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バルクプラズモンの励起
バルクプラズモンを励起するには電子エネルギー損失分光(EELS)が一般的ですが、プラズマ周波数のp偏光の電磁波を金属に斜入射した場合、バルクプラズモンは励起できないのでしょうか?
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- inara
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この質問は気になっていました(回答がなかなかつかないので)。 私はEELSをやっていました(Low Energyの電子線を使っていたのでLEELSといいますが)。バルクプラズモンも観測しました。 金属の場合、プラズモンのエネルギーは10数eVくらいだったと思いますが、これを励起するには真空紫外の光源が必要ですね。たとえ励起されたとしても、同じエネルギーの光子では、損失光のエネルギーがゼロとなって観測できないのではないでしょうか。プラズモンのエネルギー(Ep)より高いエネルギーの光(Eex)で励起すれば、損失光(Eex-Ep)が観測されるかもしれませんが、そのエネルギーが紫外から赤外の波長領域以外だと観測手段がないのかもしれません(ただ検出するだけでなくスペクトルが必要ですので)。一般に真空紫外光源のエネルギーは自由に選べないのですが、シンクロトロン放射の白色X線を、結晶のBragg反射などで分光して10数eVの光源を作れば(可能?)、損失光が可視光あたりに来るように調整できるのかもしれません。 gammaさんの回答にあるように、励起光は表面近傍しか進入できないと思いますが、それは電子を励起源に使ったELSでも同じです(10eVから数千eVの電子エネルギー範囲ではpenetration depthは100nmを越えなかったと記憶しています)。問題は、励起された損失光が表面まで出てこられるかということと、遷移確率が電子-電子相互作用に比べてどうなのかということでしょう。私はそういう理論分野は全く素人なので答えられまえん。 ただ、こういう励起方法でプラズモンが観測されたとしても、その方法が従来の観測手段と比べてどういうメリットがあるのでしょうかね。電子線だと分解能が低いけど光励起なら微細構造が分かるとか。robo_gooさんの提案は実は大変な発見を生むのかもしれません。この分野にお詳しい方のコメントを期待しています。
- gamma
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金属のプラズマ周波数は電磁波(光)の周波数より高いので表皮深さ(<プラズマ周波数>/<光速度>程度)までしか侵入できません。金属中でのバルクプラズモンの励起には、内部の電子を集団的に動かす必要があるので、可視や紫外のレーザーでは超高強度パルスが必要でしょう。多分表面にはプラズマ(電離気体)ができるので、反射光のスペクトルは複雑になると思います。強力なX線パルスでも可能でしょうが表面近傍でのみ吸収されるエネルギー(波長)を選ぶ必要があるでしょう。 プラズマ(電離気体)の場合には遮断密度手前で電磁波からプラズマ波へのモード変換とそれによる加熱が知られています(共鳴吸収といいます)。 どれくらいの強度と波長が適当かの見積りは、それほど難しくないのでご自分でモデルを考えて計算してみて下さい。 電子線はX線に比べて表面近くで吸収があり、エネルギー制御も楽なので分析に使われるのでしょう。
お礼
回答ありがとうございます。エネルギーの高い電磁波を使えばバルクプラズモンでも励起できるのですね。プラズモンについて勉強しているのですが、プラズモンの励起については表面プラズモンのことがほとんどで、バルクプラズモンについてはほとんど情報がなかったので助かりました。ありがとうございました。
お礼
回答ありがとうございます。問題はやはり金属中での電磁波(光)の減衰にあるようですね。 inaraさんとgammaさんの回答を読んで、ちょっと面白いことが浮かびました。卒論が終わったら検証してみたいと思います。 ありがとうございました。