登山歴30年です。山小屋で4シーズンほど働いていたこともあるので、遭難救助経験も多数ありますが・・・
道迷い、体力不足、転倒等によるケガ、などで"追い込まれてのビバーク"であればいざしらず、"計画内のビバーク"で低体温症になったり行動不能になったりしたような例は見たことも聞いたこともありません。ま、その"計画内のビバーク"の装備が不適切で酷い目にあって小屋に逃げ込んできた、なんて例はないわけではありませんが。
10℃の気温条件下で10mの風に吹かれれば確かに体感気温は0℃になりますが、吹きっさらしの中でビバークするようなアホなマネをしなければ良いだけです。
また、濡れて低体温症になるのは、濡れた水が蒸発する際に気化熱として体温を奪われるからで、顔だけ濡れた状態でそんなに体温は奪われません(要するに表面積=蒸散量=奪われる気化熱、という問題)。顔が濡れたら危険というのなら、雨中でゴアテックスのレインウエアを着ていても顔は露出していますから危険、という理屈になってしまいますね。
ただ、装備面では質問者さんにはちょっと疑問が。
テントのフライシートは、ビバークシートとしてはあまり適切ではありません。結露が激しいので、フライシートにくるまって寝ると、激しい結露で雨など一滴も降っていなくてもずぶ濡れになるのは必至です。ポールでフライシートを"建て"れば、空気が抜けるので結露も少しはマシになり、なおかつ直接フライト接しないのでずぶ濡れは免れますが、フライシートとポールを持っていく次点で当初の「軽量化」は骨抜き状態ですよね。
また、シュラフを持っていくとのことですが、フライにしろツェルトを使うにしろ、まともなテントではなくビバークをしている次点で、風雨なり結露なりで「濡れる」のは覚悟の上、とうことになります。
とすると、シュラフは具合がよろしくありません。下手に濡らすと、乾かすのに1日かかりますから(ずぶ濡れになると1日晴天下で干しても乾ききらない)、せっかく軽量化したのに行動日数は余計にかかってしまいます。また、濡れたシュラフをそのまま持って行動すると、テントなんてお釣りが来るくらい重くなるので、やはりせっかくの軽量化が意味なし、という事態に陥ってしまいます。
さらにレジャーシートですが、確かに軽いですが防水性もないし丈夫でもないし、「ビバーク用のシートとして期待する機能」を何も満たしていません。例え1gでも、そういうモノを持っていくのは「ムダ」です。
なお、半身用マットですが、インフレーター式のマットはスポンジが水を吸ってしまうので濡れると面倒です。
なのでウレタンマットのような、保水しにくいモノが良いです。
いずれにしろ、「練習」は本番と同条件下ではあまり意味がありません。本番でそれ以上厳しい局面が出てくることは想定しなくてはならないので、氷点近くまで下がる今の時期にやっておくべきです。
それも雨の日にやってみてください。今の時期の雨の夜にやってみれば、本質問の装備の組み合わせが「最悪・無意味」ということは身に染みて理解することができるでしょう。
普通は、ツェルトとシュラフカバー、という組み合わせで十分でしょう。半身マットがあれば「こんなのでビバークと言って良いのか」と思うほど快適になります。北アのテント場、こんな装備で宿泊している人はけっこういますよ。
ツェルトが250~400g、シュラフカバーが400~500gなので、ご質問の装備より軽量です。
ツェルトの防水性はたいしたことないので雨が降れば浸水します(そもそも底割れ式なので下からはほぼ無抵抗に浸水する)が、レインウエアを着た上でシュラフカバーに入っていれば、ツェルトの中を川が流れているような状態になっても、気にさえしなければそのまま朝まで眠ることができます。
レジャーシートではなく、テントのオプションでグラウンドシートというのがあるのですが、これなら重量もさほど変わらず、強力な防水加工が施されているので、ツェルトの中にでも敷けばさらに快適になります。ここまでくるとテントを張っているのとさして違わなくなってしまいますが(重量は圧倒的に軽いけど)。
このグラウンドシート、タープとしても使えばそれだけで寝れます。稜線では風が吹くと雨が吹き込むのでダメですが。
今の時期から自宅庭で練習を繰り返して、最適な装備の組み合わせを見つけてください。
自宅庭で十分テストすれば、徐々に標高を上げてテストする意味はさほどないと思います。
ただ、北アでは森林限界を超えた場所で設営する、ということの"意味"をよく考えて装備を考えてください。
つまり吹きっさらしの稜線で張る、ということは、耐風性をきちんと考えないとダメだということです。それと、樹林帯ではツェルトを張るにしても支点がいくらでも得られるので苦労はしないのですが、北アのテント場では支点が得られにくいので自分で支点を用意しておかなければならない、ということです。だからといってポールやペグを持てば、どんどん「軽量化」が骨抜きになってしまいますから、そのあたりの工夫が必要、ということです。
そのシミュレーションは丹沢でも1500mや2000mの山でもできませんから(森林限界を超えたところでないとテストにならない)、自宅庭で想像力を働かせてシミュレーションするしかないでしょう。
お礼
>フライシートにくるまって寝ると、激しい結露で雨など一滴も降っていなくてもずぶ濡れになるのは必至 ですね、フライは浮かして設置します。 くぼ地、や岩陰などを利用して包まることはしないつもりです。 →北ア 南岳テン場の岩積や、奥穂のテン場の段々の壁あたり利用 まずは自宅でこの冬やってみて、秩父(西側)の稜線の岩稜帯あたりでやってみたいと思います。 ありがとうございました。