ダイオードの空芝層での現象について

このQ&Aのポイント
  • PN接合ダイオードにおいて、電子とホールが対消滅してできる空芝層の現象について疑問があります。
  • 順バイアス電圧を印加すると、空芝層での対消滅が発生し、電流が流れますが、電子は空芝層を通過しているわけではないのか疑問です。
  • 逆バイアス電圧を印加すると、空芝層に移動した電荷がダイオードの端に引かれて結果的に中心付近には電荷がない状態となり、電流が流れなくなるのですが、一瞬だけ電流が流れるのではないかと疑問です。
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ダイオードの空芝層での現象について

PN接合ダイオードでは、P型にプラス、N型にマイナスの端子を接続すると、電流が流れるようになりますが、そこで疑問に思ったことがあったので質問させていただきます。 (1)P型とN型の接合面では電子とホールが対消滅して、空芝層という中性の領域が出来上がり、移動できる電荷がないため、つまり、キャリアがないため、電流が流れないと思うのですが、最初、電圧を印加しなくてもPN接合ダイオードを製造した時?P型とN型の半導体を接合した瞬間、電流は瞬間的に少し流れるんでしょうか?なぜなら、接合した瞬間は、P型とN型の電子、ホールが引かれ合って、接合面まで移動すると思ったからです。すぐに均衡が図られて電流は流れなくなるとは思いますが・・・・ (2)順バイアス電圧を印加すると電流が流れますが、そのとき、空芝層では絶えず対消滅が発生しているために、電流が流れるのですよね?ですが、電子とホールはそれぞれはダイオードの中心付近で対消滅するのだとしたら、電子は空芝層を通過しているわけではないということですよね。 つまり、N型の多数キャリアである電子はP型の層に到達して、さらに電池のプラス端子までは到達していないということですよね。ってことは、電流ってのは、導線のどこかの電子が動けば、流れるものなんでしょうか?自由電子は、接合面で消滅しているわけで、プラス端子までは移動していないのでこのような疑問を抱きました。 よく、電流の説明をしているアニメーションを見ると、マイナス端子から出て、プラス端子まで到達したときに、電流が流れるような感じになっています。 そこらへんが疑問に思います。 (3)逆バイアス電圧を印加すると、電流は流れなくなりますが、これは、プラス端子からホールが流れ込み、N型の電子がそれに引かれてダイオードの端の方まで引かれる。 マイナス端子の方も、電子が流れるために、P型のホールがそれに引かれて、同じく端に引かれるそのため、ダイオードの中心付近の電荷も端に寄って、結果として、中心付近には電荷がない状態(電荷の移動がない状態)となり、電流が流れなくなるんですよね? ですが、逆バイアス電圧を流した瞬間は、電荷がダイオードの端に移動するため、電荷の動きに時間的変化があるため、電流は一瞬流れると思うのですが、どうなのでしょうか? ちなみに、P型の端に寄せられた、ホールとマイナス端子からでてきた電子がダイオードと導線の接合付近で消滅して、ダイオードと導線の接合付近にも、空芝層ができることはないのでしょうか? 以上、長い質問ですが、回答よろしくお願いします。

質問者が選んだベストアンサー

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  • BCS1957
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回答No.1

はじめまして。わかる範囲で回答します。 (1) PN接合ダイオードの製造過程としては、例えばSi Wafer上にN領域の作って、その中にP領域を作る(もしくはその逆)といった具合になっています。P-ImplaでN領域を作ってB-ImplaでP領域を作ったりしますが、B-Impla中にP/N領域からそれぞれキャリアの移動があり空乏層が作られると考えられます。キャリアの移動が電流になりますので、平衡状態になるまで"空乏層内"に電流が流れると考えて良いと思います。またこの際に流れる電流は拡散電流と呼ばれており、通常電圧を印加して流れる電流(ドリフト電流)とは機構が異なります。そして空乏層領域にはドナーイオンとアクセプタイオンによる電界が生じます(⇒ドリフト電流の発生)。平衡状態ではこの拡散電流とドリフト電流が拮抗していますので、平衡状態では正味の電流はゼロとなります。 (2) ダイオードの電流は拡散電流とドリフト電流の総和になります。拡散電流は印加電圧に対して指数関数的に変化、ドリフト電流は通常のオームの法則に従いますので電圧に比例します。(1)で説明したように電圧を印加していない場合、平衡状態にありますので、正味の電流はゼロです。順バイアスを印加しますと、このバランスが崩れますので、拡散電流が支配的となり、指数関数的に電流が増加していきます。このとき、電子や正孔といったキャリアは空乏層を通し越します(もちろん一部は再結合等します)。一般向けの半導体の本では電子がプラス側、正孔がマイナス側に引かれて電流が流れる等のように書かれていますが、正確には濃度勾配による電流(拡散電流)が支配的です(ここら辺はバンド図を使って説明しないとわかりにくいかもしれません)。 (3) 逆バイアス電圧を印加した場合は少数キャリアが重要になってきます。例えばP型半導体には自由正孔が多数ありますが、自由電子もわずかながら存在しています。前者を多数キャリア、後者を少数キャリアと呼びます。再結合して少数キャリアがなくなると思いがちですが、有限の温度領域においては熱励起と言うものがありますので、数は少ないですが少数キャリアはゼロにはなりません。逆バイアス印加時はこの少数キャリアによる拡散電流が流れますが、数が少ないために非常に小さな電流となります。ここで質問にある逆バイアスを印加した瞬間についてですが、これには2通りの場合があります。  (a) 電圧0から逆バイアス電圧印加    この場合は少数キャリアのみの拡散電流なのでほとんど流れないと考えて良いです。  (b) 順バイアス⇒逆バイアス印加    逆バイアスに切り替えた瞬間、少数キャリアが少し増えている状態になります。電子の流れで考えますと、順バイアス印加時、電子はN⇒Pの方向で流れています(拡散)。逆バイアスにした瞬間、P領域には「順バイアス時に流れ込んできた電子」がまだ残っていますので、電圧無印加時に比べて少数キャリアが増えている状態にあります(キャリアの移動速度は無限大ではありませんので)。このとき逆バイアス印加直後にやや大きめの電流が流れ、次第に小さくなり通常の逆電流に落ち着きます。ここで順バイアス⇔逆バイアスの切り替えが高速に行われた場合、キャリアの移動が追従できずに、逆バイアス時でも電流が流れることになり、ダイオードのスイッチング特性に問題を生じさせます(参考:少数キャリア蓄積効果)。 また、最後の質問に関しては金属・半導体接触となりますので、金属の仕事関数、半導体の仕事関数、電子親和力の条件によって、通常のオームの法則が成り立つ場合(オーミック接触)と、空乏層が形成される場合(ショットキー接触)の2通りがあります。 文章で書いたのでわかりにくいかもしれませんが、ご参考までに。

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