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肺がん手術後の治療について
母(68歳)が肺の手術を受けました。結果肺がん(腺癌)の3Bとの事で、今後は抗がん剤での治療になるとの判断でした。(今まで煙草は吸っていません。)摘出した腫瘍を今病理検査中との事で合えばイレッサを使用する事を薦めると言われています。ただ副作用を考えると、他に治療法はないものかという思いが強くなり、現在情報収集をしている状況です。 そこで「分子標的治療」と「血管新阻害剤」という治療法があったのでどうかと思い専門家の方の意見をお聞きしたく今回質問させて頂きました。 どうかよろしくお願い致します。
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呼吸器内科医です。 まず「分子標的治療」と「血管新生阻害剤」についてです。 「血管新生阻害剤」はVEGFという癌が大きくなったり転移するのに必要な因子を抑えて癌が大きくなるのを防ぐ治療法です。現時点では「アバスチン」という薬がありますが、単独では癌は小さくならないため通常の抗癌剤との併用でしか使用できません。 「分子標的治療」というのは大きなカテゴリーを示す言葉で「血管新生阻害剤」もその中に含まれています。「血管新生阻害剤」以外の治療薬としては、EGFレセプター阻害薬があります。現在では、「イレッサ」と「タルセバ」という薬があります。これらは癌が大きくなるのに必要な増殖因子の信号を止める薬です。ただどちらの薬にも副作用として間質性肺炎があり致死的になった例があります。 イレッサの副作用の「間質性肺炎」は報道で有名になりましたが、一般的な薬で起こる頻度と比べても格段に多いという訳ではありません。実際に当時使っていた立場としては、マスコミが「魔法の薬」ともてはやした直後の副作用だったために大騒ぎになっただけだと思っています。 「分子標的治療」という言葉はなんだか効果がありそうなイメージがあると思いますが、まだまだ研究段階の治療法です。またこれらがターゲットにしている分子は癌だけに特有のものではありません。そのため間質性肺炎のような副作用が出るのではないかと私は考えています。新しい治療法というのは使用実績が少ないため、予期せぬ副作用がありうるということを理解して下さい。 さて質問者様のお母様の件ですが、「イレッサ」の効果があった症例というのは、「腺癌」「アジア人」「女性」「非喫煙」が特徴です。肺癌を専門に診療している医師であれば、イレッサを勧めることが多いと思います。私も2例ほど劇的に良くなった症例を経験しています。効果がある人には副作用もきつくなく通院で治療できるので非常に良い薬です。ただし「通常の抗癌剤」を上回る効果は統計的には証明されていません。 個人的には「通常の抗癌剤」での治療を先に行って「効果があまりない」もしくは「副作用がきつい」場合に「イレッサ」での治療に切り替えても良いのではないかと思います。 まずは担当医とよくご相談ください。
お礼
この度は早々に回答頂き本当にありがとうございます。不安な気持ちのまま情報収集をしていたので「効果あり」という言葉に救いを求めようとしていましたが、専門的なお話を聞けとても参考になり少し冷静になれました。ありがとうございます。 母の場合腫瘍は小さかったのですが出来た場所が悪かったらしく(上葉と中葉の間、表面にできていた為播種が想像されるとの事)抗がん剤治療しかないとの事でした。 担当の先生が少々口調がきつい方なので今回のような質問がなかなかできずにいましたので、意見を聞けてとても助かりました。お忙しい中ありがとうございました。