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FPレーザーの縦モードに関して
FPレーザーが複数の縦モードを発振するのはなぜでしょうか。 共振器による離散的なスペクトルは理解できるのですが、そもそも増幅される光自体にスペクトルの広がりといったものはあるのでしょうか。 また、もしあるならばスペクトルの広がりの原因とは何でしょうか。 私は、発光原子の速度や移動方向がガウス分布しているがため、ドップラー効果により発振スペクトルが広がって見えるのではないかと考えております。 もしくは、誘導放出が起こるエネルギーhvに広がりがあるのかと思っております(表現がよくわららず、すみません)。 参考文献だけでもいいので、教えていただけませんでしょうか。おねがいいたします。
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>FPレーザーが複数の縦モードを発振するのはなぜでしょうか。 FPレーザとはFP型半導体レーザのことをいいますが、FPでなくても半導体レーザは複数の縦モードで発振しますよ。とはいえそのモード数は少ないですが。 単純に言えばレーザ媒質の利得帯幅の中に共振器の共振する波長がいくつあるのかという問題です。距離の長い共振器ほどモード間の波長間隔は短くなるので当然縦モード数は増えます。これは別に半導体に限らずなんでもそうです。He-Neレーザも共振器長が短い物は2本程度しかモードがないけど長くなると複数になります。 スペクトルの広がりを気にされているのですが、利得帯幅のことを指しているのでしょうか。であれば様々な原因があります。大きくはご質問にあるようなドップラー広がりのような不均一広がりによりものもあるし、繊維準位の広がりが原因の均一広がりに分けられます。 参考文献としては、 レーザー物理入門: 霜田 光一 光エレクトロニクスの基礎:A.Yariv あたりに基本的なことはかかれているでしょう。 古典的な説明ですけど、 Lasers: A. E. Siegman あたりは詳しいです。
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- inara1
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半導体レーザの光の素は自然放出光(LED光)ですから、発光スペクトルに広がりがあります。半導体レーザはそのような広がりを持った光うち、FP共振器条件を満足する( m*λ/2/n = L :m = 自然数、λ = 波長、n = 屈折率、L = 共振器長 )波長の光だけ選択的に増幅するので、縦モードが数多く発生します。 LED光は伝導帯の電子と価電子帯の正孔が再結合することで発生します。伝導帯や価電子帯は内殻準位と違ってエネルギー的に幅があります。半導体レーザに印加する電圧を大きくしていくと、伝導帯に注入される電子はエネルギー的に低いところ(伝道帯の底)から満たされていき、価電子帯に注入された正孔も価電子帯の上端に近いところから満たされていきますが、その結果、電子と正孔のエネルギー分布に広がりが生じます。それらが再結合するとき、元の電子と正孔がエネルギー的にどこにあったかで発光波長が決まるのですが、そのエネルギー差に幅があるので電子-正孔対のエネルギー差にも広がりができます。このためLED光の発光スペクトルには広がりができます。発光強度が最も大きくなるのは、伝導帯の電子のエネルギー分布が最大になるところと、価電子帯の正孔のエネルギー分布が最大になるところの電子と正孔が再結合する場合で、そのエネルギー差に対応する波長で発光強度が最大になります。この波長は、発光層のバンドギャップに対応する波長より少し短くなります。LED光の広がりの原因はこのような電子や正孔のエネルギー分布の広がりの他に、発光層のバンドギャップのゆらぎ(組成ゆらぎ)があります。 >発光原子の速度や移動方向がガウス分布している 原子は動きません。キャリア(電子や正孔)の移動速度は驚くほど遅いです(1mm/s程度)ので、キャリアの運動エネルギーの分布と発光スペクトルの幅は無関係です。
お礼
非常に丁寧なご回答ありがとうございます。半導体レーザーについてはよくわかりました。 しかし、固体レーザーや気体レーザーでは内殻準位のエネルギー差をもつレーザー光が生じると思うのですが、その場合に複数の縦モードが発振する事がよくわかりませんでした。 もしご存じでしたら、ご教授お願いいたします。
お礼
丁寧に教えていただき、ありがとうございました。お聞きしたかったのは、利得帯幅のことでした。教えていただいた本で勉強してみます。