プロジェクト評価のためのフリー・キャッシュフローとは?
- フリー・キャッシュフロー(FCF)は、あるプロジェクトの事業性評価に使用される指標です。
- FCFは税引前営業利益、減価償却費、設備投資額、増加運転資本から求められます。
- FCFの計算において、税引前営業利益を使用する理由や、税引前営業利益×実効税率で法人税を計算する理由については複数の理論が存在します。
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プロジェクト評価のためのフリー・キャッシュフロー
あるプロジェクトの事業性評価を行う際に使用するフリー・キャッシュフロー(FCF)について、勉強しています。FCFに関する以下の不明な点について、識者の方のアドバイスをよろしくお願いいたします。 このFCFについては、一般的な図書では、以下で示されています。 FCF=税引前営業利益×(1-実効税率)+減価償却費-設備投資額-増加運転資本(又は-減少運転資本) 減価償却費以降については理解していますが、税引前営業利益×(1-実効税率)について以下の事項が分かりません。 1.税引前純利益ではなく、税引前営業利益を使う理由 おそらく、支払利息の影響を排除するためだと思い、これについて色々調べてみましたが、以下の二つの理由があるようです。どちらの理由が正しいのでしょうか。それとも他に理由があるのでしょうか。 (1)投資資金の借り方により、プロジェクト自体の良し悪しが影響されるので、この影響を排除するために、無金利として、プロジェクト本来の良し悪しの評価を行う。 (2)NPV法やDCF法で評価する際に、FCFをWACCで割り引くが、WACCの中に既に支払利息が入っているので、FCFに支払利息を考慮しておくと、利息の負担分を二回計算することになってしまう。 2.法人税等の支払額を、税引前営業利益×実効税率で計算する理由 上式で計算される法人税等は、当期の利益に対するものでありますが、支払時期は、決算終了後の来期になります。したがって、当期に支払う現金額というのは、前期の利益に対するものですので、当期のFCFを計算する際に、当期と前期の利益の差に対する税率分だけFCFにズレが生じると思います。しかし、どの書籍をみても、そのような説明は書かれていません。毎年の営業利益が一定という条件であればこのような式でもよいかとは思いますが、考え方としては間違っておりますでしょうか。
- yg-noriko
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おっしゃってるFCFはいわゆるFCFF(Free Cash Flow to the Firm)と呼ばれるもので債権者および株主に帰属するFree Cash Flowなので税引前営業利益をベースに計算します。これとは別にFCFE(Free Cash Flow to the Equity)という概念もありますが、こちらは株主のみに帰属するFree Cash Flowです。 なのでなぜ税引前からスタートするのかといえば定義がそうなっているからということになると思います。 (1)については、無金利というよりは、金利を控除したら債権者部分に帰属する価値が算定できなくなってしまうのであえて控除しないということだと思います。プロジェクト自体のファイナンシングはデットとエクイティ両方のソースを含んでいますので。 (2)についても上と同様です。債権者の期待利回りと株主の期待利回りを織り込むためにWACCを使います。つまり、債権者と株主の期待回りを本業のキャッシュフローが上回って初めてプロジェクトNPVが正になり、プロジェクト投資意思決定にGoが出ることになります。 2.おっしゃるとおりずれますが2カ月程度ですので、翌期末のキャッシュフローにいれるとなると10カ月ずれる計算になってしまいます。NPV算定上はより歪みが大きくなる可能性が高いと思います。
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お礼
ご丁寧な回答、ありがとうございました。フリーCFFのフリーの意味は、投資家(株主+債権者)に対し自由に使えるという意味なので、これらの人たちに分配される支払利息や配当等を当然含んでいなければならないということですね。だから、それを含んだCFを、銀行金利と株主期待利回りの両方を加味したWACCで割り引き、その結果で事業の採算性を評価すると考えれば、すっきりします。今後も、よろしくご指導下さい。