私人逮捕制度の現状と問題点

このQ&Aのポイント
  • 私人逮捕制度について、日本の法律の専門家が説明しています。
  • 現行の私人逮捕制度は、痴漢冤罪の温床となっている可能性があります。
  • 警察と私人の別を問わず、現行犯逮捕に関する法律運用には問題があるようです。
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私人逮捕が形骸化していないという論拠は?

法律の専門家へお聞きします。 日本の私人逮捕制度が形骸化していないという論拠は何でしょうか? 私は理系出身で、純粋な法律専門家ではありません。 全くの素人でもないし、かと言って、司法試験を通った訳でもありません。 でも、いったん法学の視点(リーガルマインド)を頭から取り去って、 理系の視点に立ち返り、日本の法律を眺めてみると、 おかしな点が沢山あることに気がつきました。 最たるものが私人逮捕制度です。 日本の私人逮捕制度は、痴漢冤罪の温床になっているだけで、 実質上(事実上)は建前だけの権限だと、私は考えます。 なぜなら、実運用上は警察に引き渡した段階で、 管轄の警察署名義による逮捕として「遡及成立」することが、 マスコミ等の報道から明らかであるからです。 そもそも同文中の特定の用語の意味が、時と場合や、 行為者によって変わることは、理系の世界ではあり得ません。 ここでは、刑訴法213条において、 「現行犯は誰でも逮捕できる」と謳われているのに、 実際には行為者が私人か司法警察職員かで 「現行犯逮捕」の意味が全然違うものとなっていることを、 私は論理破綻と考えています。 現行犯逮捕時に認められる有形力行使に関する解釈にも、 おかしな点があります。 現行犯人を取り押さえる際には、「警察官と私人の別を問わず」に、 「社会通念に照らして必要かつ相当な範囲」で認められると、 最高裁判所が判示しています(昭50.4.3)。 それなのに、万引き犯死亡事件などの事件処理を見ていると、 実務ではとても警察官と私人が同じ扱いを受けているとは思えません。 「そもそも警察官と私人とでは社会通念上相当と評価される基準が違う」 という考え方を示す法律家が多いですが、理系的論理思考から見れば、 これは一種の「論理のごまかし」とも受け取れます。 ところが、法律の専門家にこれを言うと、 「文系の学問を理系と同じ土俵で語る事自体が頭の悪い証拠だ」とか、 「法律は理系の学問のように単純なものではない」とか言った上で、 挙句の果てに「その発言こそが法律をわかっていない証拠だ」と、 鬼の首でも取ったかのような顔で私に説教を垂れてきます。 しかし私に説教を垂れた法律家達(ネットでもリアルでも)は、 「法律はそんな単純なものではない」と説教をするだけで、 私が指摘した上記の問題を論破した人は誰もいませんでした。 果たして法学者は私人逮捕の実効性をどう説明しているのでしょうか?

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  • hekiyu
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回答No.1

法律は日本語で書かれているので、誰でも理解 できる、と思っているのなら、それは錯覚です。 原子物理学について素人だ、というのと同じ意味で、 法律の素人は素人なのです。 原子物理学の素人が、原子物理学の技術的なことに ついて議論をふっかけるのは滑稽だと思いませんか。 法律も、同じなのです。 私人が取り押さえる場合の社会通念と 警察官が取り押さえる場合の社会通念とは 同じではありませんよ。 警察官は、人権を持った人間を取り押さえる場合の 教育や訓練を受けている専門家なのです。 そういう警察官と、教育も訓練も受けておらず 経験も無い私人とで、同じだ、 という方が不合理ではないでしょうか。 ちなみに、私も理系です。 実は、ここだけの話、私も法律は虚学ではないか、と疑っております。 例えば、自衛隊の憲法論議です。 自衛隊が必要だ、と思う人たちは、合憲だ、と主張し 不要だ、と思う人たちは違憲だ、と主張する傾向が 強いのです。 疑問に思って、色々調べたのですが、これは法学では 当たり前らしいのです。 結論が先にあって、それにもっともらしい理屈をつける のが法学なんですな。

fuss_min
質問者

お礼

ありがとうございました。 法律家はよく、理系の人達や政治学・行政学の専門家から、 現実の法運用のおかしなところを指摘されると、 「日本は法治国家なのだから」と、 何でも理想的理論で片付けようとします。 私に言わせれば、憲法9条が日本の平和を守っていると、 したり顔で述べるコメンテーターと同じです。 そういう人達は、日本の安全を守っているのは 米国の「核の傘」であるという現実を知らないのか、 わざと目をつぶっているのか、私はよく知りません。 しかし、敵は攻めて来るときは、 憲法に関係なく攻めてきます。 それは歴史が証明しています。 人為的な法律は自然法則の前では無力であるという 現実を見据えることを、 法学の世界ではタブー視されています。 法律を守って国益を損ねてどうするのでしょうかね? 日本の戦後憲法を事実上制定したとも言える米国では、 日本よりも正当防衛の基準がゆるいです。 しかも日本は「平和・人権憲法」の下で、 戦前よりも正当防衛が認められにくくなりました。 法律は本来、国民のものです。 専門家のためのものではありません。 しかし、一部の大学教授などの理論法律家は、 「素人に法律を語る資格はない」 と言わんばかりの態度を取る人たちがいます。 これは私に言わせれば、 「自分たちの都合のいいように法を解釈運用し、  素人の無知に隠れて大衆を支配する。」 と、自ら宣言しているようにも見えます。 私はそういう鼻持ちならないエリートを見ると、 顔一面に糞を塗りつけてやりたくなります。      **** 【1】 現行犯逮捕の際には、「社会通念上相当」とされる範囲において 実力行使が許されることを、 過去に裁判所が認めています。 同時に、そのような有形力行使が許される行為主体につき、 「警察官と私人の別を問わない」旨も判示されています。 (昭和50年4月3日,最高裁) 【2】 また、平成に入ってからも、いわゆる私人逮捕に伴う実力行使は、 ある程度許容される旨の司法判断が下されています。 (平成元年3月14日,最高裁) そんな中、平成19年9月にこんな事件がありました。 どちらも「同じ月」に日本国内で起きた事件です。 【A】 東京都墨田区で、店員2名が抵抗した万引き男を羽交い絞めして、 意識不明の重体にさせた。 後日、店員らが傷害容疑で逮捕された。 (のちに万引き男が死亡。容疑を傷害致死に切り替え。) 【B】 佐賀県佐賀市で、暴れる障害者が警察官らに取り押さえられ、 この障害者が死亡した。 3年半後、警察官は地裁で無罪判決を受けた。 ・警察官と私人、有形力行使の限度の違い、法的根拠は? http://oshiete.goo.ne.jp/qa/3328265.html ※この質問は3年半前、Yahoo!JAPANのニュースでも、 二回参考リンクとして紹介いただいたようです。 上記の二事件の報道する記事です。 ※私は法律に関しては完全な素人ではありませんが、 普段は(fuss_minの名では)あえて理系的視点も交え、 わざと素人視点で質問しています。      **** 以前に北海道札幌市の男性が、 沖縄県内で「ひき逃げ」の現場を目撃した際、 車を追跡して運転席のガラスを割り、 ひき逃げ犯の男を捕まえました。 この札幌市の男性には感謝状が送られました。 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22459-storytopic-1.html (琉球新報HPより) しかし現場に到着した警察官の判断いかんによっては、 ガラスを割った男性が逆に器物損壊容疑で 逮捕されていた可能性も考えらないでしょうか。 ストリート・レベルの行政職員(※)とも呼ばれる このような公務員による現場判断は、 一般市民の人生を大きく変えかねません。 特に現代の日本では、一度逮捕されると、 その後の裁判で無罪になっても、 一生に渡り社会的差別を受け続けます。 ※ストリート・レベルの行政職員 末端現場で強い裁量権を持つ公務員を指す。 巡回勤務を行う警察官などが代表例。 上司の指示を仰がず、自身の意思決定により、 強い権限を行使するのが特徴の一つ。 米国行政学者のM.リプスキーによる言葉。 〔原語:street-level bureaucrats〕 http://en.wikipedia.org/wiki/Street-level_bureaucracy リプスキーの考えには異論もあるようですが、 日本では米国以上に、ストリート・レベルの行政職員が、 市民対し強大な権力を持ち得るのではないでしょうか。 これでは法律は国民の見方どころか、 素人に不利に働きます。

その他の回答 (2)

  • buttonhole
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回答No.3

 ご質問に対する回答ではありませんが、一言だけ申し上げますと、マスコミ報道をもとに議論することは危険です。  たとえば、「A容疑者は、巡回中の警察官に殺人未遂の疑いで逮捕されました。」という報道があったとします。この報道内容だけで、適法な逮捕手続がなされたかどうか判断しろと言われれば困ります。少なくても、下記の事実について補足を要求するでしょう。  「A容疑者は何時何分に逮捕されたのでしょうか。逮捕した警察官は司法警察員なのでしょうか。それとも司法巡査なのでしょうか。司法巡査だとした場合、何時何分に司法警察員に引致したのでしょうか。そもそも現行犯逮捕なのでしょうか。可能性としては緊急逮捕もあり得るのではないでしょうか。緊急逮捕だとすると、緊急逮捕後に、誰が、いつ、裁判所に逮捕状の請求をしたのでしょうか。現行犯逮捕だとしても、本来の現行犯なのかそれとも準現行犯なのでしょうか。」  しかし、「報道」でこのような事実関係が判明したことは、私自身には経験がありません。

  • kumap2010
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回答No.2

まず、現行犯や逮捕の概念を勘違いしているように思います。 >管轄の警察署名義による逮捕として「遡及成立」する 逮捕というのは証拠隠滅や逃亡を防ぐために身柄を拘束することであって、 私人が犯罪行為を行った者に対して拘束を行えばその時点で逮捕です。 そして、「罪を行い終わってから間がない場合」は 同様に現行犯逮捕をすることが出来ると定められています(刑訴法212条2項)。 だから警察官への引き渡しによる警察の逮捕は 遡及成立しているのではなくその時点で現行犯逮捕として成立しているのです。 あなたの論では 「私人が逮捕を行っていない」「引き渡された警察が遡って逮捕したことになっている」 とのことですので、上記の論理から考えれば間違いであることがわかるでしょう。

fuss_min
質問者

お礼

ありがとうございました。 >まず、現行犯や逮捕の概念を勘違いしているように思います。 いいえ。 >あなたの論では >「私人が逮捕を行っていない」「引き渡された警察が遡って逮捕したことになっている」 >とのことですので、上記の論理から考えれば間違いであることがわかるでしょう。 私はそんなことを言ったつもりはありません。 概念上(理論上)は私人逮捕は決して 「遡及成立」ではありません。 しかし世間一般の「認識」が 「逮捕は警察の専売特許」 となってしまっています。 (マスコミ用語も悪い。) 質問文の以下の部分で私が言いたかったのは そういうことです。 >>なぜなら、実運用上は警察に引き渡した段階で、 >>管轄の警察署名義による逮捕として「遡及成立」することが、 >>マスコミ等の報道から明らかであるからです。 私は司法試験は通っていませんが、 法律に関しては完全な素人ではありません。 (OKWaveでは普段素人の視点で質問していますけど。) >「私人が逮捕を行っていない」「引き渡された警察が遡って逮捕したことになっている」 こういった間違った考えが世間に 浸透してしまっているということこそを、 私は問題視しています。 それを質問文に明示したつもりで書きました。 日本では、一般市民ならとにかくも、 民間警備員は大変だと思います。 職務として他人の生命財産を守る仕事なのに、 日本の警備員は何らの権限がありません。 警備業法にわざわざご丁寧に、 警備員は「何ら権限がない」と明記されています。 警備員が特別の権限を持たないところは、 日本以外にもあります。 でも他の国はそもそも正当防衛の基準や 正当行為の認定基準が日本より緩いところが ほとんどではないでしょうか。 私は警備業をやったことはありませんが、 友人が昔やっていました。 大変な仕事だと思います。

fuss_min
質問者

補足

ありがとうございます。 >だから警察官への引き渡しによる警察の逮捕は 遡及成立しているのではなくその時点で現行犯逮捕として成立しているのです。 その点は法理論の上では正しいです。 私が言っているのは、学問上の話ではなくて、 実務上(マスコミ報道、大衆の認識)の点です。 刑訴法の法理論の下では、 私人による現行犯逮捕が刑訴法214に基づく 司法警察職員などへの引渡しをもって 「遡及成立」する訳がありません。 質問文に書いたとおり、私は完全な素人ではないので、 そんなことは充分に承知しています。 (でもまれにプロの法律家でも勘違いしている人がいる。) しかしどう見ても、日本のマスコミ報道においては、 慣習上は私人逮捕は「逮捕」とは言わず、 単なる「取り押さえ」として扱われています。 法律用語(特に刑事訴訟法上における)の「逮捕」と、 マスコミ用語すなわち日常用語の「逮捕」との間には、 意味のズレがあります。 マスコミ用語の「逮捕」には、 単に移動の自由を禁止する措置ばかりではなく、 捕縛、連行、拘留も含むと考えられます。 まず、私人が拘留を行うのは違法であり、 特別な事情がない限り逮捕監禁罪に該当します。 ところが、現行犯人を取り押さえた私人にかかる 捕縛権と連行権の有無については、 専門家でも見解が分かれ、答えが出ません。 ここが一番の問題なのです。 刑事訴訟法214条の定められた、 私人逮捕の際の司法官憲への 引渡し義務を全うするために、 私人が現行犯人を、その両手を縛った上で、 警察署までロープを引きながら連行したらどうでしょう? 「直ちに」警察官へ引き渡すという目的の下で 捕縛連行を行ったと、 現行犯人を取り押さえた私人が主張した場合、 それでもこの私人は逮捕監禁罪に問われるのでしょうか? これについては判例も学説もないので、 誰も正確な答えを出せていません。 でもそれで萎縮してしまった行動を起こせない 民間警備員や一般市民もいるのではないでしょうか? これでは社会が混乱しても仕方ないでしょう。 私も自らが逮捕監禁罪に問われる恐れから、 捕まえられるかもしれない現行犯人を みすみす逃がしたことがあります。 もちろん犯人の人権も大切ですが、 一般人に「萎縮効果」をもたらす法や法解釈は、 ある意味で「悪法」だと私は考えています。

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    警備員・店員の方へ‐私人逮捕を躊躇しますか? 日本では私人逮捕を行う際の民間人の権限について、 法律の文言や法学界・法曹界の解釈、慣習的規範が曖昧です。 これに関し、あなたが感じる「怒り」について教えてください。 自身にどこまで権限が及ぶかわからず、 逮捕監禁罪に問われる恐れから萎縮してしまい、 思うように行動できなかった経験はありますか? 【参考補足‐問題の所在】 1.現行日本法では,私人による現行犯逮捕について,   以下の規定が存在する。  (1)現行犯人は,これを何人でも逮捕できる(刑事訴訟法213条)。  (2)しかし,司法警察員以外が現行犯人を逮捕した場合,    当該私人は「直ちに」被疑者の身柄を,    司法警察員へ引き渡さなければならない(同214条)。  (3)よって,理由なくして司法警察員への引き渡しが遅れると,    逮捕を行った私人が逮捕監禁罪に問われる(刑法220条)。 2.そこで,刑事訴訟法214条における「直ちに」の文言が,   具体的にいかなる法的義務を逮捕を行う私人に課すものか,   明文の定めを欠くため問題となる。  (1)この点,かかる文言は,逮捕の意味を広義に捉えると,    司法警察員への身柄引き渡しを目的とした連行権,すなわち,    拘束した被疑者の身体を縛り,警察暑などへ連行することを,    当該私人に容認したものと解される。  (2)一方,逮捕の意味を狭義ないし限定的に捉えると,    被疑者を現場から動かすことなく,司法警察員の到着待機を,    当該私人に要求したものと解される。  (3)判例・通説は,私人逮捕にかかる連行権の有無に関し,    明確な見解を示していない。    司法警察員ではない者が現行犯逮捕した被疑者の身柄につき,    いかなる範囲まで当該私人による制御権が及ぶとされるのか,    裁判所や学説が具体的に明示した事例は存しない。 3.もっとも,私人に被疑者の連行権が認められないとすれば,   私人逮捕は逮捕権として実効性に乏しいものと言える。   さらに,日本国内においては,私人が現行犯人を逮捕しても,   管轄の警察署名義で逮捕事実の報道発表がなされる。   この点,私人逮捕権が本来の趣旨を没却し,   形骸化する恐れはないか,懸念されるところである。                                   以 上

  • 法律屋が他分野専門家より傲慢なのは法則を作るから?

    どうして法律家というのは、 偉そうにフン反りかえるのでしょうか? 自然科学(≒理系学問)というのは、 権力者に都合のいいように法則(真実)が 捻(ね)じ曲げられることはあっても、 人文科学(≒文系学問)とは異なり、 ゼロから法則を捻(ひね)り出すことは出来ません。 しかし、恣意的・人為的に法則を作り出してしまうのが、 人文科学、とりわけ法学の恐ろしいところです。 自由自在に法則を捻(ひね)り出すことが出来てしまう事が、 「俺がルールだ!」と言わんばかりの輩のように、 法律家の傲慢さを助長させているのでしょうか? 皆様からの意見をお待ちしています。   *** 例えば、 同じ刑訴法213条に基づく現行犯逮捕なのに、 行為主体(取り押さえる側)が 私人か司法警察職員かで、 事実上「逮捕」の意味も法的性質も変わります。 (マスコミ用語と刑訴法用語も噛み合わない。) 【刑事訴訟法213条】 現行犯人は、何人でも逮捕状なくして、これを逮捕できる。 理系学問はもちろん、同じ文系学問でも、 同一文中の同語句の意味・定義が、 時と場合によって変わることは、 法学以外の世界ではまずあり得ません。 さらに、これに関連して、 警察官と私人とを問わず、 “社会通念上”必要かつ相当な範囲で、 現行犯逮捕のためには、 相手の抵抗を排除するための 有形力行使が認められる (しおかぜ事件‐昭50.4.3) という有名な最高裁判決があります。 これを、 そもそも“社会通念上”警察官と私人とでは、 必要かつ相当と評価される実力行使の基準が違う、 と解釈し、 「素人に法律は分からない」と、 “こんにゃく問答”みたいな論理で フン反りかえって威張っている法律家がいました。 (そもそも判例は法律じゃないし。) 「俺は弁護士だぞ!」という態度の奴も、 昔仕事で見たことがあります。( ̄・・ ̄)

  • 私人逮捕権って実際には形だけの権限なのですか?!

    私人逮捕権って実際には形だけの権限なのですか?! 現行犯逮捕は民間人にでも出来ると言われていますが, 私人逮捕は実運用上どのように位置付けられているでしょうか? 以下に掲げる【a】と【b】の各疑問に答えることのできる方へ, それぞれについての解説をお願いいたします。         **** 1.現行日本法における私人逮捕権については,明文によって以下の規定が設けられている。   (1)現行犯人については,何人でも逮捕することができる(刑事訴訟法213条)。   (2)しかし,私人すなわち司法警察員ではない者が,現行犯人を逮捕した場合,被疑者を『直ちに』司法警察員に引き渡さなければならない(刑事訴訟法214条)。   (3)従って,正当な理由なしに司法警察員への引き渡しが遅れた場合,被疑者を逮捕した私人が逮捕監禁罪に問われ得る(刑法220条)。 2.そこで,刑事訴訟法214条に規定される『直ちに』の文言が,具体的にどのような義務を私人に課しているかが問題となる。   (1)まず,当該条項は,私人が現行犯逮捕を行った場合につき,被疑者の身体を縛って管轄の警察暑などへ連行することをも,逮捕した者の権限として認めているとも解される。   (2)他方,被疑者を逮捕現場から動かすことなしに,警察官などが現場に到着するのを待つことを,当該私人に期待したものとも解し得る。   【a】これにつき,判例や通説はどのような見解を示しているのか。司法警察員ではない者が現行犯逮捕した被疑者の身柄につき,どの程度まで当該私人による制御権が及ぶとされるのか。 3.また,仮に現行犯逮捕を行った私人に被疑者の連行権が認められないとすれば,私人逮捕は逮捕権として実効性に乏しいものとも言える。   当該見解を肯定する論拠として,日本国内では私人が現行犯人を逮捕しても,管轄の警察暑名義による逮捕として報道発表がなされる点が挙げられる。   【b】この点,私人逮捕権は事実上の空文規定となる恐れはないのか。                      以上         ****

  • なぜ私人逮捕は「逮捕」ではなく「取り押さえ」なのか

    ※わざと法律カテゴリーではなく「アンケート」で質問します。 法律家の回答はご遠慮ください。 市民感覚的な常識からお答えください。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121116-00000008-jct-soci 陰謀説も出ているこの事件ですが、その真偽はとにかくとして、 現行犯逮捕した者は警視庁玉川署員になっています。 しかしどう考えても、この報道からして、 玉川署員は現場には居合わせてはいません。 いわゆる「私人逮捕」に当たる事例と思われます。 そうとは言え、マスコミ用語の「逮捕」は、 刑事訴訟法【⇒末尾参照】の「逮捕」とは 意味が違うものであるという記述は、 どこを探しても見当たりません。 マスコミ用語の「逮捕」は、刑訴法213条の「逮捕」ではなく、 司法警察職員が同214条によって、 「引き渡し」を受ける事を指しているとしか思えませんが、 様々なサイトで質問しても、誰も明言しようとはしません。 不思議で仕方がありません。 なぜ「逮捕」に二重の意味を持たせ、 どうして現実の社会実態と合わない 刑事訴訟法の文言が一向に改正されずに 放置されているのでしょうか。 不思議です。 皆様はなぜだと思いますか? もう一つ疑問があります。 警備員や民営化後のJR車掌などの非司法警察職員でも、 犯人を取り押さえる際に、相手が武器を持っていたら、 安全のために取り上げるのが普通だと思います。 しかしこれも、押収権のない私人が行なった行為については、 法理論上は「一時的預かり」として扱い、 「取り上げ」としては扱いません。 これは武器を無理やり取り上げた私人の側を、 窃盗や強盗の罪に問われることから守る為の 意図的な施策なのでしょうか? ※まあ、実際に取り上げた側が逮捕されたら、 それこそ暴動が起きかねないのは事実だろうけど。 なお、健康保険組合も、企業のオフィスに同居し、 実質上は企業の内部組織のようなものであっても、 日本では「公法人」扱いです。 ホームページのURLドメイン名も「or.jp」です。 これは保険料の強制的な徴収に関与するなど、 公権力行使に類する業務を担っているためでしょうか? (正確に言えば「類する」じゃなくて「そのもの」。  でも実際に組合が行使することなどまずない。) 健保組合は「公法人」とは言えども、 行政機関(公務員組織)ではないためなのか、 主務大臣の「認可」(※)の下で 強制力を行使することになっています。 「行政権は内閣に属する」という憲法の規定と 無理やり整合性を取ろうとしたようにも見えますが、 実際のところはどうなのでしょうか? ※認可(法律用語)・・・ 行政庁が第三者の法律行為の効力を完成させる行為。 補充行為だが、これを欠くとその法律行為は原則無効。 法律家が、事実を捻じ曲げてまで、 「私人の強制力」を否定しなければいけないのは、 一体なぜなのでしょうか? これでは恐ろしくて私人逮捕など出来ません。 自分達で理由を明言しない(あるいは出来ない)クセに、 「素人に法律は分かりやしない」などと言う 日本の法律家は独善的だとあなたは思いますか?       *** 【刑事訴訟法】(抜粋) 第二百十三条  現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。 第二百十四条  検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。 第二百十五条  司法巡査は、現行犯人を受け取つたときは、速やかにこれを司法警察員に引致しなければならない。 ○2  司法巡査は、犯人を受け取つた場合には、逮捕者の氏名、住居及び逮捕の事由を聴き取らなければならない。必要があるときは、逮捕者に対しともに官公署に行くことを求めることができる。