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アメリカ文学に詳しい方

ghostbusterの回答

回答No.6

うーん、戦後を三人ですか。困った。どうしよう。 ということで、戦後に入っていきましょう。 たとえばフォークナーにしてもアンダーソンにしても、それまでのアメリカ文学は、アメリカの土地というものを非常に大きな問題にしていたわけです。 そもそもアメリカにメイフラワー号で来た人たちが「新しい土地」を求めて北米大陸に上陸したわけだから。 とにかく「アメリカ」という土地と文学というのは、第二次世界大戦以前までは、並々ならぬ結びつきがあったわけです。 ところが経済が急成長して、都市の規模は空前のものになっていく。 そうなると、都市へ集まった人々は、土地との結びつきを喪失して、個人へと解体されていくわけです。 そういう流れにサリンジャーなんかもいるわけだけれど、この面ではジョン・アップダイクに代表してもらいましょう。『走れウサギ』(1960)を。これは60年代から90年代にかけて、10年ごとの「ウサギ」の生涯を追う四部作でもあります。 もちろんそれ以前から問題にはなっていたのですが、戦後大きくクローズアップされたのが、人種、民族、フェミニズムをテーマに据えた作品群です。 もちろん戦前からリチャード・ライトの『アメリカの息子』(1940)という作品もありますが、これは社会の中で抑圧された黒人の悲惨な状況を訴え、アメリカの白人の差別的なありかた、自由・平等なんて嘘じゃないか、みたいに批判するものだった。それが戦後になってもっと「文学作品」として、質の高い(ああ、言葉がまずいな)ものが描かれるようになったわけです。ということで、この時期の金字塔、ラルフ・エリソンの『見えない人間』(1952)を。最近新訳が出ました。上下分冊で読むの、大変だけどね。 人種+フェミニズムということで、トニ・モリスンはお読みかもしれない。もし未読でしたら、うーん、何がいいだろう。『ビラブド』(ああ、ノーベル文学賞をこの人もこれで受けています。下で書いたのは、第二次世界大戦以前のつもりでした)かな。 民族でいったら、いろいろあるのだけれど、やはりここではユダヤ系に代表してもらおう。 ノーベル文学賞受賞作家を順次挙げていっているので、ソール・ベロウにしましょう。おもしろいっていったら、『オーギー・マーチの冒険』なんだけど、手に入れるのはむずかしいかもしれない、アマゾンでトップに来る『犠牲者』これはちょっと好きずきっていう気がします、それなら中古で『この日をつかめ』(1956)かな。この人はトニ・モリスンの前、1976年に受賞しています。 おっとここまででもう四人。 で、もうひとつおまけ。ポスト・モダン系の作家からトマス・ピンチョンを。まずは中編の『競売ナンバー49の叫び』(1966)あたりから。 いちおう「アメリカ文学史」のテキストのどれにもかならず載っているような作品をずらずらっと並べてみました。 ほんと、教科書的であまりおもしろみのないリストです。 翻訳の手に入りやすさとか、いま読んでのおもしろさ、という点はあまり考慮に入れてなくて、ドス・パソスは手に入らないかもしれないし、読む必要があるのか、という気もしないではありません。 クーパーの『レザー・ストッキング物語』は、いま翻訳で読めるのは『モヒカン族の最後』ぐらいでしょう。えと、福音館のところでタイトルがひっくり返ってるのは、昔はそう訳されてたからなんです。いまは訳し直されてて原文通りになってるみたい。 だから、全部目を通さなくても、こんな流れなんだ、と頭に入れて、適当に拾い読みしてみてください。 「これ、読まなきゃ」、となると、しんどいし、実際しんどい本も結構ありますから。 もうちょっとこの本について聞きたい、この作者はなんであがってないの、みたいな追加質問がありましたら、なんでもどうぞ。

alchera
質問者

お礼

うっ。やっぱり盛り沢山で来ましたね。そうだと思った(^_^;)。 ちょっと「代表作」というお題から逸脱するかもしれませんが、社会問題とはなるべく関係ないものを書いている女性作家を2,3人挙げていただけませんか?トニ・モリスンは女性のようですが、wikiを見ると、どうもわたしの好みとは全く反対の作風のようです(^_^;)。代表作というお題を出しておきながら、好みで取捨選択するのも邪道だが、少々息抜きが欲しい。 「アメリカ文学は肌に合わないのか」を検証するための質問ですので、しんどいのは最初から想定内です。そもそもわたしはとても好みが狭いので、新しい小説を読むというそれだけでもうしんどい(T_T)。でもまあ一歩一歩進んでいけば、いつかは明るい明日が来るでしょう。……多分。 よろしくお願いします。もちろんお時間のある時で結構です。

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