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意味について

言語学とかでよく出てくる「示差性」とはどういう概念なのでしょうか。もし具体例をあげて説明していただける方いらっしゃらるようでしたら、お願いします。

  • krykn
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  • neil_2112
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回答No.5

お礼を拝見しました。 「木」という文字は確かに書き手によって異なります。そればかりか、厳密に言えば同じ書き手であってもこの字を書くたびに細部に至るまで全く同じものを書いているわけではありません。要するに、単純に「差異」だけに注目すれば、それは常にどこにでも存在するものです。 しかしそれらが言語学として意味のある差異であるかどうか、つまり示差的かどうかはまた別問題です。(音声や文字の認識に関わる認知論がありますので完全には一般化できませんが、)言語学の関心は、おのおのの「木」という文字の物理的な差異の存在ではなくて、むしろ物理的な差異があるにも関わらず同じ意味を担う記号として解読される点にあるからです。 言語は記号ですから、つまり「ある約束のうえで意味を担わされている」わけで、あるもの単体の意味や同一性を論じるのでなくて、全体のなかで見る必要があります。 例を挙げれば、「止まれ」を意味する信号機の「赤」には、ぼんやりとした「赤らしさ」のようなものが求められているのであって、ある規範的な赤との厳密な同一性が求められているのではありません(これは例えば、濃い赤ほど車はより急いで止まらないといけない、といったことがないのと同じことです)。 信号機の「赤」とは、「赤・黄・青」という3色からなる信号の体系全体の中で初めて意味を持ってくるわけで、それ自体の本質は追求されません。単に差異であるというだけでは問題にならないのです。 ここでの「示差性」とは要するに、どの信号機もすべて同じ明度、同じ色合いの「赤」を発するかどうかということを巡って論じられるのではありません。むしろ、各々の信号機の中における「赤」と「青」「黄」との差異の中に示差性は存在するわけです。 参考書ですが、言語学もレンジが広いですし、ご興味がどこにあるのかわからないので一般的なものにさせて頂きます。 「言語学とは何か」 田中克彦、岩波新書   言語学の広がりと概容を知ることができます。 「言葉とは何か」 丸山圭三郎、夏目書房   大変読みやすい言語学入門書。丸山氏はソシュール研究の世界的権威。

krykn
質問者

お礼

何から何までありがとうございます。学問の深さを勉強させていただきましたし、「示差性」の概念もつかめそうです。

その他の回答 (4)

  • neil_2112
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回答No.4

言語学で「示差的」という言葉は、英語のdistinctiveという言葉の訳語として用いられています。「弁別的」といってもほぼ同じような意味で、要するに「区別がつく、差異が見分けられる」ということを意味します。 言語学では分節という考え方があって、一般にはニつの段階があります。第一次分節とは文、連辞、語などといった意味を担う単位(記号素)に分けること。第二次分節とは、その単位をそれだけでは意味を担っていないより小さな単位(音素)に分けることを指します。音素というのが示差性と密接に関わる概念です(これはマルティネが主張したことで、必ずしもソシュールの用語ではありません)。 #1のご回答の例を借りると、「都会」(t・o・k・a・i)と「時計」(t・o・k・e・i)という記号素の中のそれぞれの音はもはや意味を担ってはいないのですが、aとeの違いで別の意味が生み出されることを考えれば、これらの音はそれ自体では意味を持っていないけれども“意味を弁別する働き”を有していることがわかるでしょう。こういう働きをするものが音素で、これが「示差性」あるいは文字通り「弁別性」を有しているということになります。 そもそも言葉というものは、無限に存在する経験事象や現象を有限の要素で表現することが要求されます。つまり、たかだか数十という限定された音素を組み合わせることで記号素の担う意味を区別でき、その有限の記号素を組み合わせることで現実の複雑さに対応できる多様な表現が可能になっているわけです。つまり一言で言えば言葉は経済性が良いわけですが、それゆえに言語の分析の際にはそれぞれの音がどのような役目を担わされているのか、その範囲はどうなのか(つまりどの時点で示差性が消滅するのか)という認識は重要なポイントになってくるのです。 ただ、この示差性という言葉も意味が広がってきて、英語で言えばdistinctiveでなくdifferential、つまり単に有差的であるという意味で用いられることが増えてきたことが混乱を招いているのが現実です。ただ本来の意味はそうではありません。 音素と示差性の関係も考えていけばソシュールの言った言語の恣意性に行き当たりますが、ここではさしあたって問題にはすべきでないでしょう。示差性そのものはミクロな話しであって、ソシュールが提唱した差異の体系(コード)としてのラングとは少し別に論じるべきだと思います。 ご参考までに、かつてソシュールについて簡単に回答したことがありますので、意味があると思われればご参照下さい。 http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=463308 「なぜ『知りたい』と思うことが可能なのか?そもそも『知りたい』とはどういうことか?」

参考URL:
http://www.okweb.ne.jp/kotaeru.php3?q=463308
krykn
質問者

お礼

ありがとうございます。リンク先も読ませていただきましたが私はまだまだ勉強不足で、また思想的な入門書など教えていただけたら幸いです。卑近な例でも申し訳ないですが、Aさんが書いた「木」とBさんが書いた「木」って絶対ちがいますよね。なのに、「木」であるのは、文字レベルで示差性がないということなのでしょうか。

回答No.3

何かそれぞれにとてもいい答えなので、あえてつけ加えるまでもないみたいなのですが、自分なりに「示差」について考えてみました。 ル・グィンの『ゲド戦記』はお読みになったことがありますか? この中に、ものの名前を知ることで、そのものを左右する力を手に入れる魔法使いが出てきます。 これは、 ものの名前(言葉)=ものそのもの という考え方です。 これに対してソシュール(ここでは人の名前です)は異をとなえました。 たとえば、もし、「オオカミ」という言葉がなくなれば、いまわたしたちがオオカミと思っているものに「イヌ」という言葉を使うであろう。 イヌとオオカミの間に明確な境界があるわけでなく、わたしたちがイヌとオオカミを分けているからこそ、オオカミというものを認識できる、ということになる。 オオカミというものは、オオカミという言葉がイヌという言葉とどういうふうにちがうのか、その違いの中にはじめて定義できる、という考え方が、差異の体系なんです。 言葉=もの ではなく 言葉=差異にもとづく関係 である、と。 この意味で、言語記号のあいだの関係は、示差的関係と呼ばれるわけです。 自分は超文系の人間なので、示差熱分析という用語を聞くのは初めてでした。 いつも勉強させていただいている0410さんはもちろん、 #2のschluessellochさん、非常に興味深く拝見しました。 参考になりました(礼)。

krykn
質問者

お礼

『ゲド戦記』、ご紹介ありがとうございます。読んだことがありませんので、早速目を通してみたいと思います。この作者、どういった思想的背景の持ち主なんでしょうか。

noname#5623
noname#5623
回答No.2

こんにちは。   私は、文系の人間ではないので、質問に対する適切な返答は出来ませんが、ご参考までに…、と思い、返答させていただきます。長くなってしまいますがお許しください。   化学の分野で示差熱分析という分析法があります。この技術がどのように利用されるかを大雑把に説明すると、以下のようなものです。   基本的には、ある物質(仮に、粉砂糖としましょう)の温度を変化させて、その物質が何℃でどんな現象を起こすかを知るための分析方法です。粉砂糖だったら、温度を上げていけばきっと解けますよね??   氷を冷凍庫から出して溶かす事を考えてください。冷凍庫から出てきた-15℃くらいの氷は、段々暖められて、やがて0℃になり融け始めます。しかし、一度氷が融け始めると、気温が10℃であろうと30℃であろうと、融け終わるまでは氷の温度は高くなることなく、ずっと0℃のままです。だから、ジュースに氷を入れると冷たさを維持できる訳です。このことは、氷以外の物質でも同じで、粉砂糖も融けている間は基本的には温度は一定です。   では、ある容器に粉砂糖を入れて、その容器を徐々に暖めていきましょう。すると、粉砂糖はある温度に達すると融け始めます。この時粉砂糖の温度を測っていれば、粉砂糖の温度は融け終わるまでは一定です。けれど、容器の温度をどんどん上げていくことは可能です。氷が2、3個入ったフライパンを火にかけることを考えてください。氷が解けている間も、フライパンはどんどん熱くなります。その証拠に、氷がまだ残っていようとフライパンを触ろうとは思いませんよね。この結果、「粉砂糖の周りの温度はどんどん上がっていくのに、粉砂糖の温度は一定」という一見奇妙な現象が起こります。   粉砂糖の場合は、温度を上げていけば融けるだろうという事は予想できますし、融点も専門書を調べれば分ります。けれどもし、ポンと白い粉末を手渡されて、これ何だと思う?と言われたとすると、たちまちその物質が何なのか分らなくなります。ひょっとしたら毒物かも知れないし、色々な物質の混合物かも知れない。それでも、その物質が何なのかを知りたければ、その物質の特徴を調べていくしかありません。   示差熱分析は、その物質の温度と、容器の温度を別々に測定し、それらを比較することで、一体何度でどんな現象が起きる物質なのかを突き止める分析方法なのです。一見、容器の温度を測らなくても、物質の温度だけ測ればよさそうですが、そうすると、急に「容器の温度が上がらなくなる」などというアクシデントに見舞われた結果、中の物質の温度が上昇しなかっただけなのに、「その温度で融ける」などと判断してしまい兼ねません。だから、ちょっと面倒でも容器の温度も測定する訳です。   長くなってしまいましたが、これが示差熱分析です。熱分析というのは、物質の温度変化と状態変化(固体→液体→気体など)を観測する分析方法なので、「示差」というのは「別々に」とか「違いを比較する」などという意味を持つのかもしれません。参考にしていただけたなら、幸いです。

krykn
質問者

お礼

この分析法に関しては、まったくしりませんでした。理系の概念といえども、文系の概念と交差することもあるのですね。もちろん厳密にはちがうでしょうが。視野を広げてくださりありがとうございます。

noname#4429
noname#4429
回答No.1

こんにちは。 さまざまな使い方があり、なかなかわかりづらい概念ですが、 あえて簡単に言ってしまうと「区別」のことです。 では、なぜ区別と言わないかというと、そこには言語学的な含みがあるからです。 ソシュールによると言語は「差異の体系」としてとらえられています。 たとえば、 「都会」(とかい)と、 「時計」(とけい)は、 わずか「か」と「け」の差異でしかありません。 しかし、意味するところは大いに異なります。 この場合、「都会と時計は子音の一文字が示差性を 示すことにより、意味を転換している」などと 難しく言ったりするわけです。 そこにアルファベットの使い方や、書き言葉と しゃべり言葉のちがいなどがからんでくると、 話はさらにややこしくなっていくわけです(笑

krykn
質問者

お礼

わかりやすい例を挙げていただいてありがとうございます。意味は示差的って考えてよろしんでしょうか。

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