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無限に深い井戸型ポテンシャルについて

無限に深い井戸型ポテンシャルについて、GaNの層厚d=0.5nm、伝導帯電子の有効質量me=0.2m0の とき (1)基底状態、第一励起状態および第二励起状態のエネルギー固有値E1,E2,E3をeVの単位であらわすとどうなるのですか? (2)GaNの伝導帯の3次元状態密度および、この問題のような2次元の状態密度を計算した場合の状態密度とエネルギーの関係はどうなるのでしょうか? 自分で勉強してみたものの、無限に深い井戸型ポテンシャルだけは良くわかりません。どなたか教えていただけるとさいわいです。

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  • Umada
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(1)「井戸の壁の高さが無限大」から言えることは、「壁面において波動関数の値はゼロでなくてはならない」です。これが計算の過程において境界条件として課されます。 ご質問の場合の量子井戸内の波動関数は以下のようになります。左側の壁をx=0の原点に取り、また井戸の壁を太線(┃)で示しています。図示の制約から正確には描けませんが雰囲気は分かっていただけると思います。古典的な振動のイメージで言うならば「壁面の位置と振動の節が一致している」ということです。 [基底状態] ・      ・ :↑波動関数 : ┃      ┃ ┃  __  ┃ ┃ /  \ ┃  ┃/    \┃←壁の位置では波動関数ψ=0 ┃      ┃ x=0     x=d [第一励起状態] ・      ・ :      : ┃      ┃ ┃ _    ┃ ┃/ \   ┃←壁の位置では波動関数ψ=0 ┃   \ /┃ ┃     ̄ ┃       [第二励起状態] ・      ・ :      : ┃      ┃ ┃      ┃ ┃/\  /\┃←これまた、壁の位置では波動関数ψ=0 ┃  \/  ┃ ┃      ┃ 井戸内部における、定常状態のSchroedinger方程式は (h~^2/2m_e)(d^2/dx^2)ψ+Eψ=0  (1) です。ψは波動関数、h~はhバー(Planck定数÷2π)です。また「m×e」との混乱を避けるため有効質量はmeでなくm_eと表記しました。 この方程式は2階線形の斉次微分方程式ですから ψ=A1 sin(kx) + A2 cos(kx)  (2) の形の解となることは自明です。ここにkは{√(2m_e E)}/h~です。またx=0でψ=0との境界条件がありますからA2=0もすぐに分かります。 さてもう一つの境界条件、x=dでψ=0を検討します。これは(2)にx=dを代入することで d×{√(2m_e E)}/h~=π, 2π, 3π,...,nπ  (3) とすぐに書き換えられます。 (3)をエネルギーEの式に変形すると E=n^2 {(h~π^2}/2m_e d^2  n=1,2,3,...  (4) ということになります。エネルギーEはnに応じてとびとびの値しか許されないことが分かります。 題意から、n=1が基底状態、n=2が第一励起状態、n=3が第二励起状態に相当します。数字を代入して計算するのはセルフサービスでいいですよね。m_eをkg単位、h~をJ・s単位で代入したならば最終結果はJ単位で出てきますから、電荷素量で除して電子ボルトの単位に直すのをお忘れなく。 (2)これも上記と同様に考えることができます。 3次元の大きな直方体の箱を考えて下さい。各辺の長さをL_x, L_y, L_zとします。この箱の中に電子が存在するとしましょう。箱の内部ではポテンシャルは一様でゼロとし、箱の外ではポテンシャルは∞とします。従って箱の内壁面において電子の波動関数ψが0という境界条件が課されます。 (1)では電子の運動は1次元(1自由度)で考えましたが、今度は3次元で考えなくてはなりません。3次元空間のSchroedinger方程式(定常状態)は箱の内部においては (h~^2/2m_e)(∇^2)ψ+Eψ=0  (5) となります。∇^2はラプラシアンです。この方程式はψを変数分離(ψ=X(x)×Y(y)×Z(z))して解くのが常道です。解き方は量子力学の初歩の教科書には大抵載っていますから、詳細はそちらで読んで下さい。 計算結果だけ示しますと、やはりこの場合もエネルギーEの値はとびとびのものに限られ、その値は E=(h~^2/2m_e)×{(πn_x/L_x)^2 +(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2}  (6) となります。n_x, n_y, n_zは整数で1,2,3,..の値を取ります。これは(4)と同じことで各壁面でψ=0という境界条件が課されるところから生じていますが、今度はx, y, zの3方向ありますからある一つの状態を表現するには整数の3つ組が必要、ということです。 ではいよいよ状態密度Z(E)、すなわち単位体積・単位エネルギー領域で収容できる電子数について考えてみます。 まず波数という物理量を導入します。一般にある波動があった場合、その波長λに対し2π/λという物理量を考え「波数」と呼びます。長さ方向にどれくらい波が詰まっているかを表す量です。 今考えている箱の中の波動関数で、例えばL_x/n_xは半波長に相当する量ですから、この場合の波数(x方向の波数)はπn_x/L_xということになります。同様にy方向についてπn_y/L_y、z方向についてπn_z/L_zがそれぞれ波数です。 波数はx, y, zの各方向についてk_x, k_y, k_zなどと表され、また(k_x, k_y, k_z)のように3つ組にしたものは「波数ベクトル」と呼ばれます。 波数を用いると(6)は E=(h~^2/2m_e)×{k_x^2 +k_y^2 +k_z^2}  (7) と変形できます。この式は波数とエネルギーの関係を表すものです。また波数を変数と考えると(7)は波数空間(3次元)での球面の式を表していることになります。(ただし定常状態となり得る波数がπ/L_xなどの整数倍、すなわち格子点に限られることは変わりありません) これを知った上でエネルギーEとE+dEの間にある状態数Z(E)dEを考えてみましょう。 さてまず(7)で示したように等エネルギー面は波数空間で球面をなします。半径{√(2m_e E)}/h~の球と、半径[√{2m_e (E+dE)]/h~の球の間の体積差を考えると [{√(2m_e)}/h~]^3 (4π/3){(E+dE)^(3/2)-E^(3/2)}  (8) ですが、dEはEに比べて十分に小さいので [{√(2m_e)}/h~]^3 (4π/3){(3/2)√E dE} =2π[{√(2m_e)}/h~]^3 √E dE  (9) となります。 一方、許される波数は波数空間で格子点として存在しています。その密度は波数空間の体積π/L_x×π/L_y×π/L_zあたりに1つですが、1つの準位に電子は2つまで入れますから電子の状態数にするには2を掛けます。 これを(9)にかけると、 2×(L_x×L_y×L_z)÷π^3×2π[{√(2m_e)}/h~]^3 √E dE =(L_x×L_y×L_z)×4√(2m_e) √E÷(π^2×h~^3) dE  (10) を得ます。n_x, n_y, n_zは正の値に限られますので、(10)の1/8が実際の状態の数ということになります。また状態密度は単位体積で定義していますから、(10)をさらに実空間の体積L_x×L_y×L_zで除して (1/8)×{4√(2m_e)^3 /π^2×h~^3} E^(1/2) dE  (11) を得ます。従って状態密度Z(E)は Z(E)={√(2m_e)^3 /2 π^2×h~^3} E^(1/2)  (12a) あるいは Z(E)=4π{√(2m_e)/h}^3 E^(1/2)  (12b) ということになり、いずれにしてもZ(E)はエネルギーEの平方根に比例することが分かります。ここにhはPlanck定数です。グラフにするとおよそ以下のようになります。 ↑Z(E) │      * │   * │ * │* └───────→E 以上は3次元でのお話です。では2次元ではどうなるでしょうか。2次元、すなわち薄膜中での電子伝導は(7)式までは同じですがその先が少し異なります。 薄膜はx方向について極めて薄く、y方向およびz方向には十分に大きく広がっているとしましょう(L_x≪L_y, L_z)。すると波数空間において、許されるk_xの値は極めて限られたものになり、その相互の間隔は許されるk_yやk_zの間隔に比べて非常に大きくなります。格子点はy方向とz方向には稠密ですが、x方向には相当に離散的ということです。 この場合エネルギーEとE+dEの間の状態数の差は、球の体積の差でなく円の面積の差で求めることになります。 まずx方向の基底状態はn_x=1について、 E=(h~^2/2m_e)×{(π/L_x)^2 +(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2} {(2m_e E/h~^2)-(π/L_x)^2}=(πn_y/L_y)^2 +(πn_z/L_z)^2  (13) となります。(13)は球の方程式でなく、円の方程式と看做すべき式です。 波数空間の平面k_x=π/L_xにおいて、半径√[(2m_e E/h~^2)-(π/L_x)^2]の円と半径√[{2m_e (E+dE)/h~^2}-(π/L_x)^2]の円の面積差は明らかに π{2m_e/h~^2} dE  (14) です。 またこの平面内において許されるL_y, L_zの面積密度は、π/L_y×π/L_zあたりに2つです。2つになる理由は上記と同じ(スピンの差異で2つの電子が入りうるから)です。 さらにn_y, n_zは正の値に限られることを考えると、許される状態の数は 2×(1/4)×π{2m_e/h~^2}×L_y×L_z÷π^2 dE  (15) ということになります。実空間の単位体積当たりに直せば 2×(1/4)×{2m_e/h~^2}/(L_x π) dE =4π m_e/(L_x h^2)  (16) ということになります。すなわちEの値によらず状態密度は一定という結果になります。 ただし、ある程度Eの値が大きくなってくると今度はn_x=2の場合が入ってきますから、それも含めて状態数を計算する必要が生じてきます。しかしn_x=2であっても(16)の結果は同じであり、n_x=1についての状態密度とn_x=2についての状態密度を単に足し合わせれば全体の状態密度になるということです。 これは言葉で表現するより図を見てもらった方が早いでしょう。以下のような階段状のグラフになります。なお階段の段の高さはどこでも同じです。 ↑Z(E) │           │      ******* │   ***** │ *** │ ** └───────────→E 以上はかなり駆け足で説明したのと計算間違いをしている可能性があるのとから、miake-kiyoshiさんご自身で検算しながら、また教科書などで復習しながら読んでいただければ幸いです。 参考URLのページには精細な波動関数の図や状態密度のグラフがありますからぜひ一読ください。

参考URL:
http://www.qed.eedept.kobe-u.ac.jp/japanese/semicon/semicon_basics.htm

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質問者からのお礼

大変ありがとうございました!とても解りやすく解説してあったのでなっとくができました! 今後は自分の力で勉強していきたいとおもいます!

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