積分すると1/2とLが消える?
本の計算では、ある式を積分すると1/2とLが消えてしまっていて、自分の計算と合いません。右辺が0なので両辺に2を掛けてLで割った可能性もあるのですが、1/2が消えるのはまだ許せても、Lが消えるのは納得いきません。(消していいものなのか、もしくは別の理由で消えたのか、判断願います。)
原文を引用します:
※関係式:
∫[0,L] cos (2nπx/L) dx = ∫[0,L] sin (2nπx/L) dx = 0 (式1.17a)
(nは正あるいは負の整数)
[前略]
…さらに、
(1/2) * { da[0](t) }/dt + Σ[n=1,∞] { da[n](t) }/dt * cos(2nπx/L) + Σ[n=1,∞] { db[n](t) }/dt * sin(2nπx/L)
= -D * Σ[n=1,∞] {(2nπ/L)^2} * a[n](t) * cos(2nπx/L) - D * Σ[n=1,∞] {(2nπ/L)^2} * b[n](t) * sin(2nπx/L)
(式7.6)
…の両辺をそのままx=0からx=Lまで積分すると、先の関係式(式1.17a)より、
{ da[0](t) }/dt = 0 (式7.7c)
が得られる。
・・・以上、引用終わり。
私の計算だと、(式7.6)の両辺をそのままx=0からx=Lまで積分するので:
(1/2) * { da[0](t) }/dt *∫[0,L] 1 dx
+ Σ[n=1,∞] { da[n](t) }/dt * ∫[0,L] cos(2nπx/L) dx
+ Σ[n=1,∞] { db[n](t) }/dt * ∫[0,L] sin(2nπx/L) dx
= -D * Σ[n=1,∞] {(2nπ/L)^2} * a[n](t) * ∫[0,L] cos(2nπx/L) dx
- D * Σ[n=1,∞] {(2nπ/L)^2} * b[n](t) * ∫[0,L] sin(2nπx/L) dx
になり、
∫[0,L] cos (2nπx/L) dx = ∫[0,L] sin (2nπx/L) dx = 0 (式1.17a)
により、
∫[0,L] cos(2nπx/L) dx
∫[0,L] sin(2nπx/L) dx
はすべて0になります。
残りを計算すると
(1/2) * { da[0](t) }/dt *∫[0,L] 1 dx = 0
(1/2) * { da[0](t) }/dt * [x][0,L] = 0
(1/2) * { da[0](t) }/dt * [L-0] = 0
(1/2) * { da[0](t) }/dt * L = 0
になります。本の答えは
{ da[0](t) }/dt = 0
なので合いません。
[概略](原文が凄まじく長いので、自分の言葉で書きました…なんとなく分かっていただけたらと思います…足りなかったら補足します)
u(x,t)
が時刻tにおける座標xでの温度uを表します。
このとき、1次元の熱伝導方程式
{ δu(x,t) }/δt = D * { δ^(2) * u(x,t) }/{ δx^(2) } (式7.1)
を解くためにフーリエ級数をどう使うのか、というのが今回のテーマです。
最初の時刻(t=0)での温度分布(つまり、初期条件)は
u(x,0) = f(x) (式7.2)
とします。
例として、長さLの「リング状の」棒での熱伝導を考えます。リング状なので、棒に沿って「ある点」をx=0とすると、
x=x[0]
と
x=x[0]+L
は同じ点に対応するため、「温度uが座標xについて周期Lの周期関数である」という周期的境界条件
u(x,t) = u(x+L,t)(式7.3)
が任意の時刻t (>=0)で成り立っている必要があります。
このときには初期温度分布f(x)にも条件が付き、
f(x) = f(x+L)(式7.4)
が成り立っていないといけません。すなわち、f(x)も周期Lの周期関数です。
u(x,t)をフーリエ級数展開すると、
u(x,t) = (1/2) * a[0](t) + Σ[n=1,∞] a[n](t) cos (2nπx/L) + Σ[n=1,∞] b[n](t) sin (2nπx/L)(式7.5)
になり、この(式7.5)を(式7.1)に代入して項別の偏微分をすると、私の質問に出てくる
(1/2) * { da[0](t) }/dt + Σ[n=1,∞] { da[n](t) }/dt * cos(2nπx/L) + Σ[n=1,∞] { db[n](t) }/dt * sin(2nπx/L)
= -D * Σ[n=1,∞] {(2nπ/L)^2} * a[n](t) * cos(2nπx/L) - D * Σ[n=1,∞] {(2nπ/L)^2} * b[n](t) * sin(2nπx/L)
(式7.6)
になります。
補足
書き方がよくなかったようです。 ×はエックスではなくて加減乗除のかけるの意味です。