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GDP比の純輸出に占める割合が低いのに輸出が重要視される理由

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  • omeger
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回答No.2

レポート向けではありませんが、あくまで参考程度に。 ■貿易収支として 名目GDPの構成として出てくる「純輸出」は、 輸出から輸入を引いたもので、財・サービスの貿易収支に相当します。 この場合、GDPに対する割合は、収支の不均衡を表しています(1)。 純輸出(収支の黒字)が貿易の目的と考えられがちなのは誤解であり、 貿易の本来の目的は輸出品を輸入品と交換することです。 しかし、貿易黒字を至上目的のように捉える重商主義的な考えは、 国のプライドとも結びついて、政治的に根強い人気を持っています。 貿易収支(経常収支)の黒字は、 海外に資本が流れるカネの移動(資本収支)に対応しています。 純輸出のプラスは、海外にカネを貸しているか、海外にカネを返しており、 純輸出のマイナスは、海外からカネを借りているか、海外からカネが戻っていることになります。 貿易収支は、企業の利益の概念とは異なり、 カネを出してくれる相手がいる間は若干のマイナスでも問題ありません。 しかし、純輸出のマイナスの幅が大きくなり過ぎたり、 海外投資家からの信用が低くなったりすると、 突然海外資本が撤収して混乱を引き起こすリスクが高まります。 ■景気・成長率の要因として 実質GDP成長率の寄与で出てくる「純輸出」は、 外需が景気に対して与える影響を表しています(2)。 ここで出てくる「純輸出」は、物価を調整しているため、 名目GDPの構成として出てくる「純輸出」とは値が異なります。 貿易黒字が減っても純輸出が成長することはよくあります。 最近の日本では、純輸出が経済成長率に与える影響は大きくなっています。 もっと内需の寄与が大きくてもよいはずなのですが、 度々内需が不振に陥ってしまい、財政政策にも金融政策にも縛りがあるということで、 円安を背景とした外需頼みになってしまった背景もあります。 もう1つは、GDPの要因の中で、民間消費は サイズが大きい割には比較的安定して推移するのに対し、 投資や純輸出はサイズの割に変動が大きい「暴れ馬」となることです。 為替レートや海外環境の変化などにより、純輸出で成長率が浮動すると、 投資や消費に与える間接的な影響も含め、景気に与える効果は必ずしも小さくはありません。 なお、景気というのはバランスの問題なので、 好景気でインフレが加速していれば、純輸出を減らした方が良い場合もあります。 日本ではこのような機会を長らく経験していませんが…。 ■輸出依存度として 輸出÷名目GDPを輸出依存度といいますが(3)、 この値で見れば、日本の対外依存度は世界的に低いといえます。 人口や経済規模が大きく、地理的に乖離した国で小さくなる傾向があります。 アメリカと比べれば輸出はまだ高いとはいえ、 資源のない日本が世界の中で特別に貿易に依存する国であるというのは、 過剰な思い込みであるとはいえるかもしれません。 ただし、輸出依存度が50%だったら、 その国のGDPに占める割合が50%という意味でもありません。 この中には国産ではなく輸入した原材料コストも含んでいるため、 輸出がその国のGDPに「占める」割合は不明瞭だったりもします。 UAEから輸入した原油が日本の素材輸出額に含められ、 日本から輸入した素材が韓国の部品輸出額に含められ、 韓国から輸入した部品が中国の完成品輸出額に含められるという具合に、 工程の順にそって輸出額は累積して拡大しています。 (1)純輸出÷名目GDP (純輸出=財・サービスの輸出-輸入、2007年、国連統計局より。 ちなみに経常収支で計ると日本の黒字はもっと大きい) シンガポール +28.9% マレーシア +20.3% 香港 +10.6% 中国 +10.0% ロシア +8.5% タイ +7.6% ドイツ +7.1% ブラジル +1.7% 日本 +1.7% 韓国 +1.1% イタリア -0.3% フランス -1.6% オーストラリア -1.7% インド -3.5% イギリス -3.7% アメリカ -5.1% ※ (1994年のメキシコ -4.8%→テキーラ危機) (1996年のタイ -6.2%→アジア通貨危機) トルコ -7.3% アイスランド -10.5% パキスタン -11.3% エストニア -15.1% ルーマニア -15.2% ラトビア -20.3% ブルガリア -22.1% (2)日本の経済成長率の要因分解 (暦年、内閣府より) 1996年 成長率+2.7% = 内需+3.2%(うち民間消費+1.4%) + 純輸出-0.5% 1997年 成長率+1.6% = 内需+0.5%(うち民間消費+0.4%) + 純輸出+1.0% 1998年 成長率-2.0% = 内需-2.4%(うち民間消費-0.5%) + 純輸出+0.4% 1999年 成長率-0.1% = 内需 0.0%(うち民間消費+0.6%) + 純輸出-0.1% 2000年 成長率+2.9% = 内需+2.4%(うち民間消費+0.4%) + 純輸出+0.5% 2001年 成長率+0.2% = 内需+1.0%(うち民間消費+0.9%) + 純輸出-0.8% 2002年 成長率+0.3% = 内需-0.4%(うち民間消費+0.6%) + 純輸出+0.7% 2003年 成長率+1.4% = 内需+0.8%(うち民間消費+0.2%) + 純輸出+0.7% 2004年 成長率+2.7% = 内需+1.9%(うち民間消費+0.9%) + 純輸出+0.8% 2005年 成長率+1.9% = 内需+1.7%(うち民間消費+0.8%) + 純輸出+0.3% 2006年 成長率+2.4% = 内需+1.6%(うち民間消費+1.1%) + 純輸出+0.8% 2007年 成長率+2.1% = 内需+0.9%(うち民間消費+0.8%) + 純輸出+1.1% (3)貿易依存度 (財・サービス輸出÷名目GDP、 財・サービス輸入÷名目GDP、2007年、国連統計局より。 シンガポールや香港が異常に大きいのは再輸出の拠点だから) シンガポール 輸出230.9% 輸入202.1% 香港 輸出207.4% 輸入196.7% マレーシア 輸出110.2% 輸入89.9% タイ 輸出73.3% 輸入65.7% ドイツ 輸出46.8% 輸入39.7% 韓国 輸出46.4% 輸入45.3% 中国 輸出41.3% 輸入31.3% ロシア 輸出30.3% 輸入21.9% イタリア 輸出29.2% 輸入29.5% フランス 輸出26.9% 輸入28.5% イギリス 輸出25.8% 輸入29.5% インド 輸出22.4% 輸入25.9% オーストラリア 輸出19.8% 輸入21.5% 日本 輸出17.6% 輸入15.9% ブラジル 輸出13.8% 輸入12.1% アメリカ 輸出11.9% 輸入17.1%

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