• ベストアンサー

夫は妻にしたいつつ という歌詞 があるようですが

この場合の「に」の用法は何ですか。 この動詞は、意味からして「 ~を慕う 」という形しかないように思うのですが、昔は、他の用法もありましたか。 または、浪曲独自の表現ですか。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • kine-ore
  • ベストアンサー率54% (808/1481)
回答No.4

#3です。 1.往時での意味合いと「~つ、~つつ」での対比性 この文句は、当時の一般的な夫婦であれば「夫唱婦随」であるべき関係を、あえてロジカルに逆転させたかのような聞き手をハッとさせる惹句を狙ってはいるでしょう。言い方があべこべで、こりゃ間違っているんじゃないかと。 ところが、その「夫をいたはりつ」と「妻に慕ひつつ」に込められた裏の意味を対比的に味わうことで、聞き手になるほどと納得させるあたり、実に良くできた「きっかけ」として一世を風靡するまでに至ったほどでした。 まず、「いたはる」の意味が、「労(いた)づく」であり、ひいては「搏(かしづ)く」に通じる意味に用いられていることです。 「いたはる(労)(他動詞)(傷(イタ)ハシクスル意)傷ハシク思ヒテアツカフ。イタヅク。「イタハリ、カシヅク」撫恤。」  いたはる(自動詞)(病を撫(イタ)ハルヨリ転ズ)病ム。」 「いたづく(恤))(他動詞)(労(イタヅ)キテ恤(メグ)ム意)懇ニアツカフ。イタハル。」(大槻文彦「言海」) ですから、妻は視力を病んでいる夫の養生を図り、懇(ねんご)ろに扱い、大切に世話し搏(かしず)いていたのだと。 このようなニュアンスが前提にあったればこそ、後段の「~に慕ふ」の意味もまたそれに呼応するものであることが分かります。 「したふ(慕)(他動詞)(一)懐カシク思フ。恋ヒ思ウ。(二)追ヒツカント行ク。「後を慕フ」追蹤。」(大槻文彦「言海」) 「したふ(慕)(他動詞四段)(二)後を追う。後を追随す。」(落合直文「日本大辞典」) つまり、この場合の「慕う」は、「妻を恋思う」よりは「妻から離れがたい」であり、ひいては「妻の後を追う」であり「妻に付き従う」ニュアンスなのでしょう。 このように、前段の「夫を懇ろに扱い大切に世話し搏(かしず)く」と対比すれならば、自発的・能動的に「妻<を>慕う」それではなく、そのような甲斐甲斐しい妻の為すがままになっている境遇下の夫が「妻<に>追随する」という構図が浮かび上がって来ます。「夫唱婦随」を反転させた「婦唱夫随」のアベコベ構図下での、実は「婦搏夫髄」であり「婦労夫慕」の関係なのだと。 2.相手との関係性動詞における依拠格のニュアンス 一般に、日本語では機械的に他動詞と自動詞が分類される、また取るべき格が自動的に割り振られるといったものではなく、もっと意味深い表現が多々あります。 このように相手が有っての他動詞においては、相手への傾斜が大きくなり、相手への依存性が増すにつれ、他動詞でも「ヲ」格を取らず、依拠格としての「ニ」格を用いるようになります。それはまた、事実上自動詞の用法とも重なっていくことでもあります。 例えば、「頼る」も他動詞ですが、対格か依拠格かでニュアンスが異なっています。 「友を頼る。」…本人の自発的判断、能動的行為として、友達を当てにし、友達との繋がりを求める。 「兄に頼る。」…弟が自力での能動的行為に行き詰まり、兄に助けを求めて、兄によりかかろうとする。

hakobulu
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 頼る、の例を挙げていただき納得できました。 「~に慕う」という自動詞的用法をわたしが知らなかっただけですね。

その他の回答 (3)

  • kine-ore
  • ベストアンサー率54% (808/1481)
回答No.3

大正末期に流行した浪曲の「きっかけ」文句ですが、その前段「妻は夫をいたわりつ」は他動詞ですが、後段の「夫は妻に慕いつつ」は「を」ではなく「に」を取った自動詞扱いと見える形になっています。 これはよくできた文句でして、「労(いたは)る」の方が、本来は「いた(痛)し」と同根で、本来自動詞として「~に努力する」意味合いでしょうが、一般には転じて他動詞として「~をねんごろに世話する」「~の面倒をみる」「~を介抱する」意味に使われています。 一方、「慕(した)ふ」の方は、他動詞での原義は「~のあとを追う」「~にしたがう」「~についていく」なので、対格「を」を取りもしますが、もともと依拠格「に」であったりもします。 妻(お里)は夫(沢一)をねんごろに世話し、夫は妻について行きつつ…。 参考:「古語大辞典」小学館

hakobulu
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 >「慕(した)ふ」の方は、他動詞での原義は「~のあとを追う」「~にしたがう」「~についていく」なので、 : 「彼のあとを追う」 「彼に従う」 「彼についていく」 は全て自動詞のように思うのですが、それが他動詞の原義というのは、ちょっと理屈がよくわかりませんでした。 >「を」ではなく「に」を取った自動詞扱い : となる他動詞は、他にもあるでしょうか。 それがわかると若干、わたしの固い頭もほぐれそうな気はするのですが。   

  • TANUHACHI
  • ベストアンサー率31% (791/2549)
回答No.2

 おはようございます。件の言葉(慕ふ)は大野晋氏『古典基礎語辞典』に依りますと、以下の記述を覧ることができます。  シタはシタ(下)で、シタガフ(従ふ)と同根。「上」に対する「下」から語義が広がり主たる者の力に引かれ支配される行動や心情をいう。  つまり、お里に手を引かれて沢市は………との意味に解釈することができます。蓋し、ここに記されている「主たる者の力に引かれ支配され」を杓子定規に解釈してしまいますと、この物語はあらぬ印象をもたらしかねませんので、慎ましやかに暮らしている夫婦の情愛を綴ったものと理解すればよいのではありませんか?

hakobulu
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 > シタはシタ(下)で、シタガフ(従ふ)と同根。 : 興味深い情報です。 そうしますと、「王に従いなさい」の代わりに「王に慕いなさい」などという表現も可能になるのですかね。 ピンと来ないのは古語だからでしょうか。

回答No.1

古語では慕ふに「ついて行く」と言う意味があります。 この場合は盲目の夫を妻が先導しているのですから「に」で正解ですね。

hakobulu
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 「ついて行きます」という意味で、「わたしはあなたに慕います」という表現が普通に使われていた、ということでしょうか。

関連するQ&A

  • 過去形で命令形になる言語

    日本語の場合、 「さあさあ、安いよ、買った買った!」 「なんだ、買わないのか、帰った帰った!」 「え? 他の店の方がモノがいい?、ちょっと待った!」 と、他人がまだしてない行為をしてほしいという時の用法として、過去形と同じ形を取って表現されることがあります。 もちろん、これが「て」に置き換えることもできますから、上の例文にあるのは過去の助動詞「た」ではないことは明らかですが、過去形と同じ形を取るというところが面白いなと思いました。 さて、私の知る限り、そのような言語は他にないのですが、何か例があれば教えて下さい。

  • Who can hold that will away?

    Who can hold that will away? 「立ち下がりたがっている者をいったい誰が引き留められるのか?」 この諺は現在の文法では説明できないと思いますが、どなたか歴史的に説明願えませんか? 関係代名詞 that は、昔は先行詞を取らない用法も普通だったのでしょうか?現在では what をのぞく関係代名詞は先行詞を必要とすると思いますが。この諺の場合、that が one that(who) の意味で使われているようです。 away は現在では、動詞用法はないと思うのですが、昔は動詞としても使われていたのでしょうか?ここでは、go away の意味のようですが。古い英詩などで、away! away! というような表現は見たことがあるのですが、これは動詞として考えて良いでしょうか? よろしくお願いします。

  • 不定詞

    V O toV の形でOがVする~(toVが形の叙述)の意味を取れる動詞 また、OにVすることを~(toVが名詞的用法)の意味を取れる動詞 には、どのような意味のものが多いですか?(具体的でもいいです

  • 「~したことである。」という表現

    「主が死んだことも知らず、彼の愛馬はのんびりと草を食(は)んでいたことである。」 ちょっと昔の人の文章を読むと、こんなふうに語尾を「~したことである」というかたちにした文を見かけます。 「~したものである」という表現なら、なんとなく過去の習慣を表すような気がします。 また、もし私ならこの場合「食んでいた。」で切ると思うのですが、これらに意味やニュアンス、用法に違いがあるとすれば教えてください。

  • ShakiraのLalalaの歌詞で。

    "lego"というところがありますが、あれは、「やってみて」といったぐらいの意味でしょうか? 動詞ですよね。原形はどういう形になりますか? 英語に訳すとしたらどうなりますか?

  • Are you here tomorrow?

    動画(アニメ、ヒカルの碁)からなのですが、 Are you here tomorrow? と男の子(ヒカル:主人公)がお姉さんに聞いていると思います。 お姉さんは、このネットカフェで働いている、男の子の友達のお姉さんです。 この表現で「お姉さん、明日いる?」と聞いているのだと思います。 この未来のことを尋ねる現在形についてお聞きします。 1.これは普通に使われますか? まあ、アニメで使われるくらいなのでごく普通なんだろうなあとは思うのですが、持っている文法書を見ると、現在形で未来を表す場合について、時刻表の例があり、 ・この用法で使われる動詞には、go、come、start、begin、leave、arriveなどの、「物事の開始」や「移動」の意味を含むものが多く、ふつうは日時などを表す副詞(句)を伴う。 ・この現在形の用法は、個人よりも、団体などの予定・計画、公共的な事柄に対して使われることが多い と説明があります。 今回の場合はbe動詞なので、「物事の開始」や「移動」の意味を含んでいませんし、また、まさに個人の勤務予定のことを聞いていますので、この解説とは今ひとつあいません。 時刻表のような場合に使われるのは分かりますが、このような場合でも頻繁に使われるのか、それをまず確認させてください。 2.使われる範囲(どこまで使えるのか) を教えてください。 例えば、 ・たまたま公園で会った友達に「明日も来る?」と聞くときに使えますか? →予定が勤務のように確定しているわけではないときでも使えるのか、というのが質問の意図です。 ・be動詞を止めて、Do you go to work tomorrow? はどうですか? be動詞でその場で聞いているからOKで、道で会った人に聞くのはダメかどうかというのが質問の意図です。さすがにダメですかね。 などなど、この他、youじゃなくて他の人のことならどうか、とか、この表現の適用範囲がなにせ全くわからないので、このときには使えるけどこのときには使えないというのをある程度理解したいです。 3.このような例が載っている文法書がもしあったら教えて下さい。(これはもし分かったらで構いません) 以上よろしくお願いいたします。

  • ごとき

    大丈夫です。お弁当ごときできないわけがない。 「ごとき」は助動詞「ごとし」の連体形で、「ような」という意味じゃありませんか。この場合にはどういう用法でしょう。「など」に言い換えたらもっと自然だと思いますが。詳しく教えていただければありがたいです。よろしくお願いします。

  • 夢を実現「する」と「させる」

    日本語の質問です。 「自分の夢を実現させたい」という文で、使役動詞が使われていますがこの使役動詞の文法的な意味は何でしょうか? 使役動詞は、 ・息子を買い物に行かせる(強制) ・息子を一人で旅行に行かせる(許容・放任) などが最もメジャーな使い方でありますが、「夢を実現させる」はこれに当てはまりません。 日本語の文法書で、ほかの用法も見てみましたが ・冷蔵庫の野菜を腐らせてしまった(自然に・・・する)  ・兄は妹を泣かせた(原因) 以上のような用法とも違うようです。 他の用法ですと、「Xに着目しながらYの動作や変化を表す」というものがあります。 ・体を休ませる/頭を働かせる など。 これは近いような気がしますが、この用法は”XはYの身体部位である”と書いてあります。「夢」は一応自分のものですが、身体部位ではありません。 他には「Vしにくい性質を持つものを矯正して、Vさせる」というのがあります。 ・坂道で車を懸命に押さえて止まらせた(矯正) 夢は実現しにくいものだとしたら、これが近いような気もします。 夢を実現させるというのはどういう意味に当たるのでしょうか。 ほかに「プレゼンを成功させる」「早く宿題を終わらせる」というような表現も同様かと思います。「物事を実現させる」という意味で使われるのでしょうか。 どなたかお詳しい方、教えていただけませんでしょうか。 よろしくお願いします。

  • needの使い方です!!

    needの用法について質問なんですが 「The children need not to take part in the game.」という文は実はneed notの後ろには、 「to do」がこないで「do」がくるのでこの文は間違えということなんですが、 「There is no need to attend the meeting.」 という風にできるように「need to do」という形はとれる文もあるようです。 前者の文ではなんで「to do」という形を取ることができないのでしょうか。 needは助動詞と動詞の使い方があるようですが両方とも「…する必要がある」という意味で、助動詞としても、動詞としても、どっちでも表現できてしまうような気がしてしまい、2つの違いがよく分かりません。 もし分かる方がいましたら、解答をお願いします!!

  • 助動詞「つ」「ぬ」の意味

    古語で、助動詞「つ」「ぬ」には 完了 強意(確述) の用法がありますが、 てむ なむ つべし ぬべし てよ ね といった形の場合に、どちらの用法と見るべきかで混乱しています。 ほとんどの場合、両方の現代語訳をハメてハマラないこともない気がするのですが、明確な識別方法があれば教えて下さい。