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ウイルスと細菌を殺す方法
「ウイルスにはワクチンで対抗する。 細菌には抗生物質で対抗する。」 このことについて私なりに調べた結果を確認したいので、間違っている部分を訂正して頂きたく思います。なお、詳細な専門知識より、一般的に理解しやすい回答をして頂けると幸いです。 (1)ワクチンとは個々のウイルスに対応する力がある(例えばインフルエンザA型ならA型だけに対応する)が、抗生物質は1つの種類で複数の細菌に対応出来る。 (2)抗生物質は細胞そのものを攻撃するため、善玉菌も殺してしまうことが多いので副作用も多い。 (3)(これは私の主観ですが)ワクチンが個々のウイルスにしか対応できないなら、抗生物質よりも細かく種類を分けて作る必要がある。 以上です。よろしくお願いします。
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獣医師でウイルスを専門とする者です。 まず前提の「細菌は抗生物質で、ウイルスはワクチンで対応する」というのが厳密には必ずしも正しくありません。細菌のワクチンもありますし、ウイルスには抗生物質は効きませんが抗ウイルス薬によって治療できるウイルス病もありますので、「化学療法」が可能な場合もある、ということです。 抗生物質とワクチンの違いは他の方が回答されているとおりで概ね良いのですが、抗生物質の副作用の機序はちょっと訂正が必要かもしれません。 抗生物質の副作用の多くは「抗生物質が細胞を攻撃する」ことによるのではなく、投与された抗生物質が体内で代謝を受ける過程で発生します。つまり本来の「細菌を殺す」作用とは異なるところで発現するということです。(だから「副作用」なのですが) 例えるなら、国内の暴力団を一掃するために警察官を大量に増やして投入したところ、そま警察官の給料あるいは役目を終えて退職した警察官の年金が払えずに財政が破綻するとか、そんなイメージです。 「善玉菌を殺してしまう」のは、元々抗生物質が持っている「本来の作用」の結果なので通常「副作用」とは言いません。善玉菌を殺さずに悪玉菌だけを殺す用量や用法が存在するものしか認可されませんから、これは副作用ではなく使用法の問題です。 また、通常抗生物質は人体(動物)には作用しない物質です。例えばペニシリンは細胞壁の合成を阻害することによって細菌を殺すわけですが、動物細胞は細胞壁を持ちませんから、ペニシリンは動物の細胞には何ら毒性を持たないわけです。 というわけで、(2)は微妙に修正が必要、ということです。 (1)も厳密には間違いです。 正しくは「ワクチンは個々のウイルスまたは細菌に対応」です。(3)も同じくです。 ワクチンは特定の物質を身体の免疫系に記憶させるものですから、対応は1対1です。インフルエンザA型のワクチンはインフルエンザA型ウイルスにしか効きません。 ただ、近い種類のウイルスは共通抗原を持っていたり、または抗原の形が似ているため違うウイルスまたは細菌にも「ある程度効く」ワクチンを開発することは可能なことがあります。 例えば、日本脳炎とウエストナイルウイルスは抗原性がよく似ているウイルスで、実際抗体検査をすると交差反応をします。つまり「日本脳炎のワクチンを接種していればウエストナイルウイルスの感染も防御できる可能性がある」ということです。検証されてないのでほんとうのところはまだ不明ですが。 それを言うなら、抗ウイルス薬の方がもっと「1対1」ですね。 抗生物質は細菌の代謝系のどこかを阻害してりするのが機序なのですが、抗ウイルス薬はもっとクリティカルな「インフルエンザA型ウイルスが持つノイラミニダーゼという酵素を阻害する」という代物なので、A型以外には絶対に効きません。他にノイラミニダーゼを持っているウイルスが存在しても、その「形」が異なるのでやはり効きません。 質問の趣旨がタイトルのとおり「細菌とウイルスの殺し方」なら、どちらもワクチンと化学療法が可能、ということです。 ただしウイルスの場合は化学療法が可能なウイルスが少ないので、多くの場合はワクチンで防御するしかない、ということになります。ですが原理的にはどちらも可能です。 少なくとも「ウイルスはワクチン、細菌は抗生物質」と綺麗に割り切れるモノではない、ということですね。 そもそもワクチンはごく僅かな例外を除いて「感染する前に接種しなければ効果がない」もので、「感染後に接種しなければあまり意味がない」抗生物質とは、その原理だけでなく使用法も大きく異なるものです。 もうひとつ、「ウイルスを殺す」という言葉ですが、正確にはワクチンはウイルスを「殺す」ものではありません。感染を防御するものです。まあ感染できなかったウイルスは結果的に死ぬのですが。でも「殺す」のはあくまで身体の免疫系ですから。
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- taketan_mydns_jp
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ワクチンも抗生物質も防疫と言う目的では同じですが、その性質は全く別物と考えて下さい。 ワクチンは、弱らせた病原菌や病原菌をすり潰したようなもので、感染性を下げた病原菌の一部を接種するものです。獲得免疫機能をもっているヒト等は、外部からの異物に対して免疫反応して抗体をつくります。一旦抗体が出来ると全く同じ病気にはかかりにくくなります。ワクチンは、免疫に病原菌の表面にある顔(分子)を認識させるものです。 いっぽう、抗生物質は免疫とは全く関係がありません。抗生物質は、生物(主に細菌)に対して防御用に生物が作り出す化学物質です。例えばペニシリンというのは、ペニシリウムというカビが微生物から自らを防御する為に分泌する化学物質です。同様に、ストレプトマイシンというのは放線菌という生物が分泌する化学物質です。医薬品になっている抗生物質は、ヒトに投与したときにあまり副作用が無い濃度でターゲットとなる病原菌をおさえることを目的に開発されています。ですが、化学物質ですから、ターゲットとなる病原菌以外を抑える事もあるでしょうし、ヒトへの副作用がある可能性もあるわけです。
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分かりやすい回答をありがとうございます。 そもそもワクチンと抗生物質の違いを調べることに苦労していたので、とても参考になります!!
- yakyutuku
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(2)抗生物質の副作用は、(善玉菌を殺すことも問題だが)基本的に別にあります。まず各薬によりそれぞれ作用機序が違うので、とうぜん副作用もそれぞれ別です。抗生物質だからこの副作用が出ると一概にくくれるもんではありません。あと抗生物質の問題は耐性菌です。長く抗生物質を使うと、抗生物質が効かない菌が出現します。 (3)基本的に一対一で対応するものですから、病気の数だけ必要ということになるでしょう。ただ抗生物質も耐性菌の存在がありますので、少数だけあればよいという時代ではなくなっています。
お礼
耐性菌という問題点を提示して頂けて勉強になりました。このことについても調べてみようと思います。回答ありがとうございました。
私なりに辞書や参考書で調べてみました。ワクチンとは個々のウイルスに対応する力があるが、抗生物質は1つの種類で複数の細菌に対応出来るというのは一応正しいとしてもウイルスに化学療法剤が効くことはむしろ例外のようです(エイズウイルスやヘルペスウイルスの場合)。抗生物質はひとの細胞を攻撃することがあるので肝臓や腎臓や神経に副作用が出るそうです。善玉菌(常在細菌)が殺されてしまうのも副作用といえますが菌交代現象と呼ばれるものです。選択毒性の問題。 ウイルスと細菌の違い、抗生物質と化学療法剤の違いもはっきりさせたほうが良いようです。又ワクチンの効果も生ワクチンと不活化ワクチンとでは作られる抗体も違うようです。細菌に対するワクチンもあります。ジフテリアや破傷風のワクチン。私も勉強になりました。参考になれば幸いです。
お礼
細かな回答をありがとうございます。 ワクチンと抗生物質の効用を完全に分けて考えるという前提から訂正して頂けて、大変勉強になりました。 じっくり読ませて頂いた上で、自分なりにもっと調べてみます。