速度式
少量の酸化マンガン(IV)MnO2に 0.640 mol/Lの過酸化水素 H2O2水溶液を 10.0mL加え,分解反応で発生した酸素 O2を水上置換ですべて捕集した. 捕集容器内の圧力を大気圧に合わせて気体の体積を量ったところ, 反応時間と体積の関係はつぎの表のようになった. 実験は 300Kで行われ, 大気圧は 1.010×10^5Pa であった. 気体は理想気体としてふるまうものとし, H2O2の分解反応に伴う水溶液の体積変化およびO2の水への溶解は無視する. 気体定数は 8.3×10^3 Pa・L/(mol・K) とし, 300Kでの水蒸気は 0.040×10^5Paとする. なお, sは秒を表す.
問1
0~60秒におけるH2O2の平均の分解速度(mol/(L・s))はいくらか. 解答は有効数字3桁目を四捨五入して記せ.(答え: 2.3×10^(-3))
問2
この実験におけるH2O2の分解速度vは, v=k[H2O2]に従う. ただし, kは分解反応の速度定数, [H2O2]は過酸化水素の濃度である. 速度定数kを0~60秒におけるH2O2の平均の分解速度と平均の濃度より求めよ.解答は有効数字3桁目を四捨五入して記せ.(答え: 4.1×10^(-3))
問3
反応開始後600秒において, O2の生成速度を増大させるために 0.640mol/LのH2O2水溶液を追加したところ, その60秒後における捕集容器内の気体の体積は85.0mLとなった. 追加したH2O2水溶液の体積[mL]はいくらか. ただし, 平均の分解速度は, 平均の濃度と問2で求めた速度定数kを用いて v=k[H2O2]により計算出来るものとする. 解答は小数点以下第2位を四捨五入して記せ.(答え: 4.7)
問3について
x[mL]のH2O2を加えたとする.
600s~660sで発生したO2の物質量は,
{9.7×10^4×(10/1000)}/(8.3×10^3×300)≒3.89×10^(-4) [mol]
よってH2O2は7.78×10^(-4)[mol]消費された.
よって600s~660s間の反応速度は,
v=7.78×10^(-4)/{(10+x)/1000}/60≒0.0129/(10+x) [mol/L・s]
600sまでに生成したO2の物質量は,
{9.7×10^4×(75/1000)}/(8.3×10^3×300)≒2.92×10^(-3) [mol]
よってH2O2は5.84×10^(-3) [mol] 消費された.
よって600sで残っているH2O2は,
0.64×10/1000-5.84×10^(-3)=5.6×10^(-4) [mol]
したがってx [mL] 加えたときには,
[H2O2]={(5.6×10^(-4)+0.64×(x/1000)}/{(10+x)/1000}=(0.56+0.64x)/(10+x) [mol/L]
660sにおいては,
[H2O2]={(5.6×10^(-4)+0.64×(x/1000)-7.78×10^(-4)}/{(10+x)/1000}=(0.64x-0.218)/(10+x) [mol/L]
v=k[H2O2]より,
0.0129/(10+x)=4.1×10^(-3)×{(0.56+0.64x)/(10+x)+(0.64x-0.218)/(10+x)}/2
⇔12.9=4.1×(0.64x-0.0171)
⇔x≒(12.9+0.070)/2.62≒4.95
自分のやり方は正しいのでしょうか?
近い値はでたんですが…
補足
v(速度)、s(基質濃度)プロットの図からは、 Vmax≒0.0105 [U],Km=0.176 [mM] と読み取れました。他の3つについては以下の通りです。 [Lineweaver-Burk]の近似直線式はy=15.6x+102 Vmax≒0.00980 [U],Km=0.153 [mM] [Woolf(s/v-s)]の近似直線式はy=93.9x+21.1 Vmax≒0.0106 [U],Km=0.225 [mM] [Eadie-Hofstee]の近似直線式はy=-0.165x+0.0100 Vmax≒0.0100 [U],Km=0.165 [mM] この通り、実験誤差もあるのでしょうが、数値が違います。 ですので、式毎に良く当てはまる範囲でもあるのかと思ったのですが、 式の形は載っていてもそれほど詳しく書いてはありませんでした。 一応、反応工学や生物反応工学の本は調べたのですけど・・・。