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野生動物
野生動物の保護に携わる仕事がしたいと思い、農学系統の学部を目指していました。しかし、動物が苦しんでいるときになにもすることができないジレンマを感じるという学生の話を聞き獣医学科に興味を持ちました。自分で調べたところ野生動物学が出来て医療知識も学べるのは日本獣医生命科学大学の獣医保健看護学科がいいのかなと思っていますが、実際この判断は正しいのでしょうか?ご意見をお待ちしています。
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獣医師です。野生動物保護にも少しだけ関与しています。 獣医療に興味があるのなら、獣医学科を目指した方が良いと思いますよ。 獣医看護師だと獣医師がいないところでは獣医療行為に携われないですし、野生動物に関わる現場では必ずしも獣医師がいるとは限りません。野生動物の獣医療に関わりたいのでしたら、看護師では現在ではほとんど活躍の場がないと思います。数年経てば状況も変わるかもしれませんが・・・ 野生動物保護は総合科学です。臨床獣医学だけでなく微生物学や遺伝子などの基礎獣医学あるいは基礎生物学、林学や化学、果ては気候や地質といった地学的な学問まで、本当に幅広い専門家を必要とする分野です。 獣医療はその中のほんの一部に過ぎません。 ですから、他の角度から野生動物にアプローチすることも大いに考慮に値するとは思うのですが、「獣医療」から野生動物にアプローチすることに興味があるのでしたら、法的に「獣医師の補助」としての立場しか与えられていない獣医看護師より、獣医師の方がアクティブに取り組めると思います。 実際のところ、この分野は人員豊富とは言えません。専任の専門家はごく僅かで、兼務で人員をまかなっているようなところがあります。かくいう私も「兼務」で関わっている立場です。 そのような事情なので、「獣医師の補助」しかできない人が入り込む余地は今のところあまりないように思います。実際、私は現場などで獣医看護師の人には会ったことがありません。 まあ獣医看護師という制度自体ができて日が浅いですし、これから状況も変わっていくのでしょうけど。 傷病鳥獣の治療~野生復帰に民間の開業獣医師が関わっている地域はけっこうあるので、そのような動物病院に獣医看護師として入る、という手はあるとは思いますが。 というわけで、学力的なハードルは高くなりますが、獣医学科を目指すことを薦めたいです。 獣医学科なら大学は別にどこでもかまいません。野生動物に関わっている研究者や研究室はどこの大学にもありますし、学べる内容にも大きな差はありません。 よく「興味がある分野の研究をしている先生がいる大学を目指せ」などというアドバイスを目にしますが、高校時代から「興味がある分野」ががっちり固まっている人なんて滅多にいないでしょう。 むしろ、大学や社会に出ていろいろなことを勉強した結果、特定の分野に強い興味を抱くようになるものですから、大学を目指す時点では下手に将来を決めてかからない方が良いです。 臨床に興味があって大学に入っても、勉強しているうちに遺伝子に興味を持つようになる人も珍しくありません(逆も)。 ですから、とにかく入れる大学に入ってしっかり勉強することに集中した方が良いと思いますよ。 余談ですが、日本野生動物医学会という学会があります。 http://jjzwm.com/blog/index.html 私も学会員です。まあここでは発表したことも論文を投稿したこともない、ほぼ「幽霊会員」ですが。地元で大会を開催したときに事務局をやったことくらいでしょうか。 それはともかく、この学会は学生部会が活発に活動しているので、大学に入られたら参加することをお勧めします。獣医師や獣医学科の学生でなければ入れない、ということはないので、獣医保健学科や農学部からでも参加できますよ。
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- leyte1
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今、ニホンカモシカのたどった道 野生動物との共生を探る (中公新書)という本を読んでいます。 著者の小野勇一さんは九州大学理学部でニホンカモシカの調査をされていたようです。 この本を読んでいると動物生態学はかなり奥が深いと感じました。かなりのフィールドワークスキルを求められたり、野生動物の保護には行政の力がかなり大きいと感じました。 野生動物の保護をするためにはいろいろなアプローチの方法があると思います。 野生動物の保護で一番根本を考えるのなら、役所などで自然保護を考えるというのも手かもしれません。 かなり難しいことだとは思いますが。 絶滅の危機にある野生動物を保護する方法と食害で駆除の対象となっている野生動物のシカを保護する方法はかなり違ってくると思います。 農大のオホーツクキャンパスではシカを食用にして、頭数制限をかけ、結果的に野生動物の保護につながるということもあります。この場合必要な学問は食品科学かもしれません。 希少動物の保護であれば、沖縄のヤンバルクイナの保護のためには道路の側溝に階段を設けてヤンバルクイナの保護につなげています。大きな川の魚道など、活躍するの土木工学かもしれません。 また野生動物の保護のためには野外での調査も重要な項目となるはずです。統計学や純粋な理学というものも求められます。 動物と人間の共生という問題に答えがあるとは思いません。ぜひたくさんの情報を仕入れてそこからターゲットを絞っていくのがいいと思います。オープンキャンパスでその悩みを大学の先生にぶつけるのもありだと思います。
Jagar39です。補足を。 ざっと調べてみたところ、日本獣医畜産大学の獣医学科には野生動物学研究室があります。ここは日本で初めて獣医科に「野生動物」講座ができたところだと記憶しています。 それと国公立では北海道大学獣医学部の生態学教室や岐阜大学獣医学コース(獣医学科)にも野生動物医学研究室があります。 獣医以外では日本大学の動物資源科学科、麻布大学の動物応用科学科、北里大学の生物環境科学科に野生動物学研究室があります。 獣医系の大学しか調べていないのですが、野生動物学関連の研究室を置いている大学は探せばもっとあるでしょう。 それと、酪農学園大学は今年の4月から大幅に機構を変えるようなのですが、環境共生学類の中に野生動物学コースが新設されるそうです。 http://www.rakuno.ac.jp/dep14/course/index.html というわけで、どの大学で何を学ぶか、というのもなかなか選択肢が広そうです。 ただ、「研究室」は高学年で所属するので、必ずしも希望の研究室に配属されるとは限りません。ですから、やはり獣医療に興味があるのだったら獣医学科の方が、と書いた前回答が変わるものではありません。 獣医科にしても、獣医療から野生動物に関わるのであれば、野生動物学の研究室より外科や内科などの臨床系研究室の方がよほど良さそうです。細菌やウイルス、病理などの基礎系も重要ですが。 その他にも、「野生動物」の名はついていなくても野生動物と密接に関わる研究室はたくさんあると思われます。 私は「臨床繁殖学」の研究室に所属していたのですが、猟友会の人と山を走り回って、撃ったクマから子宮と卵巣を持ち帰って卒論書きましたから。 それでも酪農学園大学の野生動物学コースというのは面白そうですね。詳しく検討してみる価値はあるかもしれません。 いずれにしろ、質問者さんにどのくらい時間があるのか判りませんが、納得いくまで検討されれば良いと思います。
お礼
獣医師という立場からの貴重なご意見は大変、参考になりました。レベルがかなり高くなりますが獣医を目指そうと思います。ありがとうございました。