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森鴎外 ペン・ネームの由来

kine-oreの回答

  • kine-ore
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回答No.6

年齢詐称もあって既に東京大学医学部在学中だった17歳の森林太郎は、幕府の医学館である躋寿館の講師をしていた佐藤元萇に師事し漢方医書を学んだが、その師の養子であった斉藤勝寿を漢詩文の弟子とした。2歳年下に当たる斉藤勝寿は、その森の弟子であった明治 13 年から 、その後は明治23 年まで漢詩の号に「鴎外 」 を使っていた。 参考:「山 口 県 医 師 会 報第 1787 号」(平成 21 年 7 月) http://www.yamaguchi.med.or.jp/kaihou/pdf/1787.pdf この明治23年には「衛生新誌」紙上に、鴎外斉藤勝寿が森鴎外について書いた漢詩文が載っているとのことです。 また、明治17年、22歳の森林太郎がドレスデンで読んだ原書「ファウスト」には「鴎外漁史」の蔵書署名がされているとも。 参考:「雅号鴎外の由来」(9頁) http://wenku.baidu.com/view/e6dbe67001f69e31433294d8.html この明治23年は、1月発行の雑誌「國民之友」の「舞姫」は森林太郎で、8月号での「うたかたの記」は鴎外漁史名義で発表されており、それらを集約した2年後の単行本「水沫集」ではペンネームは鴎外漁史で、著作者名義は森林太郎となっています。 参照:森鴎外 (林太郎) 訳「水沫集」春陽堂 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/876658/41 ここから、「鴎外漁史」は師の林太郎が弟子斉藤勝寿に与えた、もしくは両者で話し合って成した雅号であったればこそ、明治23年の翻訳(内実は創作)デビューを以て師の林太郎に雅号を返上したと見るのが穏当ではないでしょうか。 そして、その出典はやはり「唐詩選」でしょうから、当初の林太郎当人にとってはあまりに露骨で面映ゆいこともあって、愛弟子に授けた漢文号であり、命名者である自身はあくまでも内内の蔵書号名としてのみ用いただけものであったのだと。 参照:杜甫「船下夔州郭宿雨湿不得上岸別王十二判官」 「柔艣輕鷗外」(五言律詩の第7聯) >なにか、友人の使っていた雅号を借りた、とか、若いときのあまり名誉にならない思い出にまつわっている、と聞いた事があります。  : ですから、それらは出所不案内なネット「伝説」でしかなく、それは明治33年における彼自身の次の短随筆からも確認できます。 参照:森鴎外「鴎外漁史とは誰ぞ」 http://www.aozora.gr.jp/cards/000129/files/45270_19219.html

noname#202494
質問者

お礼

お礼が遅くなりまして、申し訳ありません。 内容の濃いご回答なので、何度も読み返し、また、添付していただいたリンクも、楽しく拝読しました。 ”鴎外漁史とは誰か”という、小倉時代に書かれた評論は、初見でした。鴎外は、軍医である森林太郎の小説を書くときの虚名で、しかも、明治三十三年には、”死んだ”という風に言っていますね。 彼と同じように文豪と呼ばれた幸田露伴から親身な忠告があったらしいのも、一興です。 鴎外が、春の嵐の様子を描いた杜甫の詩句から取られたものだというのは、初めて知りました。お弟子の斉藤勝寿氏と、どんなやり取りののちに、この詩句を採用したのか、興味の湧くところです。 彼は、小倉に下る前、確か、句会も開いていたようでしたので、そちらのほうも調べてみたいと思います。青空文庫には、随筆や評論も載っているようですから、こちらも読むのが楽しみです。 唐詩選は、やはり、杜甫と李白になりましょうか。李白の秋の月、杜甫の春の花、のイメージなのですが、華やかな杜甫の詩から、名をとったのは、面白いと思いました。ゆっくり時間をかけてのぞいてみたいと思います。 まとまりのないお礼になりましたが、世界を広げてゆくきっかけをつくってくださったご回答、ありがとうございました。

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