事業案件のファイナンスリスクの評価方法とは?

このQ&Aのポイント
  • 経営多角化のための新規事業案件の評価方法について悩んでいます。事業が毎年生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いて事業価値を評価する手順は理解していますが、割引率の考え方が分かりません。
  • 考えた方法として、借入金利と事業のリスクを合算した割引率を使う方法と、WACCを使う方法があります。前者の方法では、新規事業のリスクを専業で行っている上場企業のβとマーケットリスクプレミアムを使い、後者の方法では、WACCに非上場企業のβと負債VS資本比率を反映させます。
  • どちらの方法が適切か迷っています。また、限定された考え方やタイプの融資形態になるのかも心配です。アドバイスをいただければ助かります。
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ある事業案件のファイナンスリスクの考え方について

非上場企業に勤務しております。経営多角化のための新規事業案件が数件あり、その事業性のありなしについて評価するよう指示を受けています。事業が毎年生み出すキャッシュフロー(CF)の現在価値の総和を事業価値として、初期投資額と比較し評価する等の一連の手順については勉強したのですが、CFを現在価値に割り引く際の割引率の考え方がなにせ素人ですから、よく分かりません。いろんな書籍を勉強しましたが、M&A等による企業価値を求める際の割引率の説明はあるのですが、ある新規事業に的を絞った場合のリスクを考慮した割引率の考え方については、記載がありません。自分なりに以下の2つの方法を考えましたが、どれが正しいのか、両方とも間違っているのか分かりませんので、教えて下さい。なお、投資資金としては、全額、銀行からの借入を想定しています。 ○方法1…割引率=借入金利+事業のリスクとする。 ・銀行は、事業のリスクを含めて借入金利を設定するのでしょうが、検討段階では、分けて考えてもいいのではないかと思っています。 ・事業のリスクとしては、新規事業領域の案件であり、仮に当社のβが分かったとしても、それをそのまま使えないので、事業案件と類似事業を専業でやっている上場企業のβを探し、それをもとに新規事業のβを求め、事業リスク=新規事業のβ×マーケット・リスクプレミアムとする。この考え方は、私の独断であり、まったく自信がありません。 ・この考え方が仮に使えるとした場合でも、融資形態をプロジェクトファイナンスと考えた場合の限定された考え方のような気もしますが、どうでしょうか。 ○方法2…割引率=WACCとする。 ・融資形態をコーポレ-トファイナンスと考えると、銀行としては、新規事業単体のリスクではなく、会社の事業運営に対するリスクをとらまえ、融資金利に加味するような気がします。 ・このように考え、全額銀行借り入れで、しかも非上場企業ではあるけれど、WACCを割引率として使用する。ただし、WACCを求める際には、βについては上記の方法1と同様に求める(一応、非上場企業のWACCの計算方法については、アンレパードβを使う方法を勉強しました。)。また、負債VS資本比率については、当社の実際の値を使用する。 以上ですが、どなたか、アドバイスをいただければ、助かります。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • aokisika
  • ベストアンサー率57% (1042/1811)
回答No.1

>事業性のありなしについて評価するよう指示を受けています。 評価する項目は財務の数字のみについて評価するよう指示されているのでしょうか? 通常、事業性の評価については、財務の数字だけでなく、顧客の動向(売り先があるか等)、競合他社の動向、自社内の人材等についても考慮しなければなりません。 質問者さんはこれらのうち、財務の数字のみについて検討するよう指示されたという前提でお答えします。 その事業から得られるCFの現在価値の総和が投資金額と比べて多いか少ないかを調べるのは、ただ単に採算性を調べているだけであって、リスクを調べたことにはなりません。 「得られるCF」というのは、「たぶん得られるかもしれないCF」であって、得られることが確定しているわけではありません。本当に得られるかどうかわからないわけです。そこで、採算性とは別にリスク評価が必要になります。リスクは不確実性を表す概念で、得られるCFの現在価値の期待値の分散で定義されます。 まず、割引率についてですが、これは資金源が借り入れですから、借入金利を賄えるだけのCFが得られるかどうかを検討することになります。そこで、割引率には借入金利を使います。そして、借入金利は、その事業がうまくいっても行かなくても必ず出てゆくCFです。ですから、金額は確定しており、不確実性はありません。したがって割引率の部分にはリスクは含める余地はありません。 得られるCFは、あくまでも予想であって、可能性があるというだけです。ですから、その金額は不確実です。そこでこの部分でリスクを評価します。 例題) さて、ある事業Aから得られるCFの現在価値の総和が1000万円であったとします。この1000万円というのは、市場が特に大きな変化がなく推移したということを想定しています。ということは、現状で市場が緩やかに上昇しつつあるのなら、今後数年間(事業Aが終了するまで)にわたって同程度に緩やかに上昇すると仮定した時の売り上げに基づいて計算したCFを割り引いたものです。ですから、実際はもっと売れてCFも沢山得られるかもしれませんし、あるいはまた市場が冷えてきて売れ行きが落ちてしまい、得られるCFも少なくなってしまうかもしれません。 そこで、得られるCFの現在価値の総和が1000万円である確率が60%、景気が予想よりも良くなって1200万円得られる確率が30%、予想よりも景気が悪くなり、800万円しかえられない確率が10%であったとします。 まず、それぞれの金額にそれぞれの確率を掛けます。 1000万円×60%=600万円 1200万円×30%=360万円 800万円×10%=80万円 これを合計します。 600万円+360万円+80万円=1040万円 これが、この事業から得られるCFの現在価値の総和の平均になります。 次に、この平均と、市場動向による3つの場合の金額との差の二乗を計算します。 (1040万円ー1000万円)^2=160(万円万円) (1040万円ー1200万円)^2=25600(万円万円) (1040万円ー800万円)^2=57600(万円万円) CFの平均を計算したように、この差の二乗の平均を計算します。 160×60%+25600×30%+57600×10% =96+7680+5760=13536(万円万円) この計算、つまり、平均との差の二乗の平均を分散と呼びます。分散が事業Aのリスクをあらわします。 さて、事業Bは市場が順調に推移した場合のCFの現在価値の総和が1000万円で、確率は60%、市場が予想より上昇したときは1100万円で20%、上昇しなかったときは900万円で20%であったとします。 この場合の得られるCFの現在価値の総和の平均は1000万円になります。 では分散を計算してみます。 (1000万円ー1000万円)^2=0(万円万円) (1000万円ー1100万円)^2=10000(万円万円) (1000万円ー900万円)^2=10000(万円万円) 0×60%+10000×20%+10000×20%=4000(万円万円) これが事業Bの分散であり、事業Bのリスクを表します。 事業Aと事業Bとを比較すると、得られるCFの現在価値の平均(期待値)は事業Aの方が大きいですが、リスクも事業Aの方が大きいことがわかります。 これは事業AとBを比べると、市場動向による採算性の変動が事業Aの方が大きく変動する、つまり、市場動向によってどう転ぶかの差が激しいことを示します。 では、事業Aと事業Bのどちらを採択するか、ですが、これは経営陣がリスクと期待値のどちらを重視するか、であって、質問者さんの仕事は、それぞれのリスクを示すところまでです。 ここで、市場動向のそれぞれの場合の確率はどうやって計算したのか、が問題になります。これは質問者さんの業種の顧客や競合他社、全体的な市場動向などによって判断するしかありません。これには定型的な算出方法はありません。

yg-noriko
質問者

お礼

ご回答、ありがとうございます。お礼が遅くなり、すみませんでした。おっしゃっている意味は分かりますが、なかなか難しいですね。事業のリスクというのは、結局、CFのブレということになるのでしょうね。

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