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自立支援法と介護保険

障害者自立支援法は、介護保険と統合することを目指している、と大学の講義で聞きました。 2009年度の統合は見送られたようですが、この動きは支援費法の頃からあったと聞きます。 利用者負担を1割としたのも、財源確保の他に介護保険との統合を見越したため、と聞いたのですが、 なぜこうまでして介護保険と自立支援法を統合しようとするのでしょうか? 統合することの利点や問題点はあるのでしょうか?

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回答No.1

障害者施策の原資は「税」です。 介護保険制度と違って、保険料ではありません。 このことが、障害者施策の財政を著しく圧迫する主因になっています。 支援費制度はたった3年で崩壊し、障害者自立支援法も既に財政破綻しています。 現在、支援費制度から障害者自立支援法へと移行したことによる激変緩和措置、自己負担増に対応した特別減免措置が採られていますが、それらも財政圧迫の原因となっており、障害者施策に係る財政的な赤字は、既に数千億円に達しています。 障害者は収入源がないことが多く、保険料を徴収することもままならないのが現実です。 しかしながら、上述したような事情により、どこかで財政的に工面しなければなりません。 そこで「介護」という共通項を持つ介護保険制度と障害者施策との統合を図ることにした、という経緯があります。 具体的には、成人のすべてを被保険者とした公的介護保険制度を創設し、その保険料で介護保険制度と障害者施策の財源を確保してゆこう、というものです。 ひとくちに「介護」と言っても、障害者の介護は高齢者のそれと性質を異にします。 身体的な介護よりも、生活支援的な介護であったり、職業支援的な介護であったりします。知的障害者や精神障害者では、特にその傾向が高まることになります。 したがって、身体的な介護度の高さによって適用を決める介護保険制度のしくみをそのまま障害者施策に適用することは、決してなじみません。 言い替えれば、「高齢者と障害者の両者を包括でき得る“介護”」の範囲や定義が確立できなかった、ということでもあります。 そのほか、もしも保険料方式にした場合、公的医療保険と同じく、企業や法人の事業主負担分保険料の著しい増大につながり、その経営を圧迫するほか、景気の低迷も招く懸念があります。 このような事情により、両者の統合による財政的なメリットは十分予想できるものの、結果として、統合は見送りになってしまいました。 私論としては、保険料方式と税方式を折衷させる形の新しい財政方法を考え、いずれは両者を統合すべきではないか、と思っています。 そうしなければ、早晩、介護保険制度も障害者施策(障害者自立支援法)も共倒れになってしまうのではないでしょうか。

mame_den
質問者

お礼

非常に丁寧なご回答、ありがとうございます。 財源確保においては大変大きな意義があったのですね。 成人の全てを被保険者とする…ということは統合が実現されていれば 保険料の負担年齢が40歳から20歳に引き下げられる可能性があった、 ということですね。。 高齢化社会への対応やノーマライゼーションの実現を考えると必要なのかもしれませんね。 背景やメリットなど、全てが参考になりました。 ありがとうございました!

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