- ベストアンサー
パリ優先権について
弁理士試験の初学者です。宜しくお願いします。 優先権主張について混乱してしまいましたので、 質問させていただきたいと思います。 国内出願を基礎として パリ優先権を伴う国際出願は可能だと思うのですが、 国際出願を基礎として パリ優先権を伴う国内出願or国際出願はできるのでしょうか? できない場合、なぜできないのかについて理由を教えてください。 宜しくお願いします。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
>国内出願を基礎としてパリ優先権を伴う国際出願は可能だと思うのですが、 >国際出願を基礎としてパリ優先権を伴う国内出願or国際出願はできるのでしょうか? 結論から言えば、両方とも可能です。 1.国内出願を基礎としたパリ優先権を伴う国際出願 ・パリ条約の同盟国に正規の国内出願をすれば、他の同盟国に出願することについて優先権が生じます(パリ4条)。 ・国際出願に際しては、パリ条約の締約国においてされた先の出願に基づく優先権を主張する申立てを伴うことができます(PCT8条(1)、(2)(a))。 よって、「国内出願」がパリ条約の同盟国であるA国においてされたものであれば、A国以外の他の同盟国についてはパリ優先権の主張を伴う国際出願Xをすることができます。 なお、国際出願Xには基礎出願をしたA国の指定を含めることができますが、その場合A国においてはいわゆる自己指定(PCT8条(2)(b))となり、優先権主張の要件及び効果はA国の国内法令によります。わが国であれば特184条の3等を介して特41条等が適用され、いわゆる国内優先権を主張していることになります。 したがって日本の国内出願を基礎として日本を指定国に含む国際出願をした場合、その基礎出願は出願日から1年3ヶ月後に取下擬制となります(特42条1項)。ただしそれを避けるために国際出願の際に日本を指定から除外することが可能になっています。 2.国際出願を基礎としたパリ優先権を伴う国内出願or国際出願 まず、国際出願の効果が何であるか考えて見ましょう。国際出願Yをし、出願日の認定等の要件を満たすと、その国際出願は各指定国における正規の国内出願としての効果を有し、またパリ4条にいう正規の国内出願とされます(PCT11条(3),(4))。 よってパリ4条により、国際出願Yによりパリ条約上の優先権が発生することになります。よってその国際出願Yに基づくパリ優先権の主張をして同盟国B国へ国内出願をすることもできますし、別の国際出願Zをする際に国際出願Yに基づくパリ優先権の主張を伴うこともできます。(もちろん、優先期間等の所定の要件を満たす必要がありますが) 以下、直接質問されていない内容ですが、試験によく出ますし分かりにくいところなので考えてみてください。 (1)国際出願Y(日本及び他国の指定を含む)に基づく優先権の主張をして日本へ国内出願C(国際出願ではなく)をする場合、出願人は日本に関しては主張する優先権(国内優先権又はパリ優先権)を選択することができます(特184条の3、特41条、パリ4条等)。パリ優先権を選択すれば先の出願の取下擬制(特42条第1項)を防ぐことができます。 (2)一方、国際出願Y(日本及び他国の指定を含む)に基づく優先権の主張を伴う別の国際出願Z(日本の指定を含む)をした場合、日本においてはパリ優先権を主張することになります(PCT8条(2)(a)、パリ4条)。この場合優先権の選択はできません。 この辺の、基礎出願・優先権出願が国内出願・国際出願であった場合に主張できる優先権については、特実審査基準の「第IV部優先権 6.3 特許協力条約に基づく国際出願と優先権」の部分及び別添表を参照してください。 今年は短答免除者がいますので短答試験も難しくなると予想されますが、頑張ってください。
お礼
回答ありがとうございました。 国際出願の効果を考えることで、どのように優先権を扱うべきかが 良く理解できました。 今年は厳しい年になると思いますが、ベストを尽くしてがんばります。 ありがとうございます。