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傷病手当金の調整とは?
- 障害基礎年金と傷病手当金の受給についての条件が異なります。
- 国民年金と国民健康保険の関係によって傷病手当金の支給が異なります。
- 障害基礎年金と障害厚生年金の同時受給ができるかについての疑問があります。
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健康保険法第108条で「傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整」として定められている事項です。 報酬が支払われた場合にも傷病手当金は受けられない、という点がミソです。 障害厚生年金との間で併給調整が行なわれるのも、同じ理由です。 なぜならば、労働者の逸失利得(就労による収入が喪われてしまうこと)を補うことが、健康保険や厚生年金保険の目的だからです。 つまり、健康保険や厚生年金保険に加入して就労している者が報酬を得られなくなってしまったときに、そのデメリットをカバーすべく、傷病手当金や障害厚生年金を活用するわけです。 しかし、同一事由のときに傷病手当金と障害厚生年金を合わせて支給してしまうと、元々受け取れるべき報酬の額を上回ってしまい、矛盾が生じます。 したがって、このような理由で、併給調整を行なっています。 このことを、ただ単に「同じように援助してもらえない」「格差がある」などと解釈してしまうことは、正しい認識とは言えません。 要は、就労しているかどうか(健康保険での傷病手当金を受けられるかどうか)で分かれるからです。ただそれだけのことです。 そのため、障害年金の種別の違いの側から見てしまう、といったことは、実は、誤りです。 だからこそ、年金各法では傷病手当金との間の併給調整の定めもありません。 同一の傷病につき、障害厚生年金(又は、障害厚生年金+障害基礎年金)と傷病手当金の受給権が同時に発生するときには、年金が優先支給され、傷病手当金が支給停止となります。 ただし、障害厚生年金(又は、障害厚生年金+障害基礎年金)を360で割った額と、1日あたりの傷病手当金の額を比較したときに、1日あたりの傷病手当金の額のほうが多ければ、「1日あたりの傷病手当金の額 - 360で割った額」が1日について傷病手当金として支給されます。 なお、受給できるのが障害基礎年金だけであって障害厚生年金を受給することができない、といったときには、こういった調整は行なわれず、傷病手当金を全額受給することができます。 障害基礎年金は、その初診日において就労してなかった人を対象としています。 その後に就労して厚生年金保険に加入したとしても、同じ理由で障害厚生年金を受けることはできません。 障害厚生年金は報酬比例の年金といって、就労時の給与・賞与等の状況がきちんと反映されますが、障害基礎年金ではそのようなことがありません。 ですから、障害基礎年金だけしか受けられない場合に、上述したような併給調整を行なってしまうと、逆に、不利益を生じさせかねません。元々、就労を考えて出ている障害年金ではないからです。 障害基礎年金だけを受けている人が必ず国民健康保険である、ということはありません。 その後に就職すれば、当然、健康保険や厚生年金保険に入りますよね。 健康保険に入れば、傷病手当金を受けることも、もちろんあり得るわけです。 ですが、上述した理由により、障害基礎年金だけを受けているときは、同一事由であっても併給調整は行なわない‥‥。 ただそれだけのことなのですよ。 これを、国民年金と国民健康保険はセットだ、と思い込んでしまっているために誤解を招いてしまっています。 初診日においては、確かに、国民年金のみ・国民健康保険、ということはあるのですが、しかし、そういった人がその後に就職して健康保険や厚生年金保険に入ることは当然あり得るので、その視点がごっそり抜け落ちてしまっています。 要するに、障害基礎年金だけを受けている人(初診日に就労していなかったので国民年金・国民健康保険だったかもしれない人)が就職したら健康保険に入る・だから傷病手当金も受けられる‥‥という考え方ができていないことが、すべての誤解の元になっていると思います。
お礼
細かく教えていただきありがとうございました。