偽つて購入した定期乗車券を使用したとき。
(4) 券面表示事項をぬり消し、又は改変して使用したとき。
(5) 区間の連続していない2枚以上の定期乗車券を使用して、その各券面に表示された区間と区間との間を乗車したとき。
(6) 定期乗車券の区間と連続してない普通乗車券又は普通回数乗車券を使用して、その各券面に表示された区間と区間との間を乗車したとき。
(7) 通学定期乗車券を使用する旅客が、その使用資格を失つた後(第38条の規定による割引の定期乗車券を購入した旅客が、割引適用資格を失つたときを含む。)に使用したとき。
(8) 有効期間開始前の定期乗車券をその期間開始前に使用したとき。
(9) 有効期間満了後の定期乗車券をその期間満了後に使用したとき。
(10) 通学定期乗車券を使用する旅客が、第170条の規定による証明書を携帯していないとき。
(11) 係員の承諾を得ないで、定期乗車券の券面に表示された区間外の区間を乗車したとき又は第161条の規定に違反して乗車したとき。
(12) その他定期乗車券を不正乗車の手段として使用したとき。
2 前項の規定は、偽造した定期乗車券を使用して乗車した場合に準用する。
さて、定期券を無効として没収された場合、それだけではすまず、俗に「3倍とられる」でおなじみの増し運賃を請求されます。
この、3倍とは定期運賃の3倍ではなく、乗車区間の往復運賃×日数×3となることに要注意です。6ヶ月定期の期限切れ間近で不正がばれた場合、恐るべき請求金額になります。
もっともこの質問の主旨である区間外乗車の場合は区間外の運賃の3倍のみですむことになります。しかし、この規定が適用される際には「定期券が没収されていること」を忘れないで下さい。
(定期乗車券等不正使用旅客に対する旅客運賃・料金の収受)
第265条 第168条第1項の規定により定期乗車券を無効として回収した場合(同条第2項において準用する場合を含む。)は、当該旅客から次の各号による普通旅客運賃(特別車両定期乗車券にあつては、特別車両料金を含む。)と、その2倍に相当する額の増運賃とをあわせて収受する。
(1) 第168条第1項第1号から第5号までの1に該当する場合は、その定期乗車券の効力が発生した日(第5号に該当する場合で効力の発生した日が異なるときは、発見日に近い日)から、同項第7号に該当する場合はその使用資格を失つた日から、同項第8号に該当する場合はその発売の日から、同項第9号に該当する場合はその有効期間満了の日の翌日からそれぞれの無効の事実を発見した当日まで、その定期乗車券を使用して(特別車両定期乗車券にあつては、特別車両に乗車したものとして)券面に表示された区間(同項第5号の場合においては、各定期乗車券の券面に表示された区間と区間外とを合わせた区間、また、特殊均一定期乗車券にあつては、営業キロ35キロメートル相当分)を、毎日1往復(又は2回)ずつ乗車したものとして計算した普通旅客運賃(特別車両定期乗車券にあつては、特別車両料金を含む。)
(2) 第168条第1項第6号に該当する場合であつて、普通回数乗車券を使用したときは、定期乗車券及び普通回数乗車券の券面に表示された区間と、その区間外とを通じた区間を、当該各券片に対して往復乗車したものとして計算した普通旅客運賃(特別車両定期乗車券にあつては、特別車両料金を含む。)
(3) 第168条第1項第6号に該当する場合であつて普通乗車券を使用したとき及び同項第10号から第12号までの1に該当する場合は、その乗車した区間に対する普通旅客運賃(特別車両定期乗車券にあつては、特別車両料金を含む。)
2 前項の規定は、他運輸機関等が発行した乗車証又は証明書等であつて、これらを呈示すれば当該運輸機関等が運行する列車、船等に乗車船できるものを使用したときに準用する。この場合、当該乗車証等の効力が発生した日から当該旅客の乗車駅からの区間を、毎日1往復ずつ乗車したものとして計算した普通旅客運賃とその2倍に相当する額の増運賃をあわせて収受する。
(乗車駅等が不明の場合の旅客運賃・増運賃等の計算方)
第266条 第264条の規定により旅客運賃・増運賃を収受する場合において、当該旅客の乗車駅が判明しない場合は、その列車の出発駅(出発駅の異なる2個以上の列車を併結運転している場合は、その最遠の出発駅。また、接続列車のある場合でその接続列車に乗車したことが明らかなときは、その接続列車の出発駅)から、また、乗車車両が判明しない場合で、その列車に特別車両が連結されているときは、その特別車両に乗車したものとみなして同条の規定を適用する。
お礼
公開の場所で、合法と言い切る人がいます。 削除依頼のメールを出しときましたが、 違法行為をする言われても、止められないけど。 堂々と合法と言われると、よけいに頭に来る。 回答ありがとうございます。