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熱老化について

ゴムについてですが、 天然ゴムの場合には、熱老化すると、硬くならず、軟化してベトベトになり、材料がスチレンや、エチレン・プロピレンゴムの場合においては、熱老化すると硬くなると思います。 今まで、上記について、『そういうものだ』と思ってきたのですが、これは、どういう違いから硬化型と軟化型に分かれるのでしょうか?

  • 化学
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  • psa29
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回答No.2

まず、本題の「べとべと」と劣化する物と硬くなる物の違いはご理解頂けたのですよね。 劣化して、分子量が低下していくとTg以下の温度では脆くなり、Tg以上の温度では分子量の低下により柔らかくなるので「べとべと」してきます。 天然ゴムはTgが低いので室温ではTg以上の温度になっているので「べとべと」ポリスチレンは、Tgが室温以上なので脆くなるのですね。 ところで、熱劣化の反応は複雑なのですべてが判っている訳ではありません。 しかし、主鎖に生成するラジカルの安定性が分解形態に影響を与えていると考えられています。 安定なほど、解重合(ラジカル重合の逆反応;モノマーがガスとして生成する。)>ランダム分解(確率論的にいろいろな場所で主鎖が切れる。モノマーの数倍程度の大きさの分子がガスとして発生する。)>架橋反応が並行して進む。となります。 つまり、ラジカルが安定なほどモノマーがガスとして発生する形態で熱分解していきます。 このラジカルの安定性に共鳴構造が大きな寄与をする訳です。 共鳴できてラジカルが非局在化出来るほど安定になります。 では、なぜ安定なほど分解しやすいのか?詳しい理由は判りませんが以下のように考えられると思います。 まず、何らかの理由で主鎖にラジカルが生じると、ここから高分子が切れる場合は、β切断が起こるからと考えられます。 -C-C-C-C-C-C-C-C-C-(Hの存在を書くのを省略しています。)という主鎖のどこかにラジカルが発生します。ここでは真ん中の炭素にラジカルが発生したとしましょう。(ラジカルの・を省略しています。真ん中の炭素には・が付いていると思ってください。) 主鎖が切断するβ切断とは -C-C-C-C-C-C-C-C-C- → -C-C-C-C-C=C + ・C-C-C- という反応です。 ラジカルが付いている炭素から出ている結合がα、そのとなりβの位置で切断します。 そして、一方にビニル基が生じ、他方にラジカルが残ります。 このベータ切断が継続して右側の分子に生じると解重合が進みます。 (ラジカルが安定な分子ほど重合と解重合との反応速度が同じになってしまう天井温度が低いといわれています。) 側鎖にベンゼン環などが付いていると・C-C-C- のラジカルが安定します。 (ベンゼン環を-φと表記するとポリスチレンは-C-Cφ-C-Cφ-C-Cφ-C-Cφ-C- となり、φの付いている炭素上にラジカルが生じます。すると・C-C-C- の構造は ・Cφ-C-Cφ- となるわけですから共鳴して安定になることが判りますよね。) ・C-C-C- が安定なほど-C-C-C-C-C-C-C-C-C- → -C-C-C-C-C=C + ・C-C-C- という反応が起こりやすくなると考えればよろしいのではないでしょうか。 つまり、分解しやすい。 一方、架橋反応では主鎖は切れません。主鎖に生じたラジカルは近傍の高分子から水素を引き抜いて安定してしまうか、他のラジカルとの再結合によって架橋します。メカニズムとしては過酸化物架橋と同じだと考えれば良いと思います。

gomuya
質問者

お礼

お礼が遅くなり申し訳ございません。 わからないことが多く、勉強してから補足させて頂くかもしれません。 また、お願い致します。

その他の回答 (1)

  • psa29
  • ベストアンサー率64% (150/231)
回答No.1

高分子が熱劣化する場合、主鎖が崩壊(分解して低分子量化)する反応と架橋してゲル化(最終的には炭化)していく反応が起こります。 どの高分子も原理的には両方の反応を起こすはずですが、高分子の種類により低分子化の反応が起こりやすい(その反応の比率が高い)高分子を崩壊型、架橋反応が優先的に起こる高分子を架橋型と呼んでいます。 どちらのタイプになるかは、劣化時に主鎖に生じるラジカルの安定に依存します。 ポリスチレンは主鎖に生じるラジカルがベンゼン環と共鳴できるので崩壊型、ポリプロピレンもメチル基との超共役があるので崩壊型です。 天然ゴムも主鎖中の2重結合と共役出来るのでラジカルは安定できます。 しかし、生じたラジカルからのβ崩壊するときの構造の特徴により、その安定性から予想されるよりは崩壊しにくく、架橋反応も起こります。(よって過酸化物架橋が可能です。)(もちろん崩壊もおこります。) ポリエチレンは共鳴構造をつくれないので架橋型です。 それ故、ポリスチレンは熱劣化時に低分子量化していきますが、ガラス転移温度が100℃程度で室温よりも高いので、ベトベトになると言うよりは脆くなります。 天然ゴムはガラス転移温度が低いので室温ではベトベトと感じるかもしれませんが、劣化した物をガラス転移温度以下(例えばマイナス100℃以下)にすれば、ポリスチレンの劣化物と同じように感じると思いますよ。

gomuya
質問者

お礼

お礼というより、補足になってしまうのですが、 共鳴については理解できたのですが、なぜ、共鳴できると崩壊型で、つくれないと架橋型なのか理解できません。 そこを教えて頂けたら助かります。

gomuya
質問者

補足

回答ありがとうございます。 回答内容がむずかしく勉強中なのですが・・・ 低レベルな質問で申し訳ないですが。 >架橋してゲル化(最終的には炭化)していく反応が起こります。 とありますが、これは、化学反応式で表すとどんな感じなのでしょうか? あと、共鳴(構造)について教えてほしいです。語句説明(一つの分子の結合が一つではなく二つ以上の構造式の重ね合わせによって表されること)では、理解できないので困っています。

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