消費者センターに勤める相談員の資質
【質問主文】消費者センターの相談員2名(XさんとYさん)を以下に紹介します。どっちの方が優秀な相談員だと思いますか?理由も合わせて回答してくれると嬉しいです。
2016/2/12(金)15:00、これがトラブルの始まり。
東京都世田谷区の某マンション一室、そこに27歳の女性が一人暮らししている。名前は気弱田負子(きよわだまけこ)。
台所の水道が老朽化して痛み、水漏れした。
気弱田は慌てて、インターネットで水漏れ修理業者を探す。「水漏れ8千円~」これくらいならと思い、電話を掛ける。
◆電話受付:水回りレスキューでございます。
◆気弱田:台所で水漏れしちゃって、何とかなりますか?
◆電話受付:それは大変ですね。住所を部屋番号までお聞かせ願えますか。
◆気弱田:世田谷区・・・○○コーポの××号室です。
◆電話受付:かしこまりました。今からですと、担当者の到着まで30分ほどになるかと思います。なお、お客様都合のキャンセルですと、5千円以上のキャンセル料を頂戴いたします。
◆気弱田:はい、お待ちしてます。
(30分経過、バスタブ1杯程度の水を消費)
ピンポーン、水回りレスキューでーす。
◆気弱田:はい、お待ちしてました。
◆業者:失礼します。台所はどちらでしょう。
◆気弱田:ここです。
◆業者:あらー、これは大変。
◆業者:早速見積ですが、この水道管はファイ1ミリピッチのタイプでして、5万円になります。それにプラス、風水で考えると、これは水難の災いを招きますね。幸運の壺をこちらに置く必要があります。Aタイプですと20万円でBタイプですと15万円になります。どちらがよろしいでしょう?
◆気弱田:えっ?・・・
◆業者:修理と幸運の壺のセット販売になりますが、壺はどちらのタイプになさいますか?
◆気弱田:じゃー、安い方が良いです・・・
◆業者:かしこまりました。では、修理費5万円にBタイプの幸運の壺で、それに消費税を加えて、こちらの額を先払いで頂戴します。
(電卓を見せる。216,000)
◆気弱田:えっ、先払い、手持ちにそんなお金は・・・
◆業者:クレジットカードならお持ちでは。そちらで大丈夫ですよ。
◆気弱田:じゃー、クレジットで。
◆業者:金額をご確認の上、暗証番号と確認ボタンをお願いします。
◆気弱田: (ボタンを押す) はい。
◆業者:ありがとうございます。あと、こちらに住所を記入して、こちらとこちら2ヶ所にサインをお願いします。その間に、私は修理を始めます。どうぞおくつろぎながらご記入ください。
(10分後)
◆業者:修理終わりました。どうでしょう。ご満足でしょうか。
◆気弱田:はい、確かに元通りです。
◆業者:では、最後にこちらにサインいただけますか。
◆気弱田:はい。
◆業者:どうもありがとうございました。そして、これが幸運の壺です(箱を開ける)。こちらに置いておきますね。それでは、失礼します。
水漏れは直った。しかし、その高額な出費に、気弱田はとても悩んだ。業者は人の弱点を集中攻撃するような商売をして、自分はその被害者のような感じがして、悔しいと思った。最低でも壺を返品したかった。
2016/2/15(月)10:00、気弱田は消費者センターに行って相談を受ける。
もし相談員Xだと。。。
◆相談員X:水漏れ対応で21万6千円、それは確かに高いですね。
◆気弱田:クーリングオフは難しいでしょうか?
◆相談員X:気弱田さんご自身でお電話を掛けて業者を呼んだ、これが厳しいですね。クーリングオフは、業者が一方的に気弱田さんのご自宅に訪れたときに適用される制度ですからねー。
◆気弱田:だって、目の前で水が漏れてるから、一刻も早く何とかしたかったんだもん。
◆相談員X:5万円の修理費、これも相場からすると高過ぎですね。ぼったくりでしょうけど、業者はズル賢い。
◆気弱田:この際5万円は諦めます。だけど、壺は何とかしたいです。
◆相談員X:うん、壺の返品なら出来るかもしれない。要求は水漏れの修理だけで、壺は要求外の追加なんですよね。
◆気弱田:はい。水漏れ修理で、その後に壺の購入を勧めてくるなんて、思いもしませんでした。
◆相談員X:分かりました。クーリングオフをやってみましょう。意思表示の手紙を2通書いて、気弱田さんと私の連名でサインします。これを業者とクレジット会社に郵送しましょう。
◆気弱田:ありがとうございます。
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もし相談員Yだと。。。
◆相談員Y:21万6千円、確かに高いとは思うけど、気弱田さんはそのとき納得したからクレジットカードを差し出したんでしょ?
◆気弱田:納得というより、ここでお断りすると、事態が更に悪くなると思ったから。キャンセル料が発生したり、変に揉め事が起こりそうだし、違う業者を呼ぶと、更に待たされたり、もっと高額な請求を受けるかもしれないし。
◆相談員Y:気持ちは分かります。でも、業者さんは水漏れの緊急事態から救ってくれたわけで、その緊急対応料と技術料がその価格になったということかと思います。
◆気弱田:それは修理費の5万円で足りると思います。15万円の壺を返品したいのですが、クーリングオフは適用できませんか?
◆相談員Y:残念ですが、ご自身で電話を掛けて業者を呼び寄せた場合、クーリングオフは適用されません。
◆気弱田:では、どうすれば良かったのでしょう?
◆相談員Y:業者がどのような業者なのか、価格はいくらなのか、発注する前によく確認することが重要ですね。
◆気弱田:緊急事態なのでそんな余裕なんか無いわよ。ホームページには「水漏れ8千円~」としか書いてなくて、多少の値上がりは想定してたけど、まさか21万円まで値上がるなんて。
◆相談員Y:だったら、そんな事態にならないように、日頃から水道の耐久性について点検しておくべきだったということですね。あるいは、このような出費に備えて保険に加入しておくとか。お気持ちは分かるのですが、運が悪かったとしか言いようがありません。
◆気弱田:ちょっと待ってよ。あの場面で業者が壺を勧めても良いの?壺が許されるのなら、もっと高額な商品だって押し売り出来たってことですか?
◆相談員Y:落ち着いてください。消費者センターは、飽くまで現行のルールに従ってトラブルを判断し、業者が悪質な行為をしたなら消費者の救済に向けて相談を受ける場です。今回のケースはグレーゾーンだと思うのですが、当センターはグレーに白黒つける場ではありません。飽くまでも、黒のものを黒と判断したときのみ消費者救済の対象になります。
◆気弱田:・・・そうですか。では、失礼します。
お礼
ありがとうございます。 たしかに熱くなってしまいました。 今後どうするか検討してみたいと思います。