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【国際関係学】現実主義、自由主義、構成主義について
現在国際関係学を専攻しており、東アジアの安全保障問題において、Realism, Liberalism, Constructivismのどの考え方が一番現実的か、また説得力があるかというエッセーを書いています。そこでなのですが、複数の文献を参考にはしたものの、現実主義、自由主義、また構成主義について、具体的に頭の中で、それらがどのようなものか、という事が理解しきれていな状態です。どなたか、それらについて簡単に説明いただけませんでしょうか。 またそれらの思想が実際にどのように世界で機能しているか等も加えて説明いただけると幸いです。 よろしくお願いいたします。
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いえいえ。どういたしまして。 > リアリズムについてなのですが、ClassicalとStructural、すなわち伝統的リアリズム?、とネオリアリズムがありますが、これらの違いはどういったところなのでしょうか。 まず、”Classical realism”は”伝統的リアリズム”と一般的には訳されているようです。伝統的といいましても、第二次世界大戦後の話ですが・・・ 「主権国家のみが、(単一の)アクター(行為主体)であり、そしてアナーキーを中心に据えている」というのは、確かにそう言えると思われます。ただ、Classicalにおいてもその傾向は見られます。 顕著な相違と言われますと、”人間の本質”というものを取り入れるかどうかの違いが、最も異なる点かと考えられます。 つまり、伝統的リアリズムでは、イデオロギーなどよりも国益重視、さらに名誉欲や権力欲を”人間の本質”とみなし、そしてそれに応じて国益を追求していくという姿勢を貫きます。つまり、出発点が”人間の本質”ということなんです。 ですが一方、ネオリベラリズムにおいては、そのような”人間の本質”といったものは(ほとんど)考えず、国際関係における「アナーキー構造」、さらには、国家間の相対的な力関係(パワーバランス)や国家が置かれている環境構造を、その論理の出発点としているということです(このため、”構造”、すなわち”structural”と言われる所以かと)。 以上、まとめますと、Classicalの場合では、”人間の本性・本質”を出発点として国際関係を説明する傾向にあり、一方、Neoの場合では、自国の置かれている”環境構造”を基点にして国際関係・政治を説明する、といったところでしょうか。
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- nyan_nyanko
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こんばんは > 現実主義、自由主義、また構成主義について 可能な限り、区別しやすくのべさせてもらいました。 ・現実主義:現実を直視して国際関係を考えることを重視する。国際関係においては、国内のような統一的権力機関が存在しないため、極論すると”無政府状態”を基本においている。一例としては、古くはマキャベリ。つまり、安全保障の観点からは、倫理的、規範的なものを一切排除し、国家が存続するためには、あらゆる手段を講じていくべきという主張。 ・自由主義:国際法や国際機関に重きを置く主義・思想。現実主義と同様に”無政府主義”がその根本にある。そこで、国家は、国際的秩序(国際法や国際機関)を重要視すべきと主張する。”永久平和のために”を唱えたカントらが代表。歴史的には、現実主義とは敵対しながら発展してきた。現在では多数派に近い。 ・構成主義:国際関係は国家間の”無政府状態”の影響から生まれるのではなく、むしろ国家のアイデンティティや規範といった理念が、それらの関係性のなかで国際秩序を徐々に形成していくという考え方。人間の組織の構造は物質的な力ではなく共有された理念によって主に決定される、さらには、合目的な主体のアイデンティティと利益は、自然によって与えられるのではなくむしろこれら共有された理念によって構築される、と論ずる。歴史は比較的新しい。ソ連崩壊後に重要な思想とみなされるようになった(国益なんていうものは、時とともに変化すると主張する)。 > またそれらの思想が実際にどのように世界で機能しているか等も加えて説明いただけると幸いです。 ・現実主義:おわかりかと思いますが、本国では、親米右派に多いです。例えば、極端な例ですが、先のイラク戦争の際に、「北朝鮮をどうにかしてくれ」との願いから、米国を支持したケースです。もちろん、イラク戦争は国際法や国連(国際機関)無視です。そもそも大量破壊兵器などはなかったのですから。 ・自由主義:上記イラク戦争に反対した人たち、つまり反米派に多いです(右派・左派関係なくです)。どちらかと言いますと、”性悪説”に立ちますが、それが故に”国際的秩序”を重要視する傾向にあります。 ・構成主義:実を言いますと、そんなに影響力を持った事例・実例はないように思えます。理由としましては、そもそも、ポストモダニズムの論壇者から端を発したこと、またこのため、具体的性に乏しく、極めて抽象的な哲学的議論に終始するとの批判があります。 また何かあれば、「補足欄」にて質問してくださいね。
補足
非常に詳しくありがとうございます。とてもはっきりとしていて、分かりやすかったです。お言葉に甘えて補足欄にて、質問させていただきます。リアリズムについてなのですが、ClassicalとStructural、すなわち伝統的リアリズム?、とネオリアリズムがありますが、これらの違いはどういったところなのでしょうか。リアリズムの主権国家のみが、アクター、そしてアナーキーが中心、というのがネオリアリズムなのでしょうか。 よろしくお願いします。