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光の透過
光の物質透過は前方散乱の結果なのでしょうか? 光の散乱は、光が粒子とぶつかると、粒子が分極して、元の状態に 戻るときに、光を再放射した結果というのを見たことがあります。 (分極うんぬんは正しく理解していないかもしれません) また、屈折率は、物質の内部の電子との相互作用の結果だということも聞いたことがあります。 この相互作用というのは、散乱時の分極と同じものでしょうか? 真空中や、粒子密度の薄い空気中なら、文字通り、透過なのでしょうが、物質中の場合はどうなのでしょうか? また、別な質問になってしまうのですが、光が反射するときの位相は、境界面では0またはπになるそうですが、 これは、光が散乱時に再放出される際に自然とそのようになるのでしょうか?
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- walkingdic
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>散乱というものを、光子が粒子にぶつかって跳ね返されるイメージでいましたが、あまり正しくないようですね。 そうですね。ただ粒子の大きさが大きくなるとそのようにイメージしてもあまり間違えはないと思いますけど。粒子の大きさが小さくなるとだんだんそれでは理解できなくなります。 >光の電界により、分子に双極子モーメントが形成される際に、”一部の”エネルギーを吸収し、元に戻る際に散乱光として放出する。(→レイリー散乱) (吸収されなかった光はそのまま直進) >ということでしょうか? 散乱全般に関しては概略そのように考えてよいです。レイリー散乱だけではなくミー散乱でも同じです。(これは単に粒子の大きさと波長の大きさの関係で区分しています) >ミー散乱という散乱になるそうですが、これはレイリー散乱とは根本的に違うものなのでしょうか? いえ、同じです。元の式はひとつです。式を解くときに近似を入れますけど、そのときに粒子が波長と同程度以下の場合と、波長より粒子が大きい場合で分けて解を求めるとそれぞれ式が得られます。 >また、反射も散乱の一種だとおもうのですが、これは、境界条件のあるミー散乱になるのでしょうか? いえ、「散乱」の一種と考えるのではなく、「双極子モーメント」のモデルが一緒と考えてください。 散乱、反射、屈折全部がこの電場による双極子モーメントのモデルで説明できます。 >量子力学的に考えると、境界条件が定まると、位相が、0やπになる状態に収束するということなのかなと思っています。これは正しいでしょうか? ある意味そのように考えてもよいかと思います。光にとっては屈折率は量子力学で言うところのポテンシャルと同じ働きをします。ですから光ファイバーは量子井戸と同じになりますね。 >↓↓は多分似たような現象かと思っているのですが うーん。これはこの話よりは更に進んだ話なので必ずしも同じとはいえないので、もう少しわかりやすいイメージを説明してみましょうか。 仮にきれいな境界面があるとします。境界面上では分子、すなわち双極子モーメントが整然と並んでいるとします。(整然と並んでいないとそれはすりガラスになり散乱が生じます) このときに双極子モーメントひとつからでる光というのは、別に特定方向のみというわけではありません。ホイヘンスの原理(その後より拡張されたフレネル=キルヒホップの回折式があります)を考えればわかるように、それは点光源とみなされます。 つまりその一点のみの双極子モーメントからの光を考えた場合には光は広がって進むのです。しかし、これらが整然と並んでいるとどうなるでしょうか。当然相互に干渉が起きます。そしてその結果特定方向の光のみが残ります。 これが屈折なり反射なりの現象です。反射や屈折はホイヘンスの原理から作図して導出することができますから一度試みてみてください。 境界面ががたがたの場合にはこの干渉がうまくおきませんので、いろんな方向性分の光になるから散乱になります。すりガラスなどはそれも原因のひとつになり光が散乱しているわけです。(すりガラスの番手によりもっとマクロ的なものも含みますが) まあ確かに見方を変えると散乱+干渉で屈折や反射が生じているという見方もできなくはありませんが、ただそれだと今度は散乱の中身の話が関係してきてしまうので、それよりは、まずは双極子モーメントによる再放射という考えを基本にした方が、より正確な理解になります。
- walkingdic
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>光の物質透過は前方散乱の結果なのでしょうか? いえ、そうとは限りません。前方散乱で透過した場合には光の進行方向は入射時の状態が保存されるわけではありませんから。 >光の散乱は、光が粒子とぶつかると、粒子が分極して、元の状態に戻るときに、光を再放射した結果というのを見たことがあります。 まあそのようなものです。一般的な話をする場合にはその粒子に双極子モーメントがあるという前提で考えていきます。 >また、屈折率は、物質の内部の電子との相互作用の結果だということも聞いたことがあります。 そのとおりです。 >この相互作用というのは、散乱時の分極と同じものでしょうか? 同じようなものと考えてもらってかまいません。 >物質中の場合はどうなのでしょうか? 基本的に透明であるということは、均一な媒質を伝播しているということを意味します。光にとって均一という意味ですから波長オーダーで均一である必要があります。 あとは吸収がないということが重要になります。 >これは、光が散乱時に再放出される際に自然とそのようになるのでしょうか? 散乱というのはあくまで結果を表す言葉ないので、ここでは適当ではありません。 正確に言えば光の電場により双極子モーメントが誘起されて、その双極子モーメントによる再放出が起きる場合に、そのようになるということですね。 これは電磁波の境界条件を入れて考えるとそのようになることがわかります。
補足
回答ありがとうございます。 散乱というものを、光子が粒子にぶつかって跳ね返されるイメージでいましたが、あまり正しくないようですね。 光の電界により、分子に双極子モーメントが形成される際に、”一部の”エネルギーを吸収し、元に戻る際に散乱光として放出する。(→レイリー散乱) (吸収されなかった光はそのまま直進) ということでしょうか? ちなみに粒子の大きさが波長に比べて大きな場合にはミー散乱という散乱になるそうですが、これはレイリー散乱とは根本的に違うものなのでしょうか? また、反射も散乱の一種だとおもうのですが、これは、境界条件のあるミー散乱になるのでしょうか? >これは電磁波の境界条件を入れて考えるとそのようになることがわかります。 境界条件を入れて計算すると、確かにそうなるのですが、様々な位相の光がきても、そのようになるイメージがわきませんでした。しかし、ここがスッキリ理解が難しいところなのですが、量子力学的に考えると、境界条件が定まると、位相が、0やπになる状態に収束するということなのかなと思っています。これは正しいでしょうか? ↓↓は多分似たような現象かと思っているのですが、セシウムを励起状態にして、自然放出光の波長の1/2より短い間隔の鏡の間におくと、自然放出光の放出を抑えることができるそうです。 http://www.aa.alpha-net.ne.jp/t2366/原子の光放射を禁止する.htm 質問が多くなってしまい、申し訳ありませんが、回答頂ければ幸いです。
お礼
まだ、不明点がありますが、参考になりました。 ありがとうございます。
補足
大変、参考になります。ありがとうございます。 >散乱、反射、屈折全部がこの電場による双極子モーメントのモデルで説明できます。 ちなみに、通常の伝搬では、双極子モーメントの振動による電界により、となりの分子にも双極子モーメントが形成されて、次々と双極子モーメントが誘導されて、伝搬していくのでしょうか? (話が四方八方に広がってしまい申し訳ありません。) >これはこの話よりは更に進んだ話なので必ずしも同じとはいえないので、 これは、こういうことですか?(↓↓回答2) (散乱の場合の再放出は電子が上位の準位に遷移しているわけではない。一方、自然放出光は、上位準位から下位準位への遷移時のエネルギー差に応じた光が放出される。(双極子モーメントではない)) http://questionbox.jp.msn.com/qa2650860.html?StatusCheck=ON また、以前に質問したことと、被ってしまう質問なのかもしれませんが、あと一つ質問させてください。 境界条件とかは関係なく、再放射光(自然放射光も?)の初期位相は揃っているのでしょうか? そうでないと、光路差が、波長の整数倍になっても、干渉によって強め合うことはない気がします。