ハンナ・アーレントの全体像となると、ちょっと私にはわからないのですが、『革命について』なら読みました。
「アメリカ革命(独立戦争)は成功した革命であり、フランス革命は失敗した革命である」。
革命というのは暴力を伴う速やかな権力交代の後、確固たる秩序を形成する過程を経て初めて成就したと言えるのですが、フランス革命の場合、それができずにテルミドールの反動という形で崩壊してしまいました。それというのも、フランス革命は貧困という「胃袋の問題」を社会問題として最初から抱えていたため、多大の時間と労力を要する秩序形成過程を民衆が待つことができなかったからだ、とアーレントは論じていたと思います。
個人的な感想なのですが、『革命について』の彼女の立論だと、まるで「貧乏人は革命するな」と言っているような気がするのです。でも、革命という暴力にまで至るほどの怒りや憎しみというのは、構造的にしつらえられた貧困が常に背景にあるように思います。「他にどうしようもない」…そういう思いが形になると暴力になってしまう。
アイルランド、スリランカ、スペインなどで起こっている民族紛争などを見ると、途方に暮れてしまいます。絶望的になってしまいます。ハンナ・アーレントは、このことに答えをくれなかった…そう、私は感じました。あくまでも、個人的な感想なのですが…
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