電子軌道と電子殻 電子殻とボーアの量子条件

このQ&Aのポイント
  • 電子同士が衝突することはない理由や量子軌道の制約について質問されています。
  • 殻の上でも軌道が異なるため排他律には反していないということ、また電子殻の概念について疑問を持っています。
  • ボーアの量子条件と殻の関係について質問されており、nが殻を表しているのかどうか、基底状態についても知りたいと述べています。
回答を見る
  • ベストアンサー

電子軌道と電子殻 電子殻とボーアの量子条件

電子は電子同士が衝突する事は無いのは、パウリの排他原理より量子軌道は1個の電子しか存在できないからと教わったのですが、L殻以降には1つの殻に電子が2個以上存在しています。これは同じエネルギー準位にいるという事ではないのですか?もし同じ殻の上でもs軌道やp軌道で軌道が異なるので排他律には反していないという事になるのでしょうか。それでも殻の上に8の字の軌道を描くとはどういう事でしょうか。原子核の周りに電子雲が存在する確率があるというのは理解できるのですが、『殻』という物がどういう概念なのか、それがどこで出来て、どのような性質があるのかが理解できません。 またボーアの量子条件2πr=nλを満たすようにして、原子核の周りを電子の軌道が定常波を描くように存在しますが、このnというのは殻ですか?それともsやp軌道に対応する物ですか。n=1.n=2...と原子核から離れた円周が続いていきますが、それが何を表しているのか分かりません。例えばn=1の軌道上の電子を基底状態といいますが、これはK殻に存在しているという事になるのでしょうか。 誤解している事も多そうですが、どなたか教えてもらえないでしょうか

  • 化学
  • 回答数3
  • ありがとう数1

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • 101325
  • ベストアンサー率80% (495/617)
回答No.2

ボーアの原子軌道と、s軌道やp軌道などの原子軌道は、どちらも原子軌道と呼ばれますけど、全く別のものです。これらを混同してしまうとまったくわけがわからなくなってしまうので、注意してください。 ボーアの原子軌道は、ニュートンの運動方程式に従う電子の軌道で、原子核を中心とした同心円になります。それに対してs軌道やp軌道などの原子軌道は、シュレーディンガーの波動方程式を解いて得られる一電子波動関数で、原子核からの距離と方向に応じて値が決まる関数です。 以下では、これらを区別するために、ニュートンの運動方程式に従う電子の軌道は、《ボーアの原子軌道》のように括弧つきで書きます。そして、シュレーディンガーの波動方程式を解いて得られる一電子波動関数は、原子オービタルと書きます。 > パウリの排他原理より量子軌道は1個の電子しか存在できない 訂正:パウリの排他原理より原子オービタルは最大2個の電子しか存在できない 説明:排他原理があるのに2個まで電子が存在できるのは、電子がスピンを持つからです。電子のスピンについては、教科書を参照してください。 > L殻以降には1つの殻に電子が2個以上存在しています。 訂正:全ての殻で、1つの殻に電子が2個以上存在できます。 説明:K殻には2個まで、L殻には8個まで電子が存在できます。 > これは同じエネルギー準位にいるという事ではないのですか? 答:s軌道を除けば、同じエネルギー準位に複数個の原子オービタルがあります。 説明:例えば、p軌道なら同じエネルギー準位に3個の原子オービタルがあります。d軌道なら5個です。 > もし同じ殻の上でもs軌道やp軌道で軌道が異なるので排他律には反していないという事になるのでしょうか。 答:原子オービタルが異なるので排他律には反していない、という点ではあっています。 説明:同じ殻でも、s軌道とp軌道のエネルギー準位は違います。水素原子の原子オービタルでは、s軌道とp軌道のエネルギー準位が同じになりますけど、これは、唯一の例外になっています。他の全ての原子では、s軌道よりp軌道の方がエネルギー準位が高くなります。 > 殻の上に8の字の軌道を描くとはどういう事でしょうか。 答:原子オービタルは、軌道を描きません。あれは、電子雲のもやっとした形を毎回毎回ていねいに描くのが骨折りなので、電子雲をマンガ的に表現したものだと考えてください。 説明:もしも電子が《ボーアの原子軌道》のように軌道を描いたとすると、これは不確定性原理に反します。8の字は、原子オービタルの等高面を模式的に描いたもの、と考えてください。ふつうは、絶対値の等しい等高面を、原子オービタルの正負が分かるようにして同時に描きます。 > 『殻』という物がどういう概念なのか、それがどこで出来て、どのような性質があるのか 答:原子オービタルをグループ分けする概念です。原子オービタルの節面(原子オービタルの値がゼロになる面)の数で、グループ分けします。同じ殻に属する原子オービタルは、原子核からの電子の平均距離と、電子を原子から引き離すために必要なエネルギー(イオン化エネルギー)が、互いに似たような値になる、という性質を持ちます。 説明:原子オービタルの節面の数は、原子オービタルの主量子数から1を引いたものです。K殻の原子オービタルの節面の数は0、L殻の原子オービタルの節面の数は1、M殻の原子オービタルの節面の数は2、というように外側の殻ほど節面の数が多くなります。 > ボーアの量子条件2πr=nλを満たすようにして、原子核の周りを電子の軌道が定常波を描くように存在しますが、このnというのは殻ですか? 答:ボーアの水素原子模型のnは、原子オービタルの主量子数に対応するものなので、殻と考えても間違いではありません。 説明:ボーアの水素原子模型では、ひとつのnにつきひとつの《ボーアの原子軌道》しかありません。ですので、ボーアの水素原子模型に、殻という概念を導入するメリットは、ほとんどありません。 >それともsやp軌道に対応する物ですか。 答:ボーアの水素原子模型に、s軌道やp軌道に対応する物はありません。 説明:ありません、というのは嘘で、本当は、方位量子数っぽいものがあります。ですけど、学校ではふつう教えない事柄ですので、知らなくても大丈夫です。 > n=1.n=2...と原子核から離れた円周が続いていきますが、それが何を表しているのか分かりません。 答:《ボーアの原子軌道》を表しています。 説明:《ボーアの原子軌道》は、ニュートンの運動方程式を解いて求められるものなので、文字通り、電子の動く軌道を表しています。 > 例えばn=1の軌道上の電子を基底状態といいますが、これはK殻に存在しているという事になるのでしょうか。 答:ボーアの水素原子模型に殻という概念を使うなら、そういうことになります。 説明:ボーアの水素原子模型では、電子数は必ず1個ですから、n=1の軌道上に電子があるときが基底状態、n>1の軌道上に電子があるときが励起状態になります。 -------------------- ボーアの原子模型と呼ばれるものは、ニュートンの運動方程式と量子条件2πr=nλから得られるものとは別に、もうひとつあります。 http://chem-edu.net/structure11.htm の図にあるようなものです。 歴史的な理由により、このような模型もボーアの原子模型と呼ばれてしまうのですけど、この図の同心円は《ボーアの原子軌道》ではありません。この様な図は、シュレーディンガーの波動方程式を解いて得られた原子オービタルの殻構造を、極限まで抽象化した模式図と考えるのがよいでしょう。すなわち、多電子原子の同心円は、《ボーアの原子軌道》でもなければ、原子オービタルでもなく、K殻, L殻, M殻などの殻そのものを表している、ということです。

kairosu
質問者

お礼

詳しく丁寧に説明して頂き、有難うございました。

その他の回答 (2)

  • waamos
  • ベストアンサー率71% (33/46)
回答No.3

 ボーアの量子論は古き良き時代の近似なので、電子の正確な運動を表していません。より厳密な電子の運動方程式(シュレディンガー方程式)を解く必要があります。  原子核の周りでシュレディンガー方程式を解くと、整数をいくつか含む関数(波動関数)が解として得られます。波動関数に含まれる整数にはn = 主量子数、l = 方位量子数、m=磁気量子数という名前がついています。また、電子にはスピン(量子的な角運動の方向)という電子固有のパラメーターがあり、s=+1/2 または -1/2の値を取ります。2つの電子でこのn/l/m/sが全て一致する事は無いというのがパウリの排他則です。   主量子数n=1に対応するのがK殻、n=2に対応するのがL殻・・・です。   オービタルの形、つまりs、p、dの区別は方位量子数lの値で決まります。   2pには方向が違うpx,py,pzがありますが、この軌道の方向xyzは磁気量子数mの値で決まります。   sの値は2通りしかないので、1つのオービタルには電子が2個までしか入りません。 シュレディンガー方程式をx,y平面上で解いて、l = m = 0とすればボーアの理論と数式の上では一致させる事ができるので、ボーアの式から出てくるnλのnは、強いて言えば主量子数nに対応しています。でも物理的にはあんまり意味のない議論です。

参考URL:
http://homepage3.nifty.com/rikei-index01/ryousikagaku/syuryousi.html
  • ORUKA1951
  • ベストアンサー率45% (5062/11036)
回答No.1

 教科書をしっかりお読みなさい。とてもここで説明できる内容じゃありませんし、教室でも無理でしょう。大学生だと思いますが、あの厚い教科書をすべて講義してくれるわけじゃない。すべて自分で読んで理解しているという前提で授業が進む。私も学位時代、授業の前に習うはずのところはすべて理解して授業に望むようにしてました。わからないところを食い下がって聞いた。それが大学と言うものですよ。  k殻L殻なんて今は忘れて良いです。s,p,d,f・・を理解したらK,L,Mとの関係がわかるようになります。  原子核の周りの電子は決して粒子としたら説明できない存在です。そのため、エネルギーとして考えます。エネルギー--すなわち波です。E = hν  その波動が軌道であり、ひとつの軌道にひとつしか存在しえません。ただ、位置は同じでも正負の異なる波動がありますから、あたかもひとつの軌道にふたつの電子が存在するように思えますが、ふたつの電子のとる軌道は異なります。よってs軌道にはふたつの電子が存在する。  次のエネルギーが高い状態でもs軌道には2個入ります。そして三つの波面を持つp軌道にも正負ひとつずつ、都合6個・・。3s(2),3p(6),3d(10)・・・4s(2),4p(6),4d(10),4f(14) >例えばn=1の軌道上の電子を基底状態といいますが、これはK殻に存在しているという事になるのでしょうか。  違います。K,L,Mを引きずっていたらだめです。spdを完璧に理解してから、改めてK,L,Mの意味を考えましょう。  まあ、教科書をしっかり読むこと。足りなければ図書館にたくさんある。

関連するQ&A

  • 電子殻とボーアの量子条件

    電子は電子同士が衝突する事は無いのは、パウリの排他原理より量子軌道は1個の電子しか存在できないからと教わったのですが、L殻以降には1つの殻に電子が2個以上存在しています。これは同じエネルギー準位にいるという事ではないのですか?もし同じ殻の上でもs軌道やp軌道で軌道が異なるので排他律には反していないという事になるのでしょうか。それでも殻の上に8の字の軌道を描くとはどういう事でしょうか。原子核の周りに電子雲が存在する確率があるというのは理解できるのですが、殻という物がどういう概念なのか、それがどこで出来るのかが理解できません。 またボーアの量子条件2πr=nλを満たすようにして、原子核の周りを電子の軌道が定常波を描くように存在しますが、このnというのは殻ですか?それともsやp軌道に対応する物ですか。n=1.n=2...と原子核から離れた円周が続いていきますが、それが何を表しているのか分かりません。例えばn=1の軌道上の電子を基底状態といいますが、これはK殻に存在しているという事になるのでしょうか。 誤解している事も多そうですが、どなたか教えてもらえないでしょうか。

  • 量子力学での電子軌道について

    量子力学で、水素原子の波動関数を計算すると、1s軌道の場合、球体の形をした軌道が現れますが、この軌道には節がなく、場合によっては、電子が核に存在することも0ではないということですよね。 ということは、電子が完全に原子核の中心と重なるということはあり得るのですか? 現実的に考えれば、そこには陽子や、中性子があるので、あり得ないとは思うのですが、 確率を見るからには、あり得るので。 それからもう一つ質問なのですが、3d軌道と4fでは、4sの方が、3dよりもなぜかエネルギーが低いですが、これはなぜなのでしょうか? 3dよりも、4sの方が、中心に電子がいる確率が高いので、その分遮蔽効果の影響を受けなくて、 エネルギーが低くなるということでしょうか? だとしたら、2pよりも3sのほうが、中心に電子がいる確率が高いので、その分エネルギー的に安定して、エネルギー関係は、3s<2pとなるとも言えそうな気がするのですが。

  • 異なる電子殻の同じ軌道は?

    s軌道の形は原子核を中心にした球面とのことですが、 NaはK殻L殻M殻それぞれに1s軌道、2s軌道、3s軌道を 持っています。 とすると、2sは1sを、3sは2sを包み込むような球面なの でしょうか?  また、単純な球ではないp、d、fなどの軌道も同様に下 位の同じ軌道を包み込むように一回り大きい同じ形の 軌道なのでしょうか?下位の軌道と交差したりはしない のでしょうか?

  • ボーアの量子化について

    ボーアの量子化条件のどの点が理論的に説明できない仮定と なっているのでしょうか?? 電子の軌道半径はとびとびの値しか持たないといっていることなのか、 n番目の軌道をまわる電子のエネルギーをEn,Emとすると、hν=En-Em のエネルギーの光を放出して電子の軌道がnからmに遷移するといった、プランクの式hνに結びつけたところなのか 原子の軌道上の電子はニュートンの運動方程式に従わないと仮定した ところなのか   このへんがどうなのかよく分からないので、 この問いがいいたいことは何なのか参考程度に教えてください お願いします。

  • 軌道ってなんですか?

    教科書を読んでいて 「原子の持つ電子は実際には電子核に属する軌道に配置されており、 K殻にはS軌道しかないが、L殻にはS軌道とP軌道があり、 電子はエネルギーの低い順から配置される。」と書いてあったのですが まったくもって意味がわからないです。 ホームページなどで調べてみたのですが 全然理解できません。 電子殻ってなんですか? 原子核の周りにある電子の1つを電子殻っていうんですか? 教えてください。

  • 量子化学 分子の軌道

    分子の軌道の1s軌道と2s軌道、2p軌道はどういった位置関係にあるんでしょうか? 僕のイメージ的には、原子核を包み込むように1s軌道(球型)があって、それをさらに包み込むように2s軌道(球型)があって…、ってな感じです。 これでいくと、p軌道がいまいちわかりません。 僕の中では『軌道』と言うのは電子雲なんですけど、それすら違うのでしょうか? ”軌道=電子雲”だと、波動関数の意味がわかりませんし・・・。 あと、波動の位相(+と-)とは、何者なんでしょうか? 最後に、結合性軌道と反結合性軌道なんですけど、これらの位置関係もわかりません。 この2つも、原子核を中心に重なっているんでしょうか? 量子化学の1歩目でかなりの勘違いをしている気がします。 質問が多いですがよろしくおねがいします。

  • ボーア量子条件と不確定性原理について

    (1) 「ボーアの量子条件 mva=nh/2π は、軌道円周(水素原子モデル)が波長の整数倍に等しいということと同じである」 というのはどういうことでしょうか? (2)「1nmの箱の中に閉じ込められた電子の速度の不確定さを求めろ」という問題です。    p=mvとり、⊿v=⊿p/mとし、⊿pをもとめるのかなと考えたのですが、そもそも⊿pはどうやって求めるのか。 解説よろしくお願いします

  • 電子の軌道のイメージ

    全くの素人です。量子力学とか、そういった知識のまるでない者です。 原子は原子核と電子群からなっていて、電子は電子殻の中で動いているとか・・・ ウィキペディアで電子の軌道(p軌道、d軌道、f軌道)を調べたら図があったんですがp軌道に関しては x2 + y2 = r2 の円運動 x2 + z2 = r2 の円運動 y2 + z2 = r2 の円運動   と、解釈していいんでしょうか? また、d軌道に関しては図だと全然イメージわかないので、どこか動画かなにかで教えてるサイトとかあったら教えてください。よろしくお願いします。

  • 電子の軌道について・・・・・・・

    主量子数(n=1、2、3、4)の電子の軌道には、それぞれ何個の電子が入り得ると思いますか? n=1がK殻、n=2がL殻、n=3がM殻、・・・・・に対応してると思うんですが・・・・・・。。。。。 誰かすみませんがお願いします。。。。。。。

  • ボーアの原子模型を使い、水素原子の電子軌道半径(n=1)を求めなければ

    ボーアの原子模型を使い、水素原子の電子軌道半径(n=1)を求めなければならないのですが全然分かりません・・・教えてください・・・お願いします。