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クロムの析出法(メッキ)?
はじめまして。 私は、古典技法写真を以前やっていたものですが、 回収業者に廃液を出すことが億劫でやめていました。 最近、うまく考えれば溶液中の金属を析出させて 回収できるのではないかと思ったのですが、 化学に疎いのでやり方を教えていただきたいのです。 溶液としては薄い重クロム酸カリウムで、 揮発させて濃縮したものだと1%?ほど、そのままだと10ppm?ぐらいかと思います。 これをメッキのような要領で「何か」の金属板に析出させてしまえないかと思っています。 たとえば電池やパソコンの電源アダプターを使い、金属板にメッキしてし回収したいのです。 どんな電極版を使うのがいいのか。電圧はどのぐらいかけるべきか。 電流は時間さえかければ積算量で効くと思いますので、 考えなくてもいいと思いますがどうでしょうか。 また、電極版が溶出すると思うのですが、 そうならないようにできないでしょうか。 また、同じような要領で、 一般の銀塩写真の廃液から、銀を取り出すことはできるでしょうか。 あわせて質問させていただきます。
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>めっきと言うものは、電気のエネルギーで電極の表面に析出させるとき、電圧を上げれば「吸い付ける力?」が強くなり、 ここがよくある誤解なんですが,通常のめっき等の 条件では,イオン等は電気の力で電極には「吸い付け」 られることはありません.電気的に引っ張られていくの ではないのです. >積算電流量で析出量が決まるのだろうと思っていたので、 これは基本的には正しいのですが,電気分解を受ける 対象が減ってくれば,電流は減っていくわけで,そうなると よほどの長時間をかけないといけなくなってくるわけです. >溶液の中の金属イオンを、まるで絞り採るように、「抜き取る」ことができるのではないか ということで,「搾り」取ることはできません. >薄まるほど効率が下がると言うことは、化学平衡の問題が絡んでいるのでしょうか。 これは平衡の問題ではなく,どうやって電極までイオンが たどり着くのか,という問題に尽きます. 電極のそばで電解によってイオンが減る,より遠いところの イオンが濃度差を埋めようとして移動する, この繰り返しでイオンは電極に運ばれます. 濃度差を埋めようとしておこるイオン移動の速度は, 濃度差(正確には濃度勾配)で決まるので,絶対濃度が 下がれば下がるほど,濃度差が小さくなり輸送速度も 低下する,という悪循環になります.
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- takeruhm
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#4です。 重クロム酸の沈殿法による廃液処理方法を投稿しておきます。ただし、工業的手法になりますので、ビーカーレベルではどこまで正確にできるか、また準備すべき薬品もありますので、業者さんに持っていったほうが、結果として楽で安いかもしれません。 が、せっかくなので知的欲求を満たしたい!の気持ちに応えたいと思います。(^^; 6価クロムは、一般的な重金属の沈殿除去法(アルカリによる水酸化物沈殿法)がそのままでは使えません。クロム酸がアルカリでは割りと安定な為です。 そのため、まず6価クロムを、安定な3価クロムに還元します。還元する際にも、6価クロムの反応性を高めるために、酸性(pHで2以下)にしておく必要があります。 この後、還元剤を加えて、6価クロムを3価クロムに還元し、ここで初めて水酸化物沈殿を行います。 一旦酸性にした液に今度は苛性ソーダなどを加えて弱アルカリ性(7.5~8.5)にし、一晩かけて沈殿沈降させたものを、ろ過除去します。 これで、理論的には溶液中からクロムは除去できます。 このために、必要となる薬品は、 1.液を酸性にする為の、硫酸 2.6価クロムを還元するための還元剤、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)や、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)など 3.中和するためのアルカリ、苛性ソーダ と言う事になります。 その他に、pHを確認するための、pH試験紙、ろ過装置などが必要になりますね。 ★銀塩の処理 については、ちょっと使っている薬品が多くて、なんともいえませんね・・・というか、よくわかりません。すみません。 ハロゲン(特にCl-)が入っているとなると、電解時に陽極から有毒な塩素ガスが発生する可能性もあるため、闇雲に電気分解など考えない方が、良いような気がします。 クロムや他の重金属と同様に、溶解度の低い沈殿物を精製させる方法が安全かつ、的確ではないでしょうか。
お礼
takeruhm様 再びの御登板ありがとうございます。 こんなに良くしていただけるとは思っても見なかったので、本当に感謝しています。 これだけの情報をいただけたので、 どこかの、古典技法写真のサイトなどに知らせてあげたいくらいです。 クロムの処理法の手ほどき?に大きく満足しましたが、 「溶解度の低い沈殿物」にしてしまうというくだりに、 「ああ、ケミストリーだ。錬金術っぽい。」と変に感心してしまいました。 つまりクロムを「溶液から吸い出す」という単純だけどゴリ押し的な発想ではなく、 もっとスマートな「溶けない物質に変えて」と言う考え方にケミストリーを感じてしまったのです。 なにせ私は電気とか物理とかが職業上の専門で門外漢ですから(写真造形作家はセミプロの余技と言うことで)、 ささいなことに感じ入っているのでしょうが、 どう言うのでしょう、 そう、世界観の違いと言うか(大袈裟)、方法論の基盤の違いと言うか、を見出せて不思議な気持ちよさがあります。 本当にありがとうございます。
補足
P.S どこかの御奇特な方が、銀塩の自家処理の簡易法に関するアドバイスや可能性を示唆してくれないとも限らないので、 もう少し回答の受け口を開けておきます。 欲張りすぎかもしれませんが、 どこかの知恵者の見識をここに加味できれば、 このQ&Aが良いデータベースになるでしょうから。。。
- c80s3xxx
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すいません,下の補足です. 定着液にはたいがいカリミョウバンも入っています (非硬膜性の定着液には入っていませんが).
お礼
本当に、丁寧に対応していただきまして、感謝しています。 最近の定着液は、みんな硬膜性なのでブロムオイルとかをやろうとすると困難だと言う話ですが、学生のとき硬膜処理を抜いて試しました。何度か失敗しながら、どうも、光化学的でないというか、存在が写真から遠いと感じたので、それきりやめてしまいました。 P.S 何かの知見をどなたかが投稿してくださるかもしれないので、しばらく回答受付を続けます。
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3294)
すでに結論が出たようなので本編については 終わりにします. 銀廃液の方ですが,モノクロ写真の場合,定着液が 銀を含む廃液になります.定着は,ふつうはチオ硫酸塩で ハロゲン化銀を可溶性錯体にするというプロセスですので, 銀はチオ硫酸銀錯体で存在するということになります. 共存するのは亜硫酸塩と硫酸塩(亜硫酸塩が酸化されて 生ずる),ホウ酸,酢酸,ハロゲン化物イオン(Br- や Cl-,場合によっては I- も)になります.pH は 5 前後です. 遊離硫黄が懸濁していることもよくあります. 寿命いっぱいまで使った定着液は,比重ではっきり変化が わかるくらいに銀の濃度はあります.しかし存在形態や 共存物を考えると,そのままで電解だけで銀を取り出すのは けっこうやっかいそうです. そういうシステム自体はありますが,完全回収は工場規模の 話だけで,自動現像機等に付けるタイプでは定着液の 補充頻度を下げる程度の効果がせいぜいです. 自動現像機の場合,液の状態はかなりよい上に再現性も高く, アマチュアの保管廃液とは同列に扱えないでしょう. 電解以外の方法だと,鉄などを使ってそちらの溶出と 引き換えに銀を析出させる方法もありますが,今度は 溶出させた液の処理の問題が出てくるので,今回は あまり役に立ちませんね.
お礼
再び、c80s3xxxさんに御登板していただき、ありがたく思います。 (前回「さん」付けを忘れて「c80s3xxx」と呼び捨てになっていたことを、ここでおわびします。) 写真工学というか写真化学?近傍がご専門のc80s3xxxさんと、 メッキや電気化学がご専門のtakeruhmさんにアシストしていただき、 私の浅はかな期待に終止符が打たれまして(笑)、 本来、落胆すべきところなのですが、 知的欲求が満たされたことに、逆に喜びを感じます。 このQ&Aが、今は廃れた感のある モノクロ・オリジナルプリントや古典印画法の 復興?に少しなりとも役立つことがあれば、 更なる喜びです。 ありがとうございます。 P.S 回答受付はもうしばらく行ないます。
- takeruhm
- ベストアンサー率34% (31/91)
以前仕事でクロムメッキにたずさわっていたものです。 そもそも、クロムメッキは、他の一般的なメッキ可能で、金属そのものが比較的安定な貴金属(銀や銅)などと比べると、「非常にメッキし難い金属」です。銀や銅のメッキ反応式は、非常に単純に表記すると、 M^n+ + n*e ⇒ M(析出) となります。 しかし、クロムの場合は、溶液中で既にクロムはクロム酸という形で存在しており(薬品の名前からわかるように、重クロム酸カリ=K2Cr2O7)、銀や銅のような単純な析出反応で金属が陰極に析出するわけではありません。しかも、重クロム酸もしくは、無水クロム酸の水溶液からでは、十分な金属クロムは析出しないため、いろいろな添加剤(触媒的な作用をするものです)を加えます。硫酸や珪フッ化物だったり、有機物、硝酸・・・等々メッキの目的に応じて色々です。 これだけの事をして、ようやくクロムはクロム酸から金属として析出しますが、その陰極効率はせいぜい20%程度と非常に低いものです。(陰極効率とは、ファラデーの法則に従って金属析出した量を計算したときに、実際に析出した量を求め、流した総電流に対し、クロムの析出に消費された電流の比率を求めたものです)つまり、流した電流の80%は水が分解されているだけになります。 また、クロムが金属クロムとして析出するためには、ある程度以上の濃度が必要とされており(データが手元になく定量的に言えませんが、少なくとも○○グラム/リットルというオーダーが最低レベルだったと記憶してます)それ以下では、析出反応そのものが起きないこともあります。 長くなりましたが、#1~3の方の回答にもあるように、電気的に低濃度の溶液中の電気抵抗の問題と同時に、ご質問の環境(濃度、使用薬品)ではそもそもクロムが金属として析出しない可能性が高いと思われます。 回答がこれだけでは寂しいので、電極素材について回答します。 クロムメッキで使用される電極(陽極)素材で最も一般的なのは、鉛合金です。安く、耐久性もあります。自動車用のバッテリーの中に入っている電極がまさにそれです。陰極には銅版を使うのが簡単でよいかと思います。もちろん鉛でも問題ありません。 もう一点。銀塩写真の廃液とはどんな溶液組成でしょうか?写真に関しては素人なので、全くわかりませんが、溶液中の組成がある程度わかれば、回答しやすいかと思います。 なお、銀はクロムとは違って元々貴金属であり、金属として析出しやすい元素ですので、上手くすれば、卑金属を浸漬するだけで、その表面に銀が析出する、無電解メッキが可能かもしれませんね。(余り適当な事は言えませんが・・・) 最後に、電気メッキについて補足しますと、電極表面で起こっている電気化学反応(金属析出や気体発生)の速度(=効率)は、槽電圧や電流量で決まるのではなく、電極表面の「電位」・「電流密度」によって決まります。ただ単に大電流を流せば、多くの金属が回収できると言うわけでもなく、最適な電流効率になる「電流密度」というものが存在します。ですので、本来ならば電極の放電面積と電流量をきっちりと考えてあげる必要があるのです。
お礼
c80s3xxxと私とのやり取りをよく読んでいただいた上で、 今回takeruhmさらから、メッキ経験者の現場的な話を加味したメッキ理論?のさわりを お話していただき、非常に感激しております。 これで、諦めがついた感じです。 後はc80s3xxxさんの言っていた、 市販の沈殿試薬のようなものを探す方向性になるのかも知れません。(ご存じないですか?) それと、モノクローム写真の銀の溶液組成に関しては、 調べてから、【補足】のほうに追記いたしますので、 またご覧になってください。 では、本当にありがとうございます。 回答受付は、もうしばらく継続いたします。
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3294)
現実的でない一番の理由は,クロム濃度が下がれば 下がるほど,より下げることが難しくなるのに対し, クロムの環境基準は強烈にうるさいので(6価クロムは 0.05ppm 以下とか),その基準を満たすレベルまで 下げるのは単なる電解装置以上の工夫が必要になると 思われるからです. 現実的なのは,市販の処理剤を使って沈殿として 捕集することなんじゃないでしょうか. それはそれとして. ピグメントプロセスですか. あの独特のレリーフ像の感じが結構好きですよ. 絵画っぽくて.
お礼
再びの回答ありがとうございます。 確かにクロムの排出基準はきついので頭を悩ませるところです。ピグメントプロセスをご存知と言うことは、写真関係のお仕事をされていて、化学にも造詣の深い方なのでしょうか。関わる両分野をバックボーンにされている方だと仮定すれば、良い回答をいただいたことになるので、大変感謝しています。 ところで、ピグメント法の界面ディテールに関心を寄せられていることに嬉しくなりました。以前よりあの技法に関し、絵画調の画面作りの面ばかりしか見られていないことを残念に思っていました。造作に関する極めて大きな潜在力を持ってもいますし、なにより界面近傍に関する、現象学的というか存在論的な考察の面白さもあり、興味が尽きないと感じています。 本当にありがとうございます。
補足
しつこいことなのですが、電気化学的な見地をお持ちの方がもしこれを見られているとしたら少し教えて頂きたいことがあります。 c80s3xxxさんの回答に濃度が下がるほど、それ以下に下げにくいとあります。回答していただいた手前、回答に不服と私が考えていると取られてしまう可能性をおして、後少し質問を続けさせてください。 めっきと言うものは、電気のエネルギーで電極の表面に析出させるとき、電圧を上げれば「吸い付ける力?」が強くなり、積算電流量で析出量が決まるのだろうと思っていたので、溶液の中の金属イオンを、まるで絞り採るように、「抜き取る」ことができるのではないかと考えていました。しかし、薄まるほど効率が下がると言うことは、化学平衡の問題が絡んでいるのでしょうか。 学生のとき、数年放置していた使用済みの白黒写真の定着液の瓶の内壁にびっしりと銀らしきものがへばりついていた経験を思い出し、今回の質問をしました。つまり析出を電気的に加速させて搾り出せるのではないかと思ったわけです。 濃度に依存する化学平衡を考慮しなければならないとするなら、大きな直流電圧を与えればいいようにも思うのですが、その電圧が非常に大きなものとなるので、実現不可能と言うことと考えるべきなのですか? もし反対に、平衡の問題ではないとするなら、頻度?の問題なので、電流を上げるか時間を延ばせば搾り取れる?ようにも思います。 どなたか、ご存知でしたらご回答お願いします。
- c80s3xxx
- ベストアンサー率49% (1634/3294)
まず銀の入った定着液から電解で回収する方法は, 一部実用化されているので,できないことはありません. ただし,実用されているのは定着液をそのまま電解する のではなく,いったんある程度の前処理をします. その部分は家庭ではできないでしょう. さて,クロムですが,カーボンプリントでも作っていた のでしょうか. クロムについても原理的には可能は可能ですが, あまり現実的ではないように思います. あえてやるとすれば,まず砂糖などの還元剤で 重クロム酸を3価のクロムに還元して,それを大面積の 白金板などを電極にして電解でしょうか. 電圧は 2V くらいでいいでしょう. 白金を使えるなら,溶解の心配はありません. 白金だと高価すぎるというなら,カーボンフェルトあたり だと思いますが,これは電極として使うにはピンキリで 電極にふさわしいものを探し出すだけで一苦労だと 思います. なお,薄くなればなるほど電解の効率が落ちるので, 廃液処理として問題のないレベルまでクロム濃度を下げるのは 事実上不可能だとは思います.
お礼
早速のご回答ありがとうございます。 一見するに、現実的ではないということですか。それは極めて残念です。(創作を再開するため計画の一環だったのですが。。。私はピグメントプロセスのGAM.Pをしていました。) ACF(活性炭素繊維)などなら、たまたま何種類かサンプルがありますので、試してみることはできますが、濃度が先ず問題と言うことですね。 実際には、どのぐらいの濃度が最低必要なのでしょうね。 時間をかけて通電すれば回収できるように私は思っていたのですが。どうもあさはかだったようですね。 回収に妙案はないものでしょうか。
補足
要領が分からず、御礼文に補足まで書いてしまいました。
お礼
なんとお礼を申したものか。 相当納得ができる段階に入ってきました。 まるで、個人授業のような感じになってしまいました。 感謝しております。 つまり濃度勾配のもしくは物質移動の問題なのですね。 また、電圧を上げても無意味で、電極の表面反応は、例えばイオン化傾向?をコントロール?する程度のことと言うことと理解しましたが。。。