漢字の日本語化による誤用は、漢字が伝搬した経緯を知る必要があります。日本語が本格的に漢字を用いた経緯は諸説があります。古くは三世紀末の魏志倭人伝に記された金印が後漢の光武帝から印綬されたとすれば、一世紀には日本に漢字がもたらされたと思われます。そもそも、古代日本の言語は口語で成り立っており、文字そのものが存在せず文語を用いる過程で中国からもたらされました。伝搬ル-トは諸説あるのですが中国から漢字がもたらされたのは揺るがない事実です。
平安期以降は遣隋使や遣唐使により本格的に漢字が入るようになりました。中国の王朝は朝貢外交であった事から当然、外交文書は漢字が用いられ、隋皇帝 煬帝への返信は日本書記に「東天皇敬白西皇帝」(東の天皇が敬いて西の皇帝に白す)と漢字(文)で記されています。
さて、本題の漢字の誤用の経緯は大別すると「口語の日本語を漢字に当てはめる際に生じたもの」と「本来の意味が時代の変遷とともに変化したもの」に分けられます。
前者の例は「鮎」の漢字が当てはまります。本来、「あゆ」は日本固有の魚で中国には存在しません。本来の「鮎」は「なまず」です。しかしながら誤用されたまま日本語に定着しました。
後者はの例は「呉服」です。呉服の意味は、「呉の国からもたらされた絹地の服」でしたが時代を重ねるうちに「和服」=「呉服」に転じて現在に至っています。
とかく中国語と日本語では同じ漢字であっても、その意味が異なるものが多々あります。ただ、それは日本語と中国語だけの関係だけではなく、同じ中国国内であっても各方言でも同様の傾向があります。現在、普通語とされている中国語のベ-スは東北系の北京官話(北京語とは違います)でアルタイ語の影響を受けた純粋な漢語とは言えません。これは説明するととても長くなり、漢字そのもの成り立ちを説明しなくてはならなくなるので割愛します。
比較言語で中国語をみると単純に南方系、北方系、東方系、西方系と区別しただけでも、英語とドイツ語以上の違いがあるとされており、簡単に一つの言語として一括りにできません。漢字は言語学的にはチベット・シナ言語に分類されますが多言語との関わりにより、意味の他に文法、発音が地域によって大きく異なり、隣街の人の言語を解する事ができないほどです(これは決して極端な例ではありません)。
これを勉強したければ比較言語に始まる言語学からアプロ-チする必要があります。とにかく、中国語は難しい側面があります。中国語を単に学びたければ日本語の漢字の用法は一度捨て去る事をお奨めします。
お礼
簡体字を考えるのも大変だったのかもしれませんね(--;) だから音が同じものを「これでいっか」みたいに 適当に代わりにしたということなんでしょうか。。 喫→吃も、聴→听も。。