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黒沢明監督、映画、”羅生門”のお話の解釈をお願いします。

sun10roの回答

  • sun10ro
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回答No.7

映画『羅生門』の原作は『藪の中』であって、小説『羅生門』ではない という理由で、芥川ファンの方ほどあまり映画版をお好きでない、と聞いております。  しかし、『羅生門』を『藪の中』と融合したことで、両小説の真相が“人間不信”ではなく“性善説”に立った“人間の良心の勝利”にあり、芥川の真意を知る上でも黒澤解釈版たる映画『羅生門』を今こそ日本人は見直し、明日の生活の指針とするべきではないか・・・、と私は思っております。 『藪の中』を原作とした部分の映画版の裁判シーンは、容疑者3人が皆「自分が犯人だ」と証言しております。つまり、無罪を横取りするための嘘ではなく、有罪になりたい、3人が3人とも死刑を望んで嘘をついた、という不思議な偽証劇でした。   死んだ本人の霊などは、「あれは自殺だった」と訴えており、真犯人は多襄丸だと知りながら、「あれは殺人事件ではない」と嘘をついているのですから不思議です。  これは「人には死んでも嘘をついて隠したい罪がある。それが、人間にとって殺人より重い罪に他ならない」と芥川が言わんとしたからだと私は解釈します。  私は映画版の深読みを始めた結果、それを悟りました。  小説『羅生門』からの引用は映画のラストに出てきます。知ったかぶりの映画評論家ほど、「あのラストのエピソードは嘘っぽくて不要だった」と批判しましたが、その分析は間違ってます。現に、世界の映画監督、『羅生門』ファンは、「(羅生門に捨てられた)赤ん坊は自分が育てる」と木こりが手を差し出すラストシーンにこそ感動したと証言しています。  黒澤の撮影技術の高さにだけ感心したのでなく、作品の根底に流れる人生観に涙して、数々の賞を与えた、というのが真相です。  長くなりましたが、もう少し・・・。  その木こりも『藪の中』事件では嘘をついています。現場から高価な短刀を持ち去った、という事実を隠すための偽証でした。彼にとって高価な短刀は、家族を養うための盗みでした。しかし、その短刀を盗んだ事を罪に感じ、「6人育てるも、7人育てるも同じ苦労だ」と涙し、天に償いたいと決心したのが映画のラストシーンでした。  それがもし、目の前の捨て子を見捨てて我が家の為だけに使ったなら、彼の盗みは家族全員の罪になってしまうところでした。その利益を、捨て子の養育費に使って初めて、彼の盗みは天に許され、短刀は捨て子にとって天の恵みとなり、木こりの罪も罪でなくなる、というわけです。  だから黒澤が木こりに取らせたその選択は、木こりが人間になるか鬼になるかの大きな分岐点でしたし、小説『羅生門』で芥川が下人に、そして読者に求めた“人の良心の勝利”を黒澤は木こりのエピソードを通じて、世界中の観客に与えたのでした。  ということで、映画『羅生門』は「人を信じるな」ではなく、「信じていいんだよ」という作品だった、と私確信しています。 黒澤明監督が『羅生門』を『藪の中』と融合したことで、両小説の真相が「人間不信」にあったのではなく「性善説」に立った「人間の良心の勝利」にあり、芥川の真意を知る上でも黒澤解釈版たる映画『羅生門』を今こそ皆さんに見直していただき、明日の生活の指針に使って元気になってほしい、と私は思っております。  『藪の中』を原作とした部分の映画版の裁判シーンは、容疑者の3人が皆「自分が犯人だ」と証言しております。つまり、無罪を横取りするためではなく、3人が3人とも有罪を望んで偽証した、という点がミステリーでした。   死んだ夫(森雅之)の霊などは、「決闘などなかった」と訴えており、真犯人は多襄丸(三船敏郎)だと知りながら、「あれは殺人事件ではない」と嘘をついて自分を殺した多襄丸をかばうのですから不思議です。  これは「人には死んでも嘘をついて隠したい罪がある。それが、男と女の問題だ」とクリスチャンだった芥川が言わんとしたからだと、私は解釈します。そしてこれは、私が映画版の深読みから得た、驚くべき結論でした。 小説『羅生門』からの引用は映画のラストに出てきます。日本の映画評論家は、「あのラストのエピソードは嘘っぽくて不要だった」と批判しましたが、その分析は間違ってます。現に、世界の映画監督、『羅生門』ファンは、「(羅生門に捨てられた)赤ん坊は自分が育てる」と木こりが手を差し出すラストシーンにこそ感動したと証言しています。

参考URL:
http://www.watchme.tv/v/?mid=1a37546d1929c0ff3ca32d2ddacc41a9

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