- ベストアンサー
詐害行為取消権における無資力とは??
詐害行為取消においては、「無資力」が要求されますが、その判断基準は「詐害行為性の判断基準」と同視してよいのでしょうか?? 例えば、不動産を不相当な価格で売却する行為は「詐害行為」にはなりますが、それによってただちに「無資力」と判断される場合だけではないと思うのです。 例をあげると、 「Bに対して1500万円の貸金債権をもっているAがいる。Bは現金800万円と土地甲(1000万円)を有している。BはCに対して害意をもって土地甲を800万で売った。」 この時、Bは1600万円持っているのだから、不動産を不相当な価格で売る行為が詐害行為にあたるとしても、Aの1500万円の貸金債権以上の金額を有しているのだから、無資力にはあたらない、と私は思うのですが、どうなんでしょうか?? 加えて、無資力とは正確にはどのような状態をさすのでしょうか。Aの1500万円よりも下になるような状態(土地を700万円未満で売る、あるいは贈与する)をいうのか、それとも全くの文無しの状態(得た金すべてを散財する)をいうのか。どちらなのでしょうか?? ご教授お願いします。
- みんなの回答 (4)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
>まだ無資力とはなっていなくても、同様の理由から詐害性が認められなければ、適性価格での販売の場合と均衡を失するのではないでしょうか?? 実質的に比較をすればそういうことも言えるかもしれませんが、そもそも無資力になっていなければ詐害行為取消権の要件を欠くので問題になりません。すべての事柄はどこかで線を引かなければならないわけで、法律論では前提要件を無視した議論は意味がありません。判断基準が定まらなくなります。 なお、詐害行為性=客観的要件(無資力+財産権を目的とする法律行為)と主観的要件(詐害の意思)との相関において判断される、ということになります(内田貴による整理)。
その他の回答 (3)
「詐害性」の理解について問題の立て方から、若干混乱しているように見えます。 他の回答者の言われるように、無資力とは弁済する(=債権を満足させる)のに十分な資力がない場合のこと。なので、不当に安く財産を処理しても弁済するのに十分な資力があれば問題ありません。つまり設例の場合は取り消すことはできません。説例で言えば1500万円よりも下になるような状態=無資力です。 「不動産(その他の財産)を相当価格で売却する行為が詐害行為になるか?」ということが問題になるのは、売ったことが責任財産を侵害することになるかということ(つまり十分な弁済可能以下の状態)を前提に論じられます(詐害性を問題にしているのだから当たり前なのですが)。 よく言われるように、債務者が保有している財産は、適正価格の売却であっても消費しやすい金銭にすることが詐害姓を持つ(つまり、責任財産を減少させる可能性が高い)、として原則として詐害性が肯定されます(判例、多数説)。 ただし、抵当権消滅のための弁済資金調達目的のために売却した場合(最判昭和41年5月27日)など、主観的要件との相関関係で詐害性が弱くなる事例もあり、画一的に判断するものではないとされています。 そこで、説例で言えば700万円で売却する場合に詐害性が問題になりますが、Aに対する弁済目的だったとすれば取消の対象にすべきではないことになります。
補足
ご教授ありがとうございます。 goldensun様のおっしゃることは大変よくわかりました。 ところで、不当に安く財産を処理しても弁済するのに十分な資力があれば問題ないとしても、適正価格の売却であっても消費しやすい金銭にすることが詐害姓を持ち詐害性が肯定されるならば、やはり不当に安く売って、まだ無資力とはなっていなくても、同様の理由から詐害性が認められなければ、適性価格での販売の場合と均衡を失するのではないでしょうか??
- buttonhole
- ベストアンサー率71% (1601/2230)
>例えば、不動産を不相当な価格で売却する行為は「詐害行為」にはなりますが、 単に不動産を不相当な価格で売却する行為は「詐害行為」にはなりません。不動産を不相当な価格で売却した結果、債務者が無資力になった場合(あいるは、無資力の状態で不動産を売却した場合)に、「詐害行為」になります。ですから、 >この時、Bは1600万円持っているのだから、不動産を不相当な価格で売る行為が詐害行為にあたるとしても、Aの1500万円の貸金債権以上の金額を有しているのだから、無資力にはあたらない、と私は思うのですが、どうなんでしょうか?? 債務者は無資力ではありませんので、詐害行為にはなりません。 >無資力とは正確にはどのような状態をさすのでしょうか。 無資力というのは、債務者の総財産をもって、総債権者の債権の満足が十分に得られない状態を言います。全く財産がないという意味ではありません。 なお、債務者の行為時点では、詐害行為に該当するとしても、詐害行為取消訴訟の事実審口頭弁論終結時点までに債務者の資力が回復して無資力の状態でなくなれば、原告の請求は棄却されます。
補足
ご教授ありがとうございます。 なるほど、不動産を不相当な価格で売却すると、即詐害行為となるのではなく、それによって債務者が無資力になってはじめて、「詐害行為」となるのですね。 ということは、やはり、「詐害行為性」の要件は「無資力」の要件と同一といってよいのですね??
- Yuhly
- ベストアンサー率67% (86/127)
無資力とは、およそ債務超過と考えていいです(厳密には違いますが)。 ですので、ご質問の事例であれば無資力に当たりません。 また、土地を600万円で売った場合であれば無資力にあたります。
お礼
ご教授ありがとうございました。
お礼
ありがとうございました。 もう一度自分で考え直してみます。