- ベストアンサー
ゼロ金利政策の影響はなに?市場参加者に心理的圧力を与えるのか?
- ゼロ金利政策によって、長期の国債利回りが低下した背景を知りたい。
- ゼロ金利政策が市場参加者に心理的圧力をかけたのか、それともデフレの深刻さが影響したのかを知りたい。
- ゼロ金利政策によって長期国債が買われた理由とは?
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
長期利子率(長期債券の利回り)と短期利子率(短期債券の利子率)の間の関係については、「利子率の期間構造」(term structure of interest rates)というモデルがあります。このモデルの基本的考え方は難しいくないので、説明しましょう。話を簡単にするため、つぎのような例を考えましょう。いま、100万円の現金を持っている人がいて、期間tの期首にこの100万円を短期債券(償還期限が1年債)の新発債を買うか、長期債券(償還期限が2年)の新発債を買うか、考えている個人を考えよう。短期債のt期の利子率をr(t)、長期債の利子率(年利)をR(t)で表わそう。すると、この個人が2年後に換金したいと考えているとすると、長期債を購入すれば2年後には 100(1+R(t))^2 の金額を手にすることになるし、短期債を購入し、償還される2年目の期首にもう一度短期債に投資するなら、2年後には 100(1+r(t))(1+Er(t+1)) の金額を手に入れることになる。ただし、Er(t+1)はt+1期の予想短期利子率だ。前者のほうが後者より大きければ、この個人は前者に投資するし、逆なら後者に投資する。裁定が働く結果、均衡においては、前者=後者が成立するだろう。つまり、 100(1+R(t))^2 = 100(1+r(t))(1+Er(t+1)) 1 + 2R(t) + R(t)^2 = 1 + r(t) + Er(t+1) + r(t)Er(t+1)) R(t)^2およびr(t)Er(t+1)は小さい値なので無視すると、近似的に 2 R(t) ≒ r(t) + Er(t+1) つまり、 R(t) ≒ [r(t) + Er(t+1)]/2 が成り立つ。長期利子率は短期利率の現在から将来にわたる系列の平均になる、というのが利子率の期間構造理論が教えるところだ。この式から、いくつかの結果(implications)が得られる。一つは、将来短期利子率が 上昇すると予想されるなら、つまり、r(t) < Er(t+1) なら、 R(t) > r(t) となる(逆の場合は、長短が逆転する)。さらに、長期利子率を低く抑えたいなら、短期利子率を現在から将来にわたって低く抑えればよい。とくに、中銀が現在だけでなく、将来の利子率も低く抑えるというコミットメントを示せば、市場における短期利子率予想Er(t+1)を低くし、長期利子率R(t)を低くすることにつながる。企業が設備投資を行うときに重要なのは、もちろん長期の利子率だが、中銀が短期利率を低く抑えることにコミットすることによって、企業の設備投資に影響を与えることができるという考え方の背後にはこのような考え方があるのです。
お礼
コピーして熟読させていただきます。 回答ありがとうございました