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半導体 出払い領域 不純物領域

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回答No.1

【n型半導体】 ドナー準位から伝導帯に励起されている電子が少ない低温では、伝導帯の電子濃度 n [1/m^3] は、参考資料[1]の式(5-31)で表わされます。    n = √( n0*Nd )*exp{ -( Ec - Ed )/( 2*kB*T ) } --- (1)    n0 = 2*{ mde*kB*T/( 2*π*h_^2 ) }^(3/2) --- (2) Nd はドナー濃度 [1/m^3]、Ec - Ed はドナー準位の深さ [J]、kB はボルツマン定数 [J/K] 、T は温度 [K]、mde は電子の状態密度有効質量 [kg] です。 式(1)の n がドナー濃度 Nd に等しくなる温度が不純物領域と出払い領域の境目の温度 Tb [K] になります。つまり次式の解 T がその温度になります。    Nd = √[ 2*Nd*{ mde*kB*T/( 2*π*h_^2 ) }^(3/2) ]*exp{ -( Ec - Ed )/( 2*kB*T ) } --- (3) これを T について解析的に解くことはできませんが、Excel のソルバーやVBAを使って数値計算することができます。 例えば、Si にP(リン)をドーピングしたとき不純物準位の深さは 0.045 [eV] になります[2]。この場合の不純物領域と出払い領域の境目の温度 Tb [K] は以下のようになります。    Nd = 10^15 [1/cm3] のとき Tb = 79.1 [K]    Nd = 10^16 [1/cm3] のとき Tb = 109.2 [K]    Nd = 10^17 [1/cm3] のとき Tb = 167.5 [K]    Nd = 10^18 [1/cm3] のとき Tb = 304.7 [K] 【p型半導体】 資料 [1] の式(5-33)で計算できますが、mh の値は正孔の状態密度有効質量 mdh を使います。Ea - Ev はアクセプタ準位の深さです。 【補足】 Nd:ドナー濃度、Na:アクセプタ濃度 [1/m^3]    半導体の濃度の単位は [1/cm^3] が使われることが多いので注意。式(2)で計算される濃度は [1/m^3] 単位になる。Nd が [1/cm^3] 単位で与えられているとき、n0 を [1/cm^3] 単位にすれば、式(1)の n は [1/cm^3] 単位になる。[1/m^3] 単位を [1/cm^3] 単位に変換するには 10^(-6) をかければいい。 Ec - Ed:伝導帯の底とドナー準位のエネルギー差 [J]    一般にこのエネルギー差は [eV] 単位で表わされているので、電子の電荷 e をかけて [J] 単位に変換して計算する。 Ea - Ev:価電子帯の上端とアクセプタ準位のエネルギー差 [J] mde:電子の状態密度有効質量 = 0.36*m0 (Siの場合) [3] mdh:正孔の状態密度有効質量 = 0.81*m0 (Siの場合) [3] mo:電子の静止質量 = 9.10938215E-31 [kg] kB:ボルツマン定数 = 1.3806504E-23 [J/K] h_:プランク定数 = 1.054571628E-34 [J・s」 e :電子の電荷 = 1.602176487E-19 [C] 【参考資料】 [1] http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/Lecture/ets5.pdf [2] Siの不純物準位(PDF2ページ Fig. 3-3) http://www.ee.knct.ac.jp/teachers/takakura/zairyo/chapt3.pdf [3] Siの電子と正孔の状態密度有効質量(Effective mass of density of states) http://www.ioffe.rssi.ru/SVA/NSM/Semicond/Si/bandstr.html#Masses

txllvo
質問者

お礼

詳しい説明ありがとうございました。 勉強を続けて理解できるように頑張ります。

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