「生体のエネルギー通貨」とは何故存在するのか?

このQ&Aのポイント
  • 生物は自己複製に由来するためにある程度共通の機能や仕組みを持つ。
  • 生体の反応には様々な条件があり、共通する何かが存在する。
  • ATPが汎用的な通貨の地位を獲得した理由について、仮説や手がかりが存在する。
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「生体のエネルギー通貨」は何故存在するの?

理系ですが生物に関しては詳しくない程度のレベルです。 「生物と無生物のあいだ」を読み、アミノ酸が(ATGC3つなら64種作れるのに)20種類しかないのは自己複製で元あるものしか作られない結果だ、など、自己複製に由来するために生物はある程度共通の機能や仕組みを持つのだと思いました。 読み終わって少し整理して疑問に思ったのが、何故「生体のエネルギー通貨」というものが存在するのかということです。うろ覚えですが生体の反応には濃度勾配やpHの条件による(ものすごいざっくりな表現ですが)様々なものがあり、全ての反応で共通する何かがあるように思えません。通貨というのは確かにあれば便利だけど、存在する必然性があるように思えないのです。 筋収縮やイオンポンプなど異なる機能で共通して使われる「生体のエネルギー通貨」と呼ばれるATPは、何故ここまで汎用的な通貨の地位を獲得できたのでしょうか? 全ての生物が同じ種類の核酸からなるように、全ての生体反応に何か同じ起源があって、ATPという同じものを複数の生体反応が利用する理由はそこにあったりするのでしょうか? 不勉強のため読みにくい文章ではありますが、仮説レベルや手がかりでもいいのでご教授いただきたいと思います。

質問者が選んだベストアンサー

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  • raiden787
  • ベストアンサー率37% (179/473)
回答No.1

あくまで全く根拠のない想像ですが…… 多細胞生物はもともとは単細胞生物から発生したものと考えられています。 単細胞生物のうちの一部の種が、複数で集合して役割分化を行う中で、最初は別々の細胞の集合でしかなかったのが、同じ起源を持つ細胞同士が高度に機能化分化し、多細胞生物へと進化していったのではないかと思います。 そして、私の知る限り全ての細胞生物はATPをエネルギーの通貨として使っています。 (もしATPを通貨として使っていない生物がいたら申し訳ありません。) だとすれば、我々の肉体は本質的には機能分化した単細胞の塊、と言うふうにも捉えられるのではないかと思います。 そうなれば、機能そのものは分化しているにせよ、その基本的なシステムは全て共通のものが由来となって伝わっているのではないかと思います。 例えば、遺伝子の基となる核酸も、原理的にはATGCである必然性はないとのことです。しかし、最初の我々の起源となる細胞が偶然ATGCを基本としていたため、現代の生物はすべてATGCの遺伝子を持つようになったといいます。 細胞の機能の分化は、細胞によって行われる機能に違いはあってもそ基本的な構造は案外差はありません。 エネルギー通貨はATPですし、アポトーシスを引き起こすレセプターやリン脂質も同じ(ホスファチジルセリン)、そもそも、血管内皮などの膜状の構造を構成する細胞ですら変形した細胞であって、純粋な膜ではない。 と考えれば、究極的には最初の細胞がATPを基盤とした生理的なシステムをもっており、それが由来となったため、エネルギー通貨はATPが使用されている、という質問者さまの仮定こそが適切ではないか、自分はそう思います。 なぜATPであったか、と言えば ・遺伝子を構成する核酸関連物質であるため合成するシステムがすでにある ・化学的に比較的安定している ・水に溶けるので生体内で輸送しやすい ・比較的低分子であるため扱いやすい ・リンは比較的豊富にある ・化学エネルギーを高く保有できる ・ATPとADPは可逆的であるため容易に使い回せる、 などの理由ではないかと思います。 あくまで私の想像でしかありませんが、多少の参考になれば幸いです。

kmmnmaker
質問者

お礼

丁寧なご回答ありがとうございます。本質的には機能分化した単細胞の塊、そういうことなんでしょうね。頭では分かっても、それを実感するのはなかなか大変ですが……骨とか爪とかのプログラムまで細胞に組み込まれているというのは。 個人的に、質問の本旨と別の部分ではありますが、なぜATPであったか、の例が自分のうろおぼえのATP像に具体的な説明を与えてくれて参考になりましたので、ベストアンサーにさせていただきます。ありがとうございました。

その他の回答 (1)

  • larme001
  • ベストアンサー率44% (271/608)
回答No.2

進化論的なものはあまり分からないのですが、生物がいわゆる”生きている”という状態を維持するためには常にエネルギーを取り入れてそれを代謝し、最終的に排泄物として不要なものを出していくというサイクルがあることが必要です。「生物と無生物のあいだ」は読みましたが、つまり生物が特殊なように見えても、いかにも古典的物理学的な法則の何一つから逸脱していないというのは、生物個体レベルでみたのではわからなくて、つまりはその存在する環境とのつながりの中で開放系として存在するからだということだということに限るということでしょう。(ちなみに培養細胞レベルではほぼ絶対0度であれば永久凍結が、液体窒素でも数10年くらいは保存が可能だといわれています) つまり、高エネルギーのものを吸収して、そのエネルギーを低エネルギー(高エントロピー)の状態に変える過程を共存させることで一見すごくエネルギー的にふりで低エントロピーな状態にもっていこうということを生物は平気で行います。有機合成反応ならそれを温度や無機触媒で向かわせるのかもしれませんが、生体内ではそれを「酵素」の反応を利用して通常の温度で行います。その際にATPをはじめとしたエネルギーが使われているのは間違いありません。 共通な「通貨」を使う理由は、つまりは共通な触媒反応をあらゆるところで用いられるから便利だということに限るでしょう。日本円がアメリカや中国で使えないので不便だというところで、クレジットカードでどこでも使えたら生きていけるようなことで進化したのではないかと。なぜATPか、という点ですが広い意味ではATP以外にもGTP、UTP、NADPHなどもエネルギーと言えましょう。NADPHはともかく、GTPやUTPはある意味おなじ3リン酸が高いエネルギー状態を持っています。たとえばUDP→UMPという反応を介してADP→ATPをリサイクルするといったことが平気で行われています。これらはいずれもDNA/RNA塩基の元でもありますし、たんぱく質のリン酸化もある意味リンを用いています。そいう言う意味では、NASAの生物ではないですが、リン酸の存在環境でないと生物が進化できなかった?という話があったわけでしょう。 生体反応は複雑なようにみえても、やっぱり「共通した基盤」というものは存在するのです。生物学諸学者はただの知識かと思うかもしれませんが、やっぱり基本的に仮説の段階であっても生物学的に「ありえない(だろう)」ということはあるのです。それは病気の原因だったりはたまた治療薬の標的だったりしても似ているのですよ。分子生物学や基礎医学というのは、そういう基盤を根拠に研究が進んでいるといってもよいぐらいです。複雑な中につながりがある点が面白いともいえるのでは? ちなみにATGCのコドンも20種類しかないですが、その中でもさらに良く使われるものや使われにくいものもあったりします。同じアミノ酸をいくつかのコドンがコードしていますが、多くの場合最後の塩基の認識が緩い(tRNAの認識があいまい)場合があるようで、結果同じtRNAが使われているようでもあります。もちろん例外もありますが。

kmmnmaker
質問者

お礼

丁寧なご回答ありがとうございます。環境とのつながりの中で開放系として存在するという言葉が非常にしっくりきました。細胞レベルであれば永久保存も出来るというあたり、まさに生物と無生物のあいだの神秘的なものを感じます。 リン酸を共通して使っているというのは、No. 1の方もおっしゃっているようにやはり共通する機構が便利で、進化する上でそういった仕組みが選択されてきたのかも知れませんね。進化というのもまた、興味深いです。

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