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KeynesのKalecki論文への態度に関する関心
- KeynesのKalecki論文への態度はキーポイントです。
- Keynesは批評家に対して不公平ではなかった。
- Kaleckiの論文に対するKeynesの批判は古典派経済学者への批判と類似していた。
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「補足コメント」を拝見しました。遅くなりましたが、以下のとおりお答えします。 >1箇所だけ,気になる箇所がございます。who has no ideas of his own and a great respect forですが,この後半部分は多大な尊敬の念を抱く,ではないでしょうか? ⇒この後半部分は、「編集については、特に自分の考え(を押しつけること)もしないが、他人の意見を大きく尊重することもしない」といった意味合いだと思いました。 >私としては,Keynesが最高の地位にある独善的な編集者ではなく,従って,自身の考えをストレートに押し出すこともできず,他の多くに尊敬の念を抱かざるを得なかった,という文脈で解釈したのですが,いかがでしょうか? ⇒確かに、Keynesは編集長として最高の地位にあったそうですが、高圧的な姿勢もなかったが、さりとて他人に忖度するような面もなかったようですね。実は、経済学者(大学教授)に聞いてみましたら、《仮に、「他の多くに尊敬の念を抱かざるを得なかった」ということが真実だったしたら、その理由が分からない》という趣旨のことを言っていました。 >この点,文法も含めて厳密に理解した場合,可能な解釈にならないものかどうか,今一度御吟味賜りますようお願い申し上げます。 ⇒そうですね、ここが一番重要なところでしょうね。つまり、原文、 one who has no ideas of his own and a great respect for those of other people のand が曲者ですね。 私はこのandを、and noまたはnorと同義だと読み取りました。骨組みだけを示せば、"no + ideas and respect" となります。もし、仰せのような「多大な尊敬の念を抱く」でしたら、but (has) のように言うはずだと思います。but (has) でなくandを使って肯定の意味を表すためには、and withとか、and does haveのようにしなければならないのではないでしょうか。 ですから、このくだりは、100%確信があるわけではありませんが、7, 8割方否定の意味合いで、「(学内経済誌の編集長として)自分自身の考えを押し付けることもないが、他人の意見におもねるようなこともなかった」、ひと言で言えば、「偏見をもたなかった」というのに近いことをと言っているのではないでしょうか。 それが、Edwin Cannanの目には、「(優柔不断で)理想的な編集者ではなかった」と映ったのかも知れませんが、Keynesとしては、独自に『一般理論』の域に達したKaleckiの投稿論文も、彼の革命に好意的な学者の研究と同じように扱った。批判はするが、自分自身の考えを押しつけるのでもなく、かといって、えこひいきするようなこともなかった、のだと思います。 長々と推測を述べて失礼しました。なお、「参考文献」の誤植を訂正し、副題を補足いたします。 ※Peter Clarke, "KEYNES"、関谷・石橋訳『ケインズ 最も偉大な経済学者の激動の生涯』(中央経済社、2017)です。
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- Nakay702
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素晴らしい訳文とお見受けしました。 ただ、3か所ほど(語句の☆部分)をご再考なさるようお勧めします。 (語句) *Keynes’s insistence on methodological concerns:「方法論に関するKeynesの強い主張」。 *in handling Kalecki’s papers:「Kaleckiの論文を扱う上で/扱う際に」。 ☆holds a certain interest:「特定の関心を引きつける」。お訳では、《「…一定の関心を保持していた」とEdwin Cannanは叙述しており…》とCannanの言葉になっています! *precisely because Keynes(…)did not give the impression of ~:「まさにKeynesが~な印象を与えるものではなかったからである」。主部と述部が離れていますね。 *not … exactly the ideal editor …:「まさしく…理想的な編集者ではなかった…」。 ☆one who has no ideas of his own and a great respect for those of other people:「自分自身の考えもなく、他人の意見にも敬意を払わなかった」。no ideas of his own and (no) great respect a great respectとnoが両方にかかっていると思います。(→※) *being unfair toward ~and toward…:「~に対しても…に対しても不公平である(との印象を与えなかった)」。 ☆It is highly significant that ~:「~ということは大いに意義深いことである」。お訳では、この部分は脱落しているようです。 ※Peter Clarke, "KEYNES"、関谷・石橋訳『ケインズ』(中央経済者)にこうあります。「理論経済学に関するほとんどの論文のいかなる範例にもならっていない(ことで、『一般理論』はすぐれた書物である)」(227ページ)」。 (添削文) 《なお、Kaleckiの論文を扱う上での方法論に関するKeynesの強い主張が特定の関心を引きつけるのは、まさに以下の理由によるものである。すなわち、Keynesは、――「まさしく…理想的な編集者ではなかった…自分自身の考えもなく、他人の意見にも敬意を払わなかった」とEdwin Cannanが書いている(Moggridge, 1990, p.152に引用されている)が――(おそらく、AslanbeiguiとOakes〔2007〕が説明したPigouの一件を例外として)、Keynesの革命に関する批判に対しても、また一般的に、彼が編集者として最初の刊行で自信を持って擁護したその他の(Moggridge, 1990, p.153は「すべての」と報じている)思考学派(Cord, 2013を参照)に対しても不公平な印象を与えるものではなかった、からである。Keynesが、(彼の革命に対して確かで好意的な傾倒を見せていた他の学者の研究と同様)Kaleckiの投稿論文に向けた幾つかの批判は、『一般理論』の中で古典派経済学者を攻撃する際に用いた批判(Keynes〔1936〕1973)と類似していたということは、大いに意義深いことである。》 *あまり長いので、最初を2文に分けました。それでも、第2文の主語「Keynesは」から、動詞「印象を与えるものではなかった(からである)」までが遠いですね。もっと分かりやすく訳せないものかと考えましたが、それはできませんでした。
お礼
感謝申しあげます。 補足コメント上の質問,どうぞ宜しくお願い申し上げます。
補足
早速のご回答,どうも有難うございました。いつもながら克明な御解説を賜り,有り難く存じます。参考文献も興味深そうです。購入して拝見致します。さて,他の箇所は,お教えの通り頂戴したお訳しを活用させて頂きますが,1箇所だけ,気になる箇所がございます。who has no ideas of his own and a great respect forですが,この後半部分は多大な尊敬の念を抱く,ではないでしょうか?私としては,Keynesが最高の地位にある独善的な編集者ではなく,従って,自身の考えをストレートに押し出すこともできず,他の多くに尊敬の念を抱かざるを得なかった,という文脈で解釈したのですが,いかがでしょうか?この点,文法も含めて厳密に理解した場合,可能な解釈にならないものかどうか,今一度御吟味賜りますようお願い申し上げます。
お礼
どうも有難うございました。
補足
ご返信どうも有難うございました。御指摘の全体を通じて,承知致しました。 御丁寧な解説を賜り,心より感謝申しあげます。