【時代がムタに追い着いた?】 プロレスが生き残る方向性は?
ハッスル・エイド2007のベストバウトは、グレート・ムタ&RG vs インリン様&TAJIRIだった。
ムチを使うことで、ムタと渡り合うインリン様。
この両者の拮抗ぶりは“お約束”なのか“地力”なのか、そのギリギリを突いて来るムタ。
両者の動きは不思議なほどに噛みあいつつも、徐々にムタが圧倒。
プロレス界の先輩としての強烈な毒霧の“おしおき”を、インリン様の秘境に食らわせた。
この試合を見た後にふと思った。
もしかしたら、プロレスファンは気づいているのかもしれない。
みんなが熱狂できるパフォーマンスが、純プロレスでは難しくなっていることを。
どの時期からそれが難しくなっているかはわからない。
ただ、プロレスが、ずっとプロレスであるために武藤敬司が編み出したのが、グレート・ムタだった。
“早すぎた”グレート・ムタの存在は賛否両論。
表裏の顔を使いこなすことで、“早すぎた”ムタは既存プロレスの世界を生き延びることができた。
されど、みなさんがご存知のように、ムタの試合は成功・失敗の両方が量産された。
武藤の天才ぶりに依存していた。
かつて前田日明が言った。
「ムタみたいなプロレスをやる?あれは武藤にしかできねーよ。」
しかし、その壁をハッスルという「大プロジェクト」が破りに来た。
武藤敬司という一人のレスラーに依存するわけではない「ファイティング・オペラ」というプロジェクトが、やっとムタの思想に追いついたように感じた。
IGFのアントニオ猪木が小川直也について言った。
「ハッスル?あんなのプロレスじゃないよ。今のままの小川なら客を呼べない。殺気を取り戻さないとダメ。」
それに対してテリー伊藤は言った。
「プロレスで殺気というのは非常に難しい時代だよ。今は殺気を見たい人は格闘技を見に行くでしょ。」
これからプロレスが生き残る方向性はハッスルしかないのでしょうか?