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エントロピーについて
理想気体が等温膨張すると、そのエントロピーSは増大する」 というのがよく理解できません。分かりやすく説明していただけると幸いです。 そもそもエントロピーというのは、その温度における無秩序さで、自発的な化学反応はΔS≧0なんですよね?? すみませんが、宜しくお願いします。
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- phusike
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前半部分についてはNo.1の通りです。 (ただし可逆過程でRTln(V1/V2)の熱を受けるのは気体が理想気体とみなせる時のみです) >そもそもエントロピーというのは、その温度における無秩序さで、 エントロピーとは、熱力学的に言えば状態量の一つです。 つまり、系が平衡状態にある時、その量が一意に決定されます。 そして、その定義は dS = δQ/T です。 ここで、δQとは可逆過程を経由して系が変化した場合、系に流入する熱量です。 この計算は、実際に系の変化がどのような経路を辿ろうとも、 常に仮想の可逆過程の経路を用いて行わなければなりません。 この場合は系の最初から最後まで常に等温で膨張させる過程は可逆であるため、 この経路を用いて計算すればよいということです。 一般によく言われる「無秩序さ」とこの量がどう関連しているかと言いますと、 統計力学的にこのSを解釈した場合 S(E) = kb log Ω(E) と書けるからです。 (厳密に言うと S(E) = kb log Ω(E) と単純に書けるのは断熱系の場合のみですが) ここで、Ω(E)は系が全体としてエネルギーEを持っている時に 系が取り得る「状態数」を表します。 「状態数」とは、例えば10,000個のリンゴを50人に分配する方法の場合の数のようなものです。 >自発的な化学反応はΔS≧0なんですよね 断熱系においてはそうなります。 断熱系においては、エントロピー増大則 dS ≧ 0 が成立するからです。 (特に等号が成立するのは可逆過程のみですね) しかし、前半のように完全な可逆過程である等温膨張であっても、 エントロピーは増大し得ます。 もちろん、この場合膨張ではなく等温圧縮を行えば、エントロピーは減少するわけです。 このように、一般に断熱系でなければ必ずしもエントロピーは増加しません。 化学反応を断熱系で行うケースは稀です。 一般に化学反応は等温等圧系で行われることが多いですので、 この時にはギブズエネルギー G = U + PV - ST が用いられます。 (エンタルピーHとは G = H - ST 、ヘルムホルツエネルギーFとは G = F + PV で結ばれます) この時に自発的な反応が起こる条件は ΔG ≦ 0 です。 これは、温度が低い時には反応はエネルギー的に安定になる方向へ進行し、 高い時にはエントロピー的に無秩序になる方向へ進行すると解釈されます。 この辺りの議論については手持ちの熱力学または物理化学の教科書をご覧下さい。
- jamf0421
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熱力学だけの話を書きます。等温膨張では外界に仕事をします。温度を保つため、その分外界から熱を受け取ります。もし可逆過程での等温膨張ならばRTln(V1/V2)の熱を受けます。これをΔQとかけば、ΔQ/Tだけエントロピーは増大します。 エントロピーは輸送と生成があります。上記の話は外界からのエントロピーの輸送です。(熱を外界に渡すならエントロピーは減少します。)エントロピー変化は全体としてはdQ/T + dQ'/Tから成り、dQは外界から受けとった熱、dQ'は系内の不可逆過程により生じるもので文字通りの熱ではありません。 dQ'/T>=0(等号は可逆変化)が自発的に起こる方向を示す、”孤立系のエントロピーは増大する”、ということの内容です。(系内で高温部から低温部に熱が流れたり、ものの混合が進んだり、化学反応が起こったりすればエントロピー生成が起こります。)