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長期化する低金利
バブルが崩壊してから超低金利政策が行われています。原因は資産デフレと物価デフレであり施策としては金融緩和・財政再建が必要と言われて行われています。 具体的になぜここまで長期化している理由が理論立てて理解できませんので詳しく教えてください。
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- igaguri_ml
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まず以下のような俗説は誤りであることを理解しましょう。 1. 政策金利がゼロ(ゼロ金利)ならば金融は緩和されている。 2. 円が売られ、資金が国外に流出することは常に悪いことだ。 正しい答は以下の通りです。 1. 政策金利がゼロであっても金融が引き締めの状態になっていることはあり得る。 2. 内需が弱いときに円が売られ円安になることは外需が増えるので好ましい。 経済についてわかっていない人たちは 政策金利の絶対値で金融緩和されているかどうかを判定しようとします。 しかしそれは誤りです。 金融が実際に緩和されているか否かは物価水準が十分に上昇したか否かで 測られるべきなので実際には日銀は引締め気味の政策を実施したとみなされるべきです。 たとえゼロ金利でも金融引締めということはありえます。 そのようになる理由は名目金利ではなく、実質金利で考えればすぐにわかります。 米国のインフレ率(GDPデフレータ上昇率)は2~3%程度です。 しかし、2003年までに当時の米FRB議長のグリーンスパン氏は政策金利を1%まで下げています。 インフレ率より政策金利を低くしたのです。 グリーンスパン氏は実質政策金利=名目政策金利-インフレ率をマイナスにしました。 これによって米国経済はITバブル崩壊後のひどい状況から脱出することができたのです。 その後、米国の金融システムに欠陥があったせいで住宅バブルが膨れ上がってしまいました。 しかし、その手のバブルを金融政策で解決しようとするのは誤りで、 金融システムの欠陥を速やかに改革することが正しい処方箋になります。 この点を誤解してグリーンスパン氏に米国住宅バブルの責任を押し付けようとする困った人がいるので注意しましょう。 目的に応じた金融政策と構造改革の使い分けは政策論議の基本中の基本です。 さて、これに対して日本のインフレ率(GDPデフレータ上昇率)はずっとマイナスです。 1999 -1.3% 2000 -1.7% 2001 -1.2% 2002 -1.5% 2003 -1.6% 2004 -1.1% ...... という感じ。これでは政策金利をゼロにしても 米国のように実質金利をマイナスにはできません。 日本ようなデフレが続いている国では たとえゼロ金利でも引き締めぎみということが十分にありえます。 だからデフレを終わらせるためのインフレ目標政策が有力な政策だということになるのです。 次に福井日銀総裁による量的緩和の評価について述べます。 一時的に銀行の超過準備が増えても近い将来にそれが減ったり無くなったりすると予想されるなら、 量的緩和の影響は小さくなってしまいます。 実際、市場はそのように予想し、その通りに福井氏はデフレが終わっていないのに量的緩和を解除しました。 しかし、日銀が量的緩和の規模を拡大しているときに、 財務省が35兆円もの長大規模な円売りドル買い介入を実施しました。 もしも日銀が量的緩和の規模を拡大していなければ 為替介入で放出された円は自動的に日銀に吸収されてしまうことになります。 為替介入が有効なのは放出された円を日銀が吸収しない場合に限ります。 結果的に半分程度日銀に吸収されてしまいましたが、 残りは市場に循環し、しばらくしてからかなり安定した円安傾向を作り出すことに成功しました。 去年までの日本の景気回復はそのおかげだと考えられます。 しかし、上にも書いたように日銀が嫌々量的緩和をやっていることは明らかでした。 デフレが終わる前に解除すると予想され、実際に解除してしまいました。 結果的に内需を増やすだけ十分な国内金融市場への影響はほとんどなかったのです。 もしも量的緩和と同時にインフレ目標政策を発動していれば 現在もデフレ(=GDPデフレーターの下落)で日本経済が苦しみ続けることは無かったでしょう。 さて、どうして日銀がダメな政策ばかりやるのか?これは謎です。 私が知る限り、証拠に基づいた結論を出した人はいないと思います。 しかし伝統的に日銀は金融緩和を嫌い、引き締めを好みます。 インフレ目標政策を伴わないゼロ金利や量的緩和のような 不十分な見せ掛けの緩和措置しか実施しなかったのも日銀の伝統に一致しています。 謎の解決のためには今後の歴史化の仕事になるのではないでしょうか? 日本経済のためには日銀のトップから日銀寄りの人を排除することが好ましいです。 しかし現実には日銀出身の白川氏の副総裁就任が決定されているだけという状況。 民主党の馬鹿さ加減は困ったものです。武藤氏の総裁就任に反対するのは構いませんが、 インフレ目標政策に賛成の伊藤氏にまで反対したのは日本経済にとって大迷惑です。
- pluto003
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> 金融緩和で何故海外にお金がでてしまったのか 日本が低金利で海外が高金利であり、日本の内需が弱く世界がバブル的な好景気だったからです。一番単純な話としては、低金利のところへお金を預けるより高金利のところにお金を預けるという事です。また、日米間で5%もの金利差があり、日本で資金調達をし米系金融機関にその資金を流して、その金利差で稼ぐという動きもありました。 投資対象となるファンドや企業も同じようなかたちであり、要するに世界のバブル的な循環部分へお金は流れて行っていた訳です。
お礼
pluto003さん、お忙しい中、早急なご回答ありがとうございます。 サブプライムで問題になっている円キャリートレイドですね。
- pluto003
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バブル崩壊後、それまでの景気対策などの効果もあって一時景気が上向く。そこから景気拡大へ向かうという判断があったか無かったかはわからないが、そのタイミングで政府は消費税増税に踏み切る。消費税増税に加えその年アジア通貨危機が発生した事で日本経済はまたも下降し始める。その後、中国や他の途上国の経済発展もあり日本はデフレ状態へと入って行く事になった。 金融緩和をしても、お金が海外に出て行ってしまいデフレ対策とならず、効果が極めて限定的であった事。また、不良債権処理政策により更なるデフレを招き倒産や失業が増えた事から更に厳しい経済状況が生まれ、企業は借金返済に力を入れても、拡大路線としての新たな借り手となる事はなく、金融緩和の効果がほとんど見られなかった。 政府は構造改革とし規制緩和が進められ、企業はリストラや賃金カットなどにより利益率を上げるものの、利益分配が進まず景気拡大にはつながらず迷走はつづく。また長引く不景気ながらも設備の老朽化からの買い替え需要などにより設備投資需要が一定程度膨らむが、極めて消極的設備投資が景気を下支えするような状態がつづく程度で、積極的な設備投資や景気拡大循環は生まれず今に至る。
お礼
pluto003さん、ありがとうございます。確かに企業は節約に入り、設備投資が、小さくなっているのを感じます、金融緩和で何故海外にお金がでてしまったのかもう少し詳しく教えていただけると幸いです。
- igaguri_ml
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ひとことで言えば日銀の金融政策が失敗続きだったからです。 日本政府の全面協力のもとで日本銀行が十分な金融緩和を実施すれば、 一時的に政策金利はゼロに張り付いてしまいますが、 じきにインフレ率が上昇し、結果的に長短金利も上昇することになります。 そのための政策の実施方法も提案されているのですが、 日銀が抵抗してやろうとしないので現在のような困った状況が続いています。 海外の経済学者はもっと過激な提案もしているようですが、 日本の経済学者はデフレ脱出のためにインフレ目標政策の枠組みを使うという マイルドな方針を提案しています。 インフレ目標政策の肝は未来の金融政策の方針を市場が読み易くすることです。 もしも市場が数年以内に日本のインフレ率が他の先進国なみの2~3%に上昇するということを信じたなら、 日本の株価は上昇し、円安になり、その他もろもろの効果が金融市場に発生します。 ものすごい金額のお金が動くことになるでしょう。 金融市場におけるそれらの効果は日本の企業を助けることになるので、 1年ほど遅れて日本の実体経済も大きく上向きになります。 そのおかげで賃金やボーナスが増えて、消費が強くなり、 その結果としてインフレ率も上昇し、 金利も上昇することになります。 現実の日銀は逆方向の政策を採用しました。
お礼
igaguri_mlさん、ありがとうございます。何故日銀は逆の政策を採用してしまったんでしょうね。
お礼
igaguri_mlさん、お忙しい中、ありがとうございます。 ゼロ金利でも金融引き締めになってしまう日本っておかしいですね。日銀の総裁は国会と切り離され、かつ小手先ではなく大胆なアクション出来る人がならないといつまでもこの状況が続きそうで不安です。ありがとうございました。